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平成十六年五月二十一日受領
答弁第九一号

  内閣衆質一五九第九一号
  平成十六年五月二十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員中根康浩君提出公的年金の支給業務に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中根康浩君提出公的年金の支給業務に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 平成十一年六月に年金給付システム(厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付、年金相談等に使用される年金給付システムをいう。以下同じ。)の一部を即時処理とするためにコンピュータプログラムを変更した際の誤りにより発生した、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第四十四条第一項に規定する老齢厚生年金の加給年金等(以下「加給年金」という。)の過払については、平成十五年六月に公表したところであるが、その対象者数は六千二百四十九人であり、その金額は二十四億千五十一万五千九百二十円である。なお、加給年金の過払の対象者ごとに過払金額を把握し、管理しているところであり、お尋ねの年度ごとの対象者数及び過払金額の内訳については、事務処理上の必要性がないことから把握しておらず、また、新たに区分し、集計することは、作業が膨大なものとなることから、お答えすることは困難である。
 また、加給年金の過払の返還については、その対象者ごとに年金額の変更を行っており、過払分については法律上の原因がないことから、過払の金額等をお知らせし、不当利得返還請求権に基づき返納を請求しているところである。

一の(2)について

 お尋ねの加給年金の過払の対象者一人当たりの返還請求額の分布については、別表第一のとおりである。

一の(3)について

 加給年金の過払の対象者全員に対して返還請求を行っており、対象者ごとに現金による一括返納若しくは分割返納又は年金の減額調整のいずれかの方法により返納していただくこととしているところである。平成十五年度末時点の返納された額については現在調査中であるが、加給年金の過払の対象者のうち、返納方法について申出を行った者の数は、本年四月三十日現在で六千百十一人であり、これらの者に係る過払総額は二十三億四千七百十九万六千六十九円である。

一の(4)について

 加給年金の過払は、平成十一年六月に年金給付システムの一部を即時処理とするためにコンピュータプログラムを変更した際の誤りにより発生したものであるが、その原因は、社会保険庁社会保険業務センター(以下「業務センター」という。)からシステム開発を委託した業者への指示が適確に伝達されていなかったこと及びシステムの運行の事前確認(以下「事前確認」という。)が十分でなかったことによるものである。再発防止対策については、社会保険庁に設置した事故再発防止策検討委員会が平成十五年十二月に取りまとめた事故再発防止策検討委員会報告書(以下「委員会報告書」という。)に基づき、このような誤りが再び生じることのないよう、システム開発の委託先に行う指示を文書に基づくものとすることを徹底したほか、システム開発における事前確認の充実を図るなどの対策を講ずることとしたところである。

一の(5)及び(7)について

 国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第十四条の規定に基づく御指摘の振替加算(以下「振替加算」という。)の未払は、社会保険事務所(地方社会保険事務局事務所を含む。以下同じ。)から業務センターに報告する「年金受給報告書」(振替加算を受給するために必要な配偶者の加給年金に関する情報を得るための報告書)の進達漏れ等により発生したものであるが、その原因は、社会保険事務所に対する事務処理の説明、周知の不徹底等によるものであり、再発防止策については、委員会報告書に基づき、業務センターが作成した「国民年金・厚生年金保険年金給付関係業務取扱要領」の整備を図るなどの対策を講じたところである。振替加算の当該未払の対象者数は三万三千四百人であり、その金額は二百四十九億七千二百六十八万九千十四円である。また、振替加算の未払の対象者ごとの未払金額については把握しているところであるが、お尋ねの年度ごとの当該人数及び当該金額の内訳については、事務処理上の必要性がないことから把握しておらず、また、新たに区分し、集計することは、作業が膨大なものとなることから、お答えすることは困難である。なお、振替加算の未払の対象者について、それぞれの振替加算の開始月が属する年度ごとに区分した人数及びそれらの者の平成十五年七月までの未払金額の総額については、別表第二のとおりである。

一の(6)について

 振替加算の未払については、平成十五年九月十二日に、全額を支払ったところである。

一の(8)について

 加給年金の過払の対象者は、善意の受益者であることから、その返還金については利息を求めていない。また、振替加算の未払については、平成十五年九月十二日に、昭和六十年改正法附則第十四条に基づき未払分の支給を決定したところであり、その未払であった振替加算については利息を付していない。

二の(1)について

 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)附則第五条第一項の規定による任意加入被保険者(以下「任意加入被保険者」という。)については、お尋ねの事例に該当する者の人数を区分し、集計しておらず、また、新たに区分し、集計することは作業が膨大なものとなることから、その人数をお答えすることは困難である。

二の(2)について

 社会保険庁から任意加入被保険者の資格取得の申出を受理する市町村に対して、当該申出があったときは、必要に応じ本人から事情を聴取し、加入可能年数を超える者等の加入を防ぐため、必要な審査を行うとともに、本人に対しては任意加入被保険者の制度について説明を行い、保険料納付済期間の月数が満額の年金となる月数に達する時期に喪失の申出が必要となる旨を周知するよう指導している。

二の(3)について

 任意加入被保険者の制度については、加入するか否かは申出をする者の任意であるため、六十五歳到達等の場合を除き、国民年金法附則第五条第四項に基づき本人が申し出た場合に限り被保険者の資格を喪失させることとされているため保険料を還付する仕組みとなっていないものであるが、お尋ねのような事例が発生することのないよう、二の(2)についてで述べたことについて、更に市町村への指導を徹底してまいりたい。
 なお、第百五十九回国会に提出した国民年金法等の一部を改正する法律案においては、任意加入被保険者が四十年間保険料を納付した時点において被保険者の資格を喪失する旨の規定を定めているところである。

三について

 市町村の国民年金に係る法定受託事務の円滑な実施を図るため、国民年金法第七条第一項第一号に定める第一号被保険者に係る資格記録及び保険料納付記録等の情報並びに同項第二号に定める第二号被保険者に係る資格喪失年月日等の情報を市町村が照会できるよう、業務センターに情報提供用サーバを設置するとともに、公衆回線を通じて、市町村に設置した照会用パソコンに情報を提供している。
 平成十五年度末現在で四千七百九十三台の照会用パソコンを市町村に設置しており、同年度における各月ごとの照会用パソコンを活用した市町村からの照会件数は、別表第三のとおりである。
 照会用パソコンについては、市町村の国民年金に係る法定受託事務の円滑な実施に資しているものと考えている。

四について

 公的年金制度は高齢期の生活の基本的な部分を支えるものであることから、年金の支払については適正に実施されることが必要不可欠であると考えており、委員会報告書に基づき所要の措置を講ずるなど厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の適正な事業運営に努めてまいりたい。


別表第一


別表第二


別表第三


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