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答弁本文情報

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平成十六年六月二十九日受領
答弁第一〇四号

  内閣衆質一五九第一〇四号
  平成十六年六月二十九日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員細川律夫君提出検視、検案、司法解剖等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員細川律夫君提出検視、検案、司法解剖等に関する質問に対する答弁書



一について

 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項に規定する検視(以下「検視」という。)は、変死者又は変死の疑いのある死体について、その死亡が犯罪に起因するものかどうかを判断するために、五官の作用により死体の状況を見分する処分と解される。これは、検視が、変死者又は変死の疑いのある死体が存在する場合には、その背後に犯罪が伏在していることが多いと考えられることから、それらの犯罪の発見及び捜査を的確かつ迅速に行うため、緊急に行う捜査前の処分であることによるものであり、このような検視についての解釈を変更する必要はないと考えている。
 なお、医師等にCT検査を依頼したり、薬物検査を行ったりすることについては、右に述べた解釈の下においても、当該死亡が犯罪に起因するものかどうかを判断するため、遺族の承諾を得るなどして検視の機会にこれらを行うことが禁止されているものではないと考えている。

二について

 警察法施行令(昭和二十九年政令第百五十一号)第二条第四号に掲げられている「犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費及び謝金」としては、刑事訴訟法第二百二十九条第二項に基づき司法警察員である警察官が行う検視への立会いに係る死体検案謝金、同法第二百二十三条第一項に基づき警察官が鑑定を嘱託して行われる死体の解剖に係る死体解剖謝金等が計上されており、これらは、予算科目上、医師等に対して支払う謝金として区分され、所要の予算措置が講じられている。
 警察官が刑事訴訟法の規定に基づき鑑定を嘱託する場合には、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)第百九十二条第一項により、鑑定の経過及び結果が簡単であるときを除き、鑑定人から、鑑定の日時、場所、経過及び結果を記載した鑑定書の提出を求めるようにしなければならないとされており、死体の解剖を伴う鑑定については、通常、鑑定人から鑑定書が提出されているものと承知している。
 なお、死体の解剖は大学における医学教育・研究の一環として必要な業務であるという側面もあり、死体解剖謝金と医師等の行為との間に必ずしも対価性があるとは考えていない。
 警察法施行令第二条第四号に掲げられている「犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費」とは、司法警察員である警察官が行う検視に医師の立会いを求める場合又は死体の解剖を伴う鑑定を警察官が嘱託する場合に必要となる経費であり、こうした経費については警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第三十七条第一項の規定により国庫が支弁することとされている。これらの規定に基づき前述の死体検案謝金、死体解剖謝金等の予算措置が講じられているのであるから、「法令に違反している」との御指摘は当たらない。

三について

 文部科学省においては、解剖学実習の必要性にかんがみ、従前から国立大学における解剖学実習のための予算(司法解剖分を含む。)を措置してきたところである。国立大学の法人化後において、国立大学法人に係る国の予算は、使途を特定しない運営費交付金として措置されることとなったが、解剖学実習は、大学の医学教育において必修の授業科目として位置付けられていることから、国立大学法人において、適切な対応がなされるものと考えている。

四について

 死体の解剖を伴う鑑定は、刑事訴訟法の規定に基づく警察官から医師個人への嘱託により行われるものであり、御指摘のような委託費を支払う契約にはなじまないと考えている。
 また、司法警察員である警察官が行う検視に立ち会った際に検案を行った医師に対しては、通常、遺族等から検案書の作成に要した費用が支払われるものと承知しており、重ねて警察から検案に係る御指摘の技術料や委託費を支払うべきものではないと考えている。

五について

 都道府県警察の科学捜査研究所及び警察庁の科学警察研究所においては、変死者又は変死の疑いのある死体について、必要に応じ、覚せい剤や麻薬等各種薬物を検出するための所要の検査を行っていると承知している。政府としては、引き続き、都道府県警察の科学捜査研究所等において、所要の検査が行われるものと考えており、必要に応じ、これら施設の検査体制の充実を図ってまいりたい。

六について

 刑事訴訟法に規定する手続以外の手続により行われた解剖において、当該死体につき犯罪と関係のある異常が認められたときは、死体解剖保存法(昭和二十四年法律第二百四号)第十一条により、死体を解剖した者は、二十四時間以内に解剖をした地の警察署長に届け出なければならないこととされ、これにより捜査機関への情報提供がなされ、適正な捜査活動の開始が期待されることから、刑事訴訟法に規定する解剖とそれ以外の解剖とが制度上区別されていることによる特段の弊害はないと考えている。



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