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平成十六年六月二十九日受領
答弁第一三六号

  内閣衆質一五九第一三六号
  平成十六年六月二十九日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員井上和雄君提出イラクにおける陸上自衛隊第一次支援群の人道復興支援活動の内容及びその実績に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員井上和雄君提出イラクにおける陸上自衛隊第一次支援群の人道復興支援活動の内容及びその実績に関する質問に対する答弁書



 第一について

 第一次イラク復興支援群(平成十六年一月二十六日に発出されたイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「法」という。)に基づく人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する命令により編成され、イラクに派遣された陸上自衛隊の部隊をいう。以下同じ。)に所属していた自衛隊員に対して、これらの自衛隊員が法に基づく人道復興支援活動又は安全確保支援活動に従事したことにより、法第十四条の規定に基づき支給されたイラク人道復興支援等手当並びに防衛庁の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第十一条の三の規定に基づき支給された俸給の特別調整額並びに同法第十四条の規定に基づき支給された爆発物取扱等作業手当、放射線取扱手当及び夜間特殊業務手当の合計額は、約八億円である。
 なお、人道復興支援活動としての医療に係る活動、給水に係る活動、学校等の公共施設の復旧・整備に係る活動及び輸送に係る活動並びに安全確保支援活動としての補給に係る活動にそれぞれ従事した自衛隊員に支払われたこれらの手当の額の内訳については、それぞれの活動に従事した人数を推測することが可能となり、ひいては、現地に派遣されている自衛隊員の安全確保に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

 第二の一について

 第一次イラク復興支援群にあっては、その衛生担当部隊に所属していた自衛隊員が医療に係る活動に従事したところであるが、その人数については、現地に派遣されている自衛隊員の安全確保に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。
 なお、当該衛生担当部隊には、医師、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、歯科医師、歯科技工士、薬剤師及び救急救命士の国家資格を保有している者が、それぞれ八名、四名、三名、三名、一名、一名、三名及び四名含まれていたところである。

 第二の二の(一)について

 第一次イラク復興支援群が医療に係る活動を実施した病院は、サマーワ総合病院、サマーワ母子病院及びヒドゥル総合病院である。

 第二の二の(二)について

 第一次イラク復興支援群による医療に係る活動については、現地の病院内で実施されている症例検討会に医官が参加し、症例の診断、治療方針等について助言及び指導を行うとともに、随時、病棟において医療器材の使用方法、当該医療器材を用いた治療方法等について現地の医師に助言及び指導を行ったところである。

 第二の二の(三)について

 第一次イラク復興支援群による活動の期間中、現地の病院に対して行った医療器材等の供与は、いずれも無償資金協力によるものであるが、その実績は、サマーワ総合病院に対する医療器材等の供与及び日本・イラク医学協会を通じたサマーワ母子病院に対する医療器材等の供与の二件である。
 なお、供与された医療器材等の品目、数量及び金額の内訳は、それぞれ別表第一及び別表第二のとおりである。

 第二の二の(四)及び三について

 第一次イラク復興支援群による活動の期間中、医官は、現地の病院内で実施されている症例検討会において、症例の診断、治療方針等について助言及び指導を行ったものであり、直接現地の住民に対して注射、手術等の医療行為を行ったわけではない。
 他方、医官は、サマーワ宿営地においては、自衛隊の部隊に雇用された者を含む現地の住民約七十名に対して救急処置等を実施したところである。

 第二の二の(五)について

 現地の医師に対する助言及び指導については、医官が症例検討会に参加することを通じ、不特定多数の医師に対してこれを行ったものであることから、その対象となった現地の医師数をお答えすることは、困難である。

 第二の四について

 (一) 御指摘の訪日及び自衛隊中央病院への訪問(以下「本件招聘」という。)は、事実である。
 (二) 本件招聘については、防衛庁及び陸上自衛隊並びに本件招聘の実施主体である独立行政法人国際協力機構と協議しつつ、外務省が計画したものである。
 (三) 本件招聘は、我が国が今後のムサンナー県における医療事情の改善のための支援を円滑に実施することができるよう、ムサンナー県における中核の四病院(サマーワ総合病院、サマーワ母子病院、ヒドゥル総合病院及びルメイサ総合病院をいう。以下同じ。)の長及び同県保健局長(以下「病院長等」という。)と我が国関係者とが当該支援の在り方についての協議を行うとともに、病院長等において我が国の経済協力制度や医療事情等についての理解を深めていただくことを目的としたものである。
 (四) 独立行政法人国際協力機構が負担した。
 (五) 本件招聘の目的は、(三)に述べたとおりであるが、病院長等が我が国を訪問している間、四病院における医療活動及びムサンナー県における保健行政は、何らの支障もなく行われていたものと承知している。

 第二の五について

 ムサンナー県においては、老朽化した病院施設等の改善、不足している基本的な医療器材等の供与、医師や看護師の専門的な知識及び技能の向上等を通じて、現地の住民が等しく医療に係る基礎的なサービスを容易に享受することができるようにすることが、喫緊の課題となっているものと認識している。

 第二の六について

 第一次イラク復興支援群による医療に係る活動については、その成果を定量的に申し上げることは困難であるが、現地の住民の生活の安定と向上に寄与したものと認識している。

 第三の一について

 第一次イラク復興支援群にあっては、その施設担当部隊に所属していた自衛隊員が学校等の公共施設の復旧・整備に係る活動に従事したところであるが、その人数については、現地に派遣されている自衛隊員の安全確保に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

 第三の二について

 第一次イラク復興支援群が学校等の公共施設の復旧・整備に係る活動を実施した学校は、ムサンナー県ダラージ村のオローバ中学校及び同県ヒラール村のアルヘデフ小学校の二校である。

 第三の三について

 第一次イラク復興支援群が学校等の公共施設の復旧・整備に係る活動を実施した学校においては、学校校舎の扉等建具の修繕、壁等の補修及び電気配線の修繕等を実施したところである。

 第三の四について

 第一次イラク復興支援群にあっては、学校等の公共施設の復旧・整備に係る活動に関し、イラク人を含む延べ約千三百名の現地の住民を雇用したところであり、これらの者に支払われた賃金の総額は、約六千九百ドルである。

 第三の五について

 第一次イラク復興支援群にあっては、クリアーケースに収納された落書き帳(一冊)、ノート(一冊)、クレヨン(十二色の十二本)、鉛筆(六本)、鉛筆削り(一個)及びボールペン(赤色二本及び黒色二本)からなる文房具セット七千六十個について、これらを現地の小学生に配布するに当たっての輸送を実施したところであるが、これらの文房具セットは、自衛隊の部隊が購入したものではなく、民間団体が寄贈したものであるため、その購入に要した費用については、承知していない。

 第三の六について

 ムサンナー県教育局によれば、同県には約三百五十校の学校が存在し、その過半について、復旧・整備が必要であるとのことである。

 第三の七について

 ムサンナー県教育局によれば、同県サマーワ市には約百四十校の学校が存在し、その過半について、復旧・整備が必要であるとのことである。

 第三の八について

 第一次イラク復興支援群による学校等の公共施設の復旧・整備に係る活動については、ムサンナー県教育局等からの要望の内容を踏まえ、同局等の関係機関との調整等を行った上で、その実施箇所を選定してきたところであり、今後の活動においても、同様の方法により、適切に決定してまいりたい。

 第四の一について

 第一次イラク復興支援群にあっては、その給水担当部隊に所属していた自衛隊員が給水に係る活動に従事したところであるが、その人数については、現地に派遣されている自衛隊員の安全確保に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

 第四の二について

 第一次イラク復興支援群による給水に係る活動については、無償資金協力によってムサンナー県水道局に供与された給水車等に対して、運河から取水し浄水した水の供給を実施したところである。

 第四の三について

 第一次イラク復興支援群にあっては、給水に係る活動を終了した平成十六年五月二十六日までの間、合計約八千八百三十トンの水を浄水した。
 このうち、約四千三百四十トンについては無償資金協力によってムサンナー県水道局に供与された給水車等に対して供給し、約四百二十トンについてはオランダ軍に対して供給し、及び残余の約四千七十トンについては自家使用をしたところである。

 第四の四について

 ムサンナー県水道局に供与された給水車等に対して供給された水の量約四千三百四十トンは、同県水道局に供与された給水車約四百三十四台分の水の容量に相当する。

 第四の五について

 政府としては、平成十五年十二月九日、法第四条の規定に基づく基本計画(以下「基本計画」という。)を閣議決定し、この基本計画2(2)ア(イ)において、「自衛隊の部隊等による人道復興支援活動」として、「給水」を定めたところである。
 この基本計画については、政府調査団等による累次の報告内容も踏まえて決定されたものであり、ムサンナー県における給水状況に関しては、同県水道局の一日当たり及び一月当たりの水の供給量についてその数値を正確に把握していたわけではなかったものの、同県における水道設備等の状況が劣悪であり、生活用水の供給が質・量共に不十分であるとの事情については十分に把握していたところである。
 また、ムサンナー県水道局の現時点における一日当たり及び一月当たりの水の供給量については、現在、現地において同県水道局に対して照会中であるが、同県水道局自身がこれを把握していないこともあり、お答えできる段階にはない。

 第五について

 第一次イラク復興支援群が実施した人道復興支援活動については、病院長等ムサンナー県の関係者及び現地の住民から、感謝の意とともに当該人道復興支援活動を継続してほしいとの要望がたびたび表明されるなど、高い評価を受けているところである。
 政府としても、第一次イラク復興支援群においては、酷暑等の非常に厳しい環境下であったにもかかわらず、その能力を遺憾なく発揮し、現地の住民の生活の安定と向上に寄与することができる活動を適切かつ円滑に実施したものと考えている。


別表第一 サマーワ総合病院に供与した医療器材等


別表第二 サマーワ母子病院に供与した医療器材等


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