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平成十六年六月二十九日受領
答弁第一五四号

  内閣衆質一五九第一五四号
  平成十六年六月二十九日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員石井郁子君提出選択的夫婦別姓など民法改正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石井郁子君提出選択的夫婦別姓など民法改正に関する質問に対する答弁書



一の(一)について

 お尋ねの選択的夫婦別氏制度の導入については、法務大臣の諮問機関である法制審議会により、平成八年二月に、同制度の導入等を内容とする答申が出されているが、この問題については、婚姻制度や家族の在り方にかかわる重要な問題として、国民の間に様々な議論がある。そこで、右答申の内容や世論調査の結果を広く国民に公開するなどして、国民が議論をする上で参考となると思われる情報を国民に提供しつつ、国民各層や国会での議論の動向を注視しているところである。
 御指摘の「国民の意識」については、平成十三年に内閣府が実施した「選択的夫婦別氏制度に関する世論調査」の結果を指すものと解されるが、これによれば、選択的夫婦別氏制度を導入しても構わないとする者が四十二・一パーセントであったのに対し、夫婦は必ず同じ氏を名のるべきであって現在の法律を改める必要はないとする者が二十九・九パーセント、夫婦は必ず同じ氏を名のるべきであるが、婚姻によって氏を改めた者が婚姻前の氏を通称として使えるようにする法改正を行うことは構わないとする者が二十三・〇パーセントであったと承知している。

一の(二)について

 民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百五十条においては、夫婦は婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称するものとされているが、この規定は、夫又は妻の氏のいずれを称するかを夫婦の選択にゆだねていることから、男女の平等の理念に反するものではなく、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(昭和六十年条約第七号。以下「女子差別撤廃条約」という。)に違反するものではないと考えている。
 なお、選択的夫婦別氏制度の導入等の民法の改正については、一の(一)についてで述べたとおり、婚姻制度や家族の在り方にかかわる重要な問題として、国民の間に様々な議論があることから、法制審議会の答申の内容や世論調査の結果を広く国民に公開するなどして、国民が議論をする上で参考となると思われる情報を国民に提供しつつ、国民各層や国会での議論の動向を注視しているところである。

一の(三)について

 御指摘の男女共同参画会議基本問題専門調査会に法務省が提出した資料に記載された内容の一部は、平成十一年に刊行された文献によるものであったが、その後、当該資料に記載された諸外国における夫婦の氏に関する法制度について変化があったとは承知していない。
 諸外国における夫婦の氏に関する法制度の変化等については、今後とも注視してまいりたい。

二の(一)について

 民法第九百条第四号ただし書は、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の二分の一とする旨を規定しているが、これは、法律上の配偶者との間に出生した嫡出である子の立場を尊重するとともに、他方、被相続人の子である嫡出でない子の立場にも配慮して、嫡出でない子に嫡出である子の二分の一の法定相続分を認めることにより、嫡出でない子を保護しようとしたものであり、法律婚の尊重と嫡出でない子の保護との調整を図ったものである。したがって、この規定は、嫡出でない子を合理的な理由もないのに差別するものとはいえず、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「B規約」という。)第二十六条及び児童の権利に関する条約(平成六年条約第二号)第二条が禁ずる差別には当たらないと考えている。また、嫡出でない子の相続分と嫡出である子の相続分の差異は、子の性別にかかわらないものであるから、女性を差別するものとはいえず、女子差別撤廃条約の規定に違反するものではないと考えている。
 もっとも、民法の右規定等については、平成五年十月にB規約の実施状況に関して人権委員会が発したコメントなどを踏まえて、法制審議会において制度の見直しが検討され、平成八年二月に、嫡出である子と嫡出でない子の相続分を同等とすることなどを内容とする答申が出されている。しかし、この問題については、家族制度の在り方や国民生活にかかわる重要な問題として、国民の意見が大きく分かれている。そこで、答申の内容や世論調査の結果を広く国民に公開するなどして、国民が議論をする上で参考となると思われる情報を国民に提供しつつ、国民各層や国会での議論の動向を注視しているところである。
 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第十三条第四号及び第八号並びに戸籍法施行規則(昭和二十二年司法省令第九十四号)第三十三条第一項及び附録第六号において、子が嫡出であるか嫡出でないかを区別するものとしていることと、国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第三条等における嫡出でない子の取扱いについては、二の(三)についてで述べるとおり、法務省において検討を行ったが、いずれも、B規約第二十六条、女子差別撤廃条約及び児童の権利に関する条約第二条にいう差別には当たらないと考えている。
 ただ、戸籍の続柄の記載方法については、平成十六年三月二日に東京地方裁判所で言い渡された判決(同裁判所平成十一年(ワ)第二六一〇五号事件)において、戸籍の続柄欄における嫡出である子と嫡出でない子を区別した記載について、プライバシー権との関係で問題を指摘する判断が示されたことから、そのような見解にも配慮して、現在、法務省において、嫡出でない子の父母との続柄欄の記載方法を改めることを検討している。

二の(二)について

 我が国におけるのと同様に、法律上、嫡出でない子の相続分が嫡出である子の相続分の二分の一とされている国としては、例えば、フィリピンがあると承知している。

二の(三)について

 御指摘の児童の権利に関する委員会の最終見解等については、法的拘束力を有するものではないが、その内容等を十分に検討の上、政府として適切に対処していく必要があると考えている。
 当該最終見解等の御指摘の部分に対する政府の考え方は、次のとおりである。
 民法第九百条第四号ただし書の規定は、二の(一)についてで述べたとおり、B規約第二十六条、女子差別撤廃条約及び児童の権利に関する条約第二条にいう差別には当たらないと考えている。
 また、戸籍は、親族的身分関係を正確かつ明確に登録し、公証することを目的とする制度であるところ、民法上、嫡出である子と嫡出でない子とで法律的地位に差異がある以上、戸籍において子が嫡出であるか嫡出でないかを区別することができるようにしておく必要があることから、このような取扱いは、B規約第二十六条、女子差別撤廃条約及び児童の権利に関する条約第二条にいう差別には当たらないと考えている。
 さらに、国籍法は、出生時に日本国民との間に法律上の親子関係がある場合には、子が嫡出であるか否かにかかわらず、子は出生によって日本国籍を取得することができることとしている(同法第二条第一号)が、そのような関係がなかった場合には、国籍の安定性の要請等から、当然には日本国籍を取得することはないとしている(もっとも、その場合においても、父母の婚姻及びその認知によって準正子の身分を取得した子は、法務大臣への届出によって日本国籍を取得することができ(同法第三条)、また、日本人父から認知を受けている子は、父母が婚姻していなくとも、緩和された条件で帰化により日本国籍を取得することができることとされている(同法第八条第一号及び第五条)。)。以上の取扱いは、国際的にみても十分合理性を有するものであり、B規約第二十六条、女子差別撤廃条約及び児童の権利に関する条約第二条にいう差別には当たらないと考えている。

二の(四)について

 お尋ねの戸籍における嫡出でない子の父母との続柄欄の記載方法を改めることについては、現在、法務省において検討中であり、本年中に戸籍法施行規則の一部を改正する予定である。



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