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答弁本文情報

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平成十六年七月三十日受領
答弁第一六〇号

  内閣衆質一五九第一六〇号
  平成十六年七月三十日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員高橋千鶴子君外一名提出保育所待機児童解消、学童保育の充実に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員高橋千鶴子君外一名提出保育所待機児童解消、学童保育の充実に関する質問に対する答弁書



一の1について

 平成十三年七月六日に閣議決定した「仕事と子育ての両立支援策の方針について」においては、待機児童ゼロ作戦として、「保育所、保育ママ、自治体におけるさまざまな単独施策、幼稚園における預かり保育等を活用し、潜在を含めた待機児童を解消するため、待機児童の多い都市を中心に、平成十四年度中に五万人、さらに平成十六年度までに十万人、計十五万人の受け入れ児童数の増大を図る。」こととしている。保育所の受入れ児童数は、前年同月と比較して平成十四年四月においては約五万千人増加し、平成十五年四月においては約四万千人増加、平成十六年四月においては約四万六千人増加しているが、各月の受入れ児童の増加数は一定ではないことから、これらを平均すると前年度と比較して平成十四年度においては約五万三千人、平成十五年度においては約四万三千人増加している。また幼稚園における預かり保育の受入れ児童数は、平成十四年から平成十六年までの各年四月時点では把握していないが、平成十五年六月時点の受入れ児童数に基づき推計すれば、平成十五年度においては前年度と比較して九千人程度増加したものと考えている。なお、平成十六年度においても、保育所の新設や定員の増加等により、約五万人の受入れ児童数の増加を見込んでいる。
 都市部を中心に保育の実施への需要が伸びており、待機児童(児童福祉法施行規則の一部を改正する省令(平成十五年厚生労働省令第百三十号)による改正後の児童福祉法施行規則(昭和二十三年厚生省令第十一号)第四十条第一号に規定する保育の実施の申込みを行った保護者の当該申込みに係る児童であって保育の実施が行われていないものをいう。以下同じ。)が存在しているものの、順調に受入れ児童数が増加しており、待機児童ゼロ作戦については、着実に進んでいるものと評価している。

一の2について

 政府としては待機児童ゼロ作戦に基づき保育所の受入れ児童数の増加を図っているが、都市部を中心に、マンションの建設等により特定の地域へ人口が流入していることや女性の就業率が増加していることなどにより、保育の実施への需要が伸びているものと認識している。
 なお、政府においては、待機児童が多い市町村から、その背景等について適宜情報収集を行っているところであり、今後ともこうした取組を通じて、保育の実施への需要の適切な把握に努めてまいりたい。

一の3について

 保育所の受入れ児童数は、一の1についてで述べたように平成十四年度において約五万三千人増加し、平成十五年度において約四万三千人増加しており、待機児童ゼロ作戦に基づいて、順調に保育所の受入れ児童数が増加しているものと評価している。
 なお、政府としては、多様化し増大する保育の実施への需要に対応していくためには、施設の運営に当たり民間活力を活用することが重要であると考えているが、保育所について公営による運営を行うか否かは、保育の実施義務を有する市町村において、地域の実情に応じて判断されるものと考えている。

一の4について

 待機児童ゼロ作戦は平成十六年度に終了するが、政府としては、平成十七年度においても受入れ児童数の増加が図られるよう、平成十六年度において、待機児童が多い市町村を中心に保育所の整備を行うための予算を計上したところである。
 また、本年六月四日に閣議決定した「少子化社会対策大綱」においては、待機児童の解消のための取組を進めることを含め就学前の児童の教育・保育を充実させることとしている。同大綱に盛り込まれた施策については、その効果的な推進を図るため、平成十六年中に施策の具体的実施計画(新新エンゼルプラン)を策定することとしており、今後とも、待機児童に係る問題を計画的に解消するための取組を推進してまいりたい。

二の1について

 お尋ねの「学童保育」とは、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の二第十二項に規定する放課後児童健全育成事業を指すものと考えるが、同事業は、小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの(以下「放課後児童」という。)に、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るものであり、子育てと仕事の両立を支援する観点からも重要と考えている。

二の2並びに二の4の@及びBについて

 政府においては、毎年、放課後児童健全育成事業の実施状況を調査しており、平成十四年以降については、同事業の利用の申込みが行われたにもかかわらず利用できなかった放課後児童の数についても調査を実施している。平成十五年の調査において、当該放課後児童の数を把握している同事業の実施主体の数は千六百二十三か所であり、当該放課後児童の数は六千百八十人となっている。
 また、同事業については、児童福祉法施行令(昭和二十三年政令第七十四号)第一条に示されている「これを利用する児童の健全な育成が図られるよう、衛生及び安全が確保された設備を備える等により、適切な遊び及び生活の場を与えて実施されなければならない。」との基準に従い、それぞれの地域の実情に応じ多様かつ柔軟に実施されることが重要であると考えている。したがって、その適正規模や同一の小学校区における実施箇所数については、地域の実情に応じて、個別具体的に判断されるべきことであるので、一概にお答えすることはできないものであり、施設の規模などの基準を、国において、一律に定めることは困難である。

二の3について

 市町村は、次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号)第八条第一項に基づき、次世代育成支援対策の実施に関する行動計画(以下「行動計画」という。)を策定することとされており、現在、策定作業が進められているところである。
 「少子化社会対策大綱」においては、同大綱に盛り込まれた施策の具体的実施計画(新新エンゼルプラン)を平成十六年中に策定することとしており、政府としては、放課後児童健全育成事業などの保育・子育て支援事業等について、今後、市町村の行動計画の内容も踏まえつつ、その具体的内容について検討してまいりたい。

二の4のAについて

 放課後児童健全育成事業の国庫補助基準額の算定に際しては、同事業が実施される時間が、通常、放課後に限られていることから、遊びを主として放課後児童の健全育成を図る者(以下「放課後児童指導員」という。)は非常勤として算定しているところであり、補助金の算定の方式を変更することは考えていない。

二の4のCについて

 放課後児童健全育成事業を実施する施設等に関し基準を設けている地方公共団体は、全国で四十五あり、都道府県別の内訳は別表のとおりである。
 これらの基準においては、同事業を実施するための室、トイレ、利用する放課後児童の所持品を収納するためのロッカー等についての定めが設けられているが、これらの項目に関する基準については、その定め方が多様であるため、平均的な内容をお示しすることは困難である。

二の5について

 放課後児童健全育成事業については、新エンゼルプラン及び「仕事と子育ての両立支援策の方針について」に基づき計画的に同事業の実施箇所数の増加を図っており、平成十六年度予算においては、同事業の運営費として対前年度比約十三億円増の約八十七億円を計上しているところである。
 また、同事業の国庫補助基準額の算定に際しては、同事業が実施される時間が、通常、放課後に限られていることから、放課後児童指導員は非常勤として算定し、同事業を利用する放課後児童の数等に応じて加算するほか、一日当たりの実施時間が長時間となる場合の加算、休日等に実施する場合の加算等を設け、事業の実施に必要な補助を行っているところである。
 なお、補助の実施に当たっては、予算の重点的配分等の観点から、同事業を利用する放課後児童の数、一年当たりの実施日数等について一定の要件を設定しているところであり、すべての事業を補助の対象とすることは困難である。

二の6について

 放課後児童健全育成事業の法制化を行った趣旨は、同事業を児童福祉法上の制度として明確に位置付け、社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律(平成十二年法律第百十一号)第一条の規定による改正前の社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第三項に規定する第二種社会福祉事業として、必要最小限の規制及び各種の優遇措置を講ずることにより、事業の質の確保を図りつつ、その一層の普及を図ることである。また、同事業はそれぞれの地域の実情に応じ、児童館、学校の余裕教室等を活用して行われるものであり、必ずしも固有の施設を必要とするものではない。
 また、御指摘の地域子ども教室推進事業や地方公共団体が独自に行っているすべての児童を対象とした放課後の居場所づくりの取組については、地域で子供を育てる気運を醸成し、児童が異なる年齢の児童と交流し、体験活動などを行う場として有意義と考えており、今後とも地域子ども教室推進事業の充実を図るとともに、放課後児童健全育成事業と、それぞれの特色がいきるよう連携を図ってまいりたい。


別表


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