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平成十六年八月十日受領
答弁第一六号

  内閣衆質一六〇第一六号
  平成十六年八月十日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員平岡秀夫君提出国の財政に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員平岡秀夫君提出国の財政に関する質問に対する答弁書



一について

 一般会計の財源の確保を目的としたやむを得ない特例的な措置として、特別会計から一般会計への繰入れ等を行い、今後、一般会計から特別会計への繰戻し等を行うことが法律上定められているものは、繰戻し等を行うこととされている運用収入に相当する額を除き、国民年金特別会計において四千四百五十四億円、厚生保険特別会計において二兆六千三百五十億円、自動車損害賠償保障事業特別会計において四千八百四十八億円及び交付税及び譲与税配付金特別会計において五兆五千八百四十億円である。
 これらの今後の繰戻し等についての政府の方針及び当該繰入れ等を行った妥当性については、以下のとおりである。
 国民年金特別会計においては、平成六年度及び平成七年度に国庫負担金を繰り延べたものについて、後日、一般会計から国民年金特別会計国民年金勘定へ繰り入れることとされているが、今後の国の財政状況等を勘案する必要があり、現時点では、具体的な繰入れの計画は定めていない。また、当該国庫負担金の繰延べについては、極めて厳しい財政事情の下、更なる特例公債の発行を避けるため、国民年金事業の運営に支障が生じない範囲においてやむを得ず特例的な措置を採ったものであり、妥当であったと考える。
 厚生保険特別会計においては、平成七年度から平成十年度までにかけて国庫負担金を繰り延べたものについて、後日、一般会計から厚生保険特別会計年金勘定へ繰り入れることとされているが、今後の国の財政状況等を勘案する必要があり、現時点では、具体的な繰入れの計画は定めていない。また、当該国庫負担金の繰延べについては、極めて厳しい財政事情の下、更なる特例公債の発行を避けるため、厚生年金保険事業の運営に支障が生じない範囲においてやむを得ず特例的な措置を採ったものであり、妥当であったと考える。
 自動車損害賠償保障事業特別会計においては、平成六年度及び平成七年度に一般会計に繰り入れたもののうち、既に一般会計から自動車損害賠償保障事業特別会計へ繰り戻したものを除いたものについて、原則として平成十七年度から平成二十三年度までの間において分割して、一般会計から自動車損害賠償保障事業特別会計に繰り戻すこととしている。また、当該繰入れについては、極めて厳しい財政事情の下、更なる特例公債の発行を避けるため、自動車損害賠償責任再保険特別会計の運営に支障が生じない範囲においてやむを得ず特例的な措置を採ったものであり、妥当であったと考える。
 交付税及び譲与税配付金特別会計においては、平成六年度から平成十六年度までにかけて地方交付税に加算することとされている額の全部又は一部を加算しなかったものについて、平成十七年度において千九百六十三億円、平成十八年度において四千二百八十九億円、平成十九年度において五千百三十九億円、平成二十年度において五千五百十七億千四百八十八万九千円、平成二十一年度において七千二十七億円、平成二十二年度において六千八百九十九億円、平成二十三年度において六千二百七億円、平成二十四年度において五千四百七十一億円、平成二十五年度において四千七百四十九億円、平成二十六年度において四千四億円、平成二十七年度において三千三百二十億円、平成二十八年度において二千五百八十一億円、平成二十九年度において千九百五十二億円、平成三十年度において千二百八十八億円及び平成三十一年度において六百六十億円を各年度の地方交付税に加算するとともに、平成九年度及び平成十年度に交付すべきであった額を超えて交付されたもののうち、既に精算されたものを除いたものについて、平成十七年度において八百七十億円、平成十八年度において八百七十億円、平成十九年度において八百七十億円、平成二十年度において八百七十億円、平成二十一年度において八百七十億円、平成二十二年度において八百七十五億七千七百五十一万九千円を各年度の地方交付税から減額することとされている。また、平成六年度から平成十六年度までにかけての地方交付税の不加算については、毎年度の地方財政対策において、地方財政の円滑な運営に支障が生じないよう所要の地方交付税の総額を確保した上で、国と地方の財政事情等を踏まえ、当該年度において地方交付税に加算することとされていた額の全部又は一部を加算せず、法律の定めるところにより後年度の地方交付税に加算することとされたものであり、妥当であったと考える。

二について

 御指摘の試算については、経済財政諮問会議における「構造改革と経済財政の中期展望‐二〇〇三年度改定」(平成十六年一月十九日閣議決定。以下「今次改定」という。)の審議のための参考資料として内閣府が作成し、経済財政諮問会議に提出したものである。今次改定の最終年度は平成二十年度であるが、「基礎的財政収支については二〇一〇年代初頭までの期間を視野に入れる」とされていることを踏まえ、平成二十一年度から平成二十五年度までの基礎的財政収支等一部の計数については、一定の仮定に基づいた試算結果を示している。
 試算は、内閣府が開発・利用している経済財政モデルを基礎とし、内閣府において、今次改定の考え方を基に種々の前提をおいて行ったものであるが、中期的な経済財政の姿を検討する際の参考資料としてその目的を十分果たし得るものであると考える。ただし、これらの前提は各年度の政府の方針を示すものではなく、また、試算結果は誤差を伴っていることから、相当の幅をもってみるべきであり、特に、収支については、税収の動向等不確実な要素が多いことに留意が必要であると考える。
 また、平成十五年十二月十七日に与党が決定した「平成十六年度税制改正大綱」の「第一 持続可能な社会保障制度と地方分権の推進を支える税制の確立を目指して」については、内閣府において、機械的な前提を置いて試算に反映させた。具体的には、平年度ベースで千六百億円に相当する平成十六年度税制改正における年金税制の見直しにより得られる税収を年金財源に充当するという前提を置いた。また、その後は、平成二十一年度に基礎年金拠出金の国庫負担割合が二分の一となるように、追加所要額を三兆円と想定し、平成十七年度から平成二十一年度までの五年間で段階的に、家計の負担において国庫負担割合を引き上げていくという前提を置いている。

三について

 「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(平成十三年六月二十六日閣議決定。以下「基本方針」という。)においては、第五章の「3.改革を通じる中期目標(プライマリーバランス等)の達成」や第六章の「2.平成十四年度予算」において、国・地方を通じた取組が重要である旨を明記しているところであり、基本方針における「プライマリーバランス」すなわち基礎的財政収支についても、国と地方の合計を対象として考えているところである。

四について

 金利上昇が財政負担に与える影響については、平成十六年一月二十三日に財務省が公表した「平成十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」において、金利上昇に伴う国債費、地方交付税等の増加を、他の前提となる経済指標は不変であるとの前提で仮定計算するという限定的な試算しか行っておらず、金利上昇によって全体としての財政負担がどうなるかについては明らかでない。したがって、平成十七年度予算に与える影響について、確たることを申し上げることはできない。
 なお、平成十六年六月二十九日に財務省が公表した「財政投融資対象事業に関する政策コスト分析(平成十六年度)」は、財政投融資を活用している事業について、一定の前提条件の下、平成十六年度から当該事業の終了までの最長八十年間の期間(以下「分析期間」という。)を通じて、国から当該事業に投入されると見込まれる補給金等及び国にとっての機会費用に当たるこれまでに当該事業に投入された出資金による利払軽減効果などの額を政策コストとして試算したものである。それによれば、前提条件の金利が平成十七年度以降一パーセント上昇すると仮定して試算した場合、政策コストは、分析期間を通じて約三兆円増加するが、機会費用を含んでいるため、そのまま国の歳出が増加するものではない。
 また、税収は、様々な経済活動の影響を受けるものであるため、金利の影響のみに着目した試算は行っておらず、御指摘のような四千億円程度の税収増の試算についても承知していない。



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