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平成十七年四月一日受領
答弁第三六号

  内閣衆質一六二第三六号
  平成十七年四月一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員川内博史君提出情報通信分野における個人情報の保護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川内博史君提出情報通信分野における個人情報の保護に関する質問に対する答弁書



一について

 「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(平成十六年総務省告示第六百九十五号。以下「電気通信事業ガイドライン」という。)及びその解説(総務省が平成十六年八月に公表したものをいう。)において、移動体端末の「発信者の位置を示す情報」とは、発信者である移動体端末を所持する者の位置を示す情報を、「位置情報」とは、移動体端末を所持する者の位置を示す情報であって発信者の位置を示す情報でないものを、「位置登録情報」とは、電気通信役務の利用者間の通信時以外に移動体端末の所持者が位置登録エリアを移動するごとに基地局に送られる位置情報をそれぞれ意味している。

二について

 発信者の位置を示す情報及び電気通信役務の利用者間の通信に係る位置情報が、発信者が通信を発した時点から受信者がその通信を受ける時点までの間にあって、電気通信事業者の管理支配下にある状態にあれば、電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第四条第一項の「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密」に該当すると考えられる。
 位置登録情報は、移動体通信において電気通信役務の利用者間の通信を成立させる前提として移動体端末から電気通信事業者に対して送信される情報であって、電気通信役務の利用者間の通信の構成要素となるものではないから、電気通信事業法第四条第一項の「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密」には該当しないと考えられる。

三について

 位置登録情報、発信者の位置を示す情報又は位置情報により特定の個人を識別することができる場合(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなる場合を含む。)、これらの情報は、それぞれ個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号。以下「個人情報保護法」という。)第二条第一項の「個人情報」に該当すると考えられる。

四について

 電話番号及び位置登録情報により特定の個人を識別することができる場合(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなる場合を含む。)、当該電話番号及び位置登録情報は、個人情報保護法第二条第一項の「個人情報」に該当すると考えられる。

五について

 お尋ねの事例については、第三者への提供に係る位置登録情報が個人情報保護法第二条第四項の「個人データ」に該当する場合には、同法第二条第三項の個人情報取扱事業者である電気通信事業者が、同法第二十三条第一項各号又は同条第二項に該当するときでないのに、あらかじめ本人の同意を得ないで第三者に当該位置登録情報を提供すれば、同条第一項の規定に違反したこととなり得ると考えられる。

六について

 個人情報の保存期間については、電気通信事業ガイドラインにおいて、各電気通信事業者が原則として当該個人情報の利用目的に必要な範囲内において定めるものとしており、個人情報である位置登録情報についても同様である。

七について

 医療分野における個人情報の保護のための格別の措置については、個人情報保護法上の個人情報取扱事業者とならない小規模事業者や死者に関する情報についても対象とするなどして個人情報の適正な取扱いのより厳格な実施を図るため、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインについて」(平成十六年十二月二十四日付け医政発第一二二四〇〇一号厚生労働省医政局長通知、薬食発第一二二四〇〇二号厚生労働省医薬食品局長通知及び老発第一二二四〇〇二号厚生労働省老健局長通知)を発出し、また、平成十六年十二月二十八日、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成十三年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第一号)等の医学研究に関する指針を「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成十六年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第一号)等に改めた。
 医療分野における個人情報の保護のための法制上の措置については、厚生労働省で開催された「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」及び厚生科学審議会科学技術部会医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会等において検討を行った。そして、平成十六年十二月二十四日に公表されたそれらの取りまとめにおいては、医療分野における個人情報の保護のための格別の措置として右に述べた措置がとられること、医師、看護師等の国家資格を有する者について既に関係法律において守秘義務が定められていること、患者や遺族からの診療記録の開示の求めに応じる取組を推進する「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(平成十五年九月十二日付け医政発第〇九一二〇〇一号厚生労働省医政局長通知)が既に発出されていること等から、現段階においては、個別法を整備しなければ十分な個人情報保護を図ることができないという状況にはなく、これらに基づく取組が的確になされることが、まず重要であるという結論が得られている。
 金融・信用分野における個人情報の保護のための格別の措置については、個人情報保護法上の個人情報取扱事業者とならない小規模事業者も対象とするなどして個人情報の適正な取扱いのより厳格な実施を図るため、「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」(平成十六年金融庁告示第六十七号)及び「経済産業分野のうち信用分野における個人情報保護ガイドライン」(平成十六年経済産業省告示第四百三十六号)をそれぞれ平成十六年十二月六日及び同月十七日に制定した。
 金融・信用分野における個人情報の保護のための法制上の措置については、金融審議会金融分科会特別部会において検討を行い、平成十六年十二月二十日に公表されたその取りまとめを踏まえ、事業者における個人顧客情報の適切な取扱いを確保するため、銀行法施行規則(昭和五十七年大蔵省令第十号)、保険業法施行規則(平成八年大蔵省令第五号)等を改正し、必要な規定の整備を行った。
 また、産業構造審議会割賦販売分科会個人信用情報小委員会においても検討を行い、平成十六年十二月二十四日に公表されたその取りまとめにおいては、個人情報取扱事業者の従業者等による業務上の地位を利用した個人情報の漏えい行為に対し業種横断的な視点に立って法制上の措置を検討することが必要との結論が得られている。
 情報通信分野における個人情報の保護のための格別の措置については、平成十六年八月三十一日、個人情報保護法上の個人情報取扱事業者とならない小規模事業者も対象とするなどして個人情報の適正な取扱いのより厳格な実施を図るため、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(平成十年郵政省告示第五百七十号)を電気通信事業ガイドラインに改め、また、「放送受信者等の個人情報の保護に関する指針」(平成十六年告示第六百九十六号)を制定した。
 情報通信分野における個人情報の保護のための法制上の措置については、総務省で開催された「電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会」及び「放送分野における個人情報保護及びIT時代の衛星放送に関する検討会」において検討を行い、それぞれ平成十六年十二月二十四日及び平成十七年二月二十四日に公表されたそれらの取りまとめにおいては、分野横断的に個人情報を漏えいする行為等を処罰できることとするための法制度の整備の検討を今後進めていくことが適当であるとの結論が得られている。

八について

 位置登録情報の取扱いの在り方については、位置登録情報の取扱方法の多様化等の状況も踏まえて今後とも必要に応じ適切に検討してまいる所存であるが、各電気通信事業者により電気通信事業ガイドラインに従った適正な取扱いが行われるものと認識している。



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