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答弁本文情報

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平成十七年四月十五日受領
答弁第四七号

  内閣衆質一六二第四七号
  平成十七年四月十五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員今野東君提出遺棄化学兵器処理事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員今野東君提出遺棄化学兵器処理事業に関する質問に対する答弁書



一の1について

 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(平成九年条約第三号)に基づき中国において遺棄化学兵器を廃棄処理する事業(以下「処理事業」という。)の現在の実施体制については、内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室が処理事業に関する業務を所掌し、平成十六年度からその業務の一部を株式会社遺棄化学兵器処理機構(以下「機構」という。)に業務委託している。
 処理事業については、平成十四年度及び平成十五年度において、内閣府が財団法人日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター及びプロジェクト・マネージメント・コンサルタント(以下「PMC」という。)に対し調査・研究等を業務委託して実施したところ、平成十六年度から、機構に業務委託することとしたのは、同年度以降、中国吉林省ハルバ嶺における処理事業(以下「ハルバ嶺事業」という。)に関し、従前の調査・研究等の業務に加え、発掘回収施設等の建設や各種装置の製造に係る調達及び履行管理並びに施設運転管理に関する業務等が必要となることが見込まれ、これらの業務を一体的に処理させることが適当であると考えられたことによるものである。

一の2について

 PMCは、処理事業に係る基本計画の策定、実処理技術の選定、発掘回収施設等の設計など国が行う業務に対するコンサルティングを行ってきた。これまでの国とPMCの間の契約の内容等については、別表のとおりである。

二の1について

 実処理技術として中和法でなく燃焼法を選定した理由については、遺棄化学兵器は長期間地中に埋設されているため、化学剤の成分等が変質していると考えられるところ、中和法ではこれらの変質した成分等を含む化学剤を安定的に無害化処理することが不確実であると考えられたこと及び燃焼法は欧米諸国の化学兵器の処理においても採用され安定的に化学剤を無害化処理する面で実績を有していることである。
 選定の具体的な経緯については、内閣府(旧総理府を含む。)において、平成十二年七月から実処理技術の選定に関する検討を開始し、技術選定に必要な調査及び実験を行うとともに、学識経験者で構成される実処理技術の検討チームの評価を踏まえ、平成十四年四月から日中両国の専門家により実処理技術を一つに絞り込む作業を開始した。その結果、平成十五年四月に開催した日中共同作業グループ会合において、燃焼法を基本的な処理技術として採用することについて合意したところである。
 また、適切な管理の下で燃焼法により処理を行えば、焼却過程で化学剤を適切に分解し、その過程で発生する分解物を排ガス処理設備で十分に除去することができるため、環境中に排出される排ガスに含まれる汚染物質の濃度は極めて低くなり、中国政府が定める焼却設備の排出口に関する環境基準を確実に遵守することとなることから、排ガスによって周辺環境が汚染されるという問題は生じないものと考えている。

二の2及び3について

 実処理プラントの建設を含め、実処理の事業については、今後、具体化していくこととしている。したがって、現段階においては、お尋ねの「排他的権利を有する企業」は把握しておらず、また、実処理プラントを建設する企業は未定であり、その候補となる企業をお示しすることは困難である。

三の1について

 PMCは、機構から業務を受託し、ハルバ嶺事業に係る発掘回収施設等の基本設計、中国側専門家との詳細設計に関する調整の事務等を行っている。

三の2及び四について

 平成十六年度に内閣府と機構との間で、処理事業に関する総合管理業務を行うことを内容とする契約及びハルバ嶺事業の準備業務を行うことを内容とする契約を締結している。契約方式はいずれも随意契約であり、契約金額はそれぞれ約七十八億三千万円及び約九千万円である。
 平成十七年度においても引き続き、右の総合管理業務及び準備業務に係る契約を締結している。契約方式はいずれも随意契約であり、契約金額はそれぞれ約八十四億四千万円及び約三億四千万円である。また、この外の個別の契約については処理事業の進ちょくに応じて締結していくこととなるため、現段階において、これをお示しすることはできない。

三の3について

 機構は、処理事業に関する発掘回収施設等の設計等の業務を実施している。処理事業は、長期間埋設された大量の遺棄化学兵器を処理するものであり、世界に前例のない知見・技術を新たに蓄積しながら進めていくという特殊性を有するものであるところ、機構は、処理事業に有用な調査手法や技術上の情報等を有しており、業務の委託先として機構以外の者への代替は困難であることから、機構との間の契約は、随意契約によっているところである。


別表 国とPMCの間の契約の内容等


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