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平成十七年四月二十二日受領
答弁第五一号

  内閣衆質一六二第五一号
  平成十七年四月二十二日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 細田博之

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員松野信夫君提出水俣病問題における被害者救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松野信夫君提出水俣病問題における被害者救済に関する質問に対する答弁書



一について

 環境省が平成十七年四月七日に発表した「今後の水俣病対策について」における「すべての水俣病被害者」としては、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号。以下「公健法」という。)第四条第二項の認定を受けた者、水俣病総合対策実施要領(平成八年一月十二日付け環保企第十四号環境庁企画調整局環境保健部長通知別紙。以下「実施要領」という。)第三章に規定する医療事業の対象である者、最高裁判所平成十六年十月十五日第二小法廷判決(民集五十八巻七号千八百二頁。以下「最高裁判決」という。)等の確定判決において損害賠償請求が認容された者、今後再開することとしている実施要領に規定する保健手帳(以下「保健手帳」という。)の交付の対象となる者等を考えている。

二、三及び五について

 実施要領に規定する医療手帳(以下「医療手帳」という。)の交付の再開については、平成七年のいわゆる政治解決においては、医療手帳を交付された者に汚染原因企業から一時金を支給することとされていたなど、当時係属していた裁判等の和解としての側面を持つものであったことを踏まえ、今回の措置においてはこれを行わないこととしているものである。一方、保健手帳の交付の再開については、給付内容に関して療養手当の支給の有無という差異はあるものの、被害者間の公平性を可能な限り確保するという観点も踏まえ、医療費の給付については現行の医療手帳を交付された者に対するものと同等とし、医療費の自己負担分を全額支給する等の拡充を行った上で、これを行うこととしたものである。

四について

 平成七年のいわゆる政治解決を踏まえ医療手帳を交付された者と保健手帳を交付された者との間で差異が設けられてきたことには、一定の合理性があると考えているが、今回の保健手帳の交付の再開に当たっては、二、三及び五についてでお答えしたこと等を考慮して、保健手帳を交付された者に対する医療費の自己負担分を全額支給する等の拡充を行った上で、四肢末梢優位の感覚障害を含む水俣病にも見られる一定の神経症状を有する者を幅広く救済の対象としているものである。

六について

 公健法は公害健康被害の補償等に関する基本的な法律であり、水俣病についても公健法に基づき公害健康被害に係る被害者の認定及び補償が行われる仕組みとなっており、今後とも公健法を適切に運用してまいりたい。なお、公健法に基づき水俣病と認定された者(以下「被認定者」という。)は、患者団体と汚染原因企業との間で締結された協定書に基づき、その希望により、公健法に基づく補償に代えて汚染原因企業から直接補償が受けられることとされており、これまですべての被認定者が当該協定書に基づく補償を選択しているものと承知している。
 御指摘の附帯決議については、公害健康被害認定審査会(以下「認定審査会」という。)における水俣病の認定の審査(以下「認定審査」という。)に当たり、認定の申請の際に提出される医師の診断所見も資料とされているところである。また、これまでも公健法に基づく水俣病の認定の申請を行っている者(以下「認定申請者」という。)の数等に応じて、検診の体制の確保に努めてきたところであり、最高裁判決後における認定申請者の増加に対しても、関係県市と協力して引き続き検診の体制の確保に努めていくこととしている。さらに、政府においては、従来から水俣病に係る各種調査研究を行っており、これは、水俣病対策にかかわる医師の資質の向上にも寄与していると考えている。

七について

 熊本県及び鹿児島県における現時点の検診及び認定審査の体制については、最高裁判決後に急増している認定申請者に対して十分なものではないと認識している。このため、国としては、医療機関に対する検診の協力依頼及び認定審査会の円滑な運営に向けた取組を関係県市と協力して行ってきたところであり、引き続き検診及び認定審査の体制の整備に向けた取組を進めていくこととしている。

八について

 お尋ねの費用及び時間については、正確な数値をお答えすることは困難である。また、現時点では、公健法に基づく認定業務に要する費用という観点からの業務の見直しについては、考えていない。

九について

 水俣病の認定業務の推進のためには、検診及び認定審査に係る医師の確保が不可欠な条件であるが、このような業務に携わることができる医師の数は限られていることから、現時点においては、国及び関係県市が協力して、これらの医師の確保を始めとした検診及び認定審査の体制の整備を行うことが重要であると考えており、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法(昭和五十三年法律第百四号)の改正については考えていない。

十について

 「今後の水俣病対策について」で示した対策は、平成十八年に水俣病のいわゆる公式確認から五十年という節目の年を迎えるに当たり、平成七年のいわゆる政治解決や最高裁判決も踏まえ、医療対策の一層の充実や水俣病発生地域の再生、融和の促進等を図るために行うものであり、水俣病問題の最終的かつ全面的な解決に向けて、関係者の理解と協力を得ながらその実施に取り組んでまいりたい。



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