衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十八年二月七日受領
答弁第二九号

  内閣衆質一六四第二九号
  平成十八年二月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員長妻昭君提出耐震偽装に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出耐震偽装に関する質問に対する答弁書



一の1及び2について

 平成十七年十月七日にイーホームズ株式会社(以下「イーホームズ」という。)の関係者を名のる男性から国土交通省にあった匿名の電話の内容は、イーホームズにおいて建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)の規定により備え付けることとされている帳簿が適切に整備されていないこと並びにイーホームズ新宿支店及び池袋支店において天空率(建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百三十五条の五に規定するものをいう。以下同じ。)の審査が適切に行われていないことを指摘するものであった。

一の3について

 平成十八年一月二十三日の記者会見において、国土交通事務次官は、平成十七年十月二十四日に国土交通省がイーホームズに立入検査をした際にイーホームズは「天空率をチェックしていた」との発言をしている。当該立入検査において、国土交通省の担当職員がイーホームズ新宿支店所属の確認検査員に天空率のチェック方法等について聞き取り調査を行い、イーホームズが建築基準法の確認を行うに当たり建築基準法施行規則(昭和二十五年建設省令第四十号)第一条の三第一項表一に規定する必要な図面があるかどうかを確認していること、測定点ごとの計画建築物の天空率の値と適合建築物の天空率の値の差が〇・〇二パーセント以上であるかどうかを確認していること、逐一計算ソフトや手計算によるチェックは行っていないこと並びに同省において無作為に抽出したイーホームズ新宿支店における建築確認日を平成十七年二月二十八日及び三月十五日とする二物件について、天空率の計算に係る書類の写しの提供を求めて、天空率の計算が正しいことを確認していることから、御指摘の国土交通事務次官の発言は、誤りではない。
 匿名の電話があった日から立入検査を行った日まで二週間以上の期間を要したのは、適確に立入検査を行うための準備を行っていたためである。

一の4について

 平成十七年十月二十四日に国土交通省がイーホームズに対して行った立入検査は、イーホームズにおいて建築基準法の規定により備え付けることとされている帳簿が適切に整備されているかという点並びにイーホームズ新宿支店及び池袋支店で天空率の審査が適切に行われているかという点について検査する目的で行ったものである。

二の1について

 国土交通省住宅局建築指導課長の記憶によれば、御指摘の電話は、平成十七年十一月十五日十五時ごろ、伊藤代議士から同課長に対してであったとのことである。

二の2について

 平成十七年十一月十五日に伊藤代議士が株式会社ヒューザー(以下「ヒューザー」という。)社長らとともに国土交通省を訪問した際、応対した同省職員は、小川富由同省住宅局建築指導課長であり、これに高見真二同課安全技術調査官も同席した。なお、伊藤代議士は、同課長との面談後、山本繁太郎同省住宅局長と面談し、これに同課長及び同調査官も同席した。

二の3について

 国土交通省住宅局建築指導課職員がイーホームズから構造計算書の偽装の疑いについて電子メールで連絡を最初に受けてから、同課長が構造計算書の偽装について把握するまでの間の経緯は以下のとおりである。
 平成十七年十月二十六日十時五十分に、イーホームズ社長から同課職員あてに送信された「当社に申請され確認処分を下ろした物件(共同住宅)について、構造計算における認定プログラムの計算書が設計者により意図的に改ざん(偽造)された事実が発覚しました。事態が重要ですので特定行政庁に通知する前にご報告に伺いたくお願い致します。」との電子メールが最初の連絡であり、当該電子メールに対しては、同課職員から通常の違反案件では指定確認検査機関(建築基準法第七十七条の二十一第一項に規定する指定確認検査機関をいう。以下同じ。)から特定行政庁(同法第二条第三十二号に規定する特定行政庁をいう。以下同じ。)に通知が行われることを念頭に「本件は申請者と貴社との問題」と回答した。同月二十七日に、イーホームズ社長から「本件問題は、当機関が指定を受けている確認検査機関業務の範囲にとどまらない、プログラムの認定やデベロッパー設計事務所の許認可免許等の問題に関わるもの」との電子メール及び電話を受け、同月二十八日にイーホームズと面談を行うこととした。同日、イーホームズ社長と同課職員が面談し、相談に係る物件が工事中又は未竣工の四物件であることを確認した。翌二十九日にはイーホームズ社長より同課職員あてに、イーホームズが建築基準法に基づく確認を行った物件のうち竣工済みの七物件を含む十一物件で偽装が認められるとの電子メールが届いた。同月三十一日に同課職員からイーホームズ社長に対して、構造計算書の偽装に関する特定行政庁への通知と偽装された構造計算書の国土交通省への提出を電子メール及び電話で指示するとともに、偽装された構造計算書について翌日の十一月一日までに提出されたい旨を電話で伝えた。同月四日、北千住の未着工の一物件のみに係る偽装された構造計算書一式がイーホームズから国土交通省に提出され、構造計算書の偽装内容及び箇所の確認を構造計算プログラムの認定に係る性能評価を行っている財団法人日本建築センターに依頼した。同月七日、財団法人日本建築センターから、北千住の未着工の一物件について構造計算書の偽装内容及び箇所についての報告があり、構造担当の同課係長がその偽装内容が大幅であることを確認した。同月八日、同課内で打合せを行い、大幅な偽装が竣工済みの物件に及んでいるおそれがあることから、緊急の対策に着手した。この時点で同課長が構造計算書の偽装について把握した。
 なお、その後、同月九日に関係特定行政庁との打合せを行い、同月十日、イーホームズに対し二十物件、株式会社東日本住宅評価センター(以下「東日本住宅評価センター」という。)に対し一物件、合計二十一物件について、構造計算書、構造詳細図等の提出を求めた。同月十一日にイーホームズ及び東日本住宅評価センターから竣工済みの二物件及び工事中の三物件の合計五物件について、構造計算書、構造詳細図等の提出があり、同日、これら五物件の再計算による耐震性の検証作業に着手し、同月十五日まで精査した。

二の4について

 北側国土交通大臣に対する構造計算書の偽装に関する最初の報告は、国土交通省住宅局長から、二の3についてで述べたイーホームズ及び東日本住宅評価センターから構造計算書、構造詳細図等が提出された竣工済みの二物件を含む五物件についての耐震性の再計算の精査が終了した平成十七年十一月十五日に行われた。

二の5について

 お尋ねの伊藤代議士と国土交通省住宅局建築指導課長の面談は、平成十七年十一月十五日十五時三十分ごろから約二十分間程度行われ、その後、同代議士と国土交通省住宅局長との面談が五分間程度行われた。構造計算書の偽装に関する報告を国土交通大臣に行ったのは同日十七時過ぎごろであり、二の4についてで述べた耐震性の再計算の精査の結果を得て報告したものである。

二の6について

 構造計算書の偽装の公表については、平成十七年十一月十六日に、関係特定行政庁と国土交通省との間で関係特定行政庁から所有者、居住者への通知を行うと同時に公表する方針を確認した上で決定した。

二の7について

 国土交通省住宅局建築指導課長の記憶によれば、平成十七年十一月十五日に伊藤代議士がヒューザー社長らとともに国土交通省を訪問した際に、ヒューザー社長から、住民への告知又は公表に当たっては危険性の確認を十分行うなど慎重に対処してもらいたい、国指定の確認検査機関が偽装を見逃しており国にも責任があるので公的資金援助などが欲しい旨の発言、同課長から、住民の安全確保を最優先に考えている、居住の安定確保のために公営住宅等を使った受け入れ等の検討を行っている旨の発言があり、同代議士は専ら会話を聞く側に回っていたとのことである。

二の8について

 国土交通省住宅局長の記憶によれば、伊藤代議士が平成十七年十一月十五日に同局建築指導課長と面談した後、同日十五時五十分ごろから同局長と面談した際に、同代議士から、この件については、建築確認検査機関を指定した国にも責任があると思う、居住者の安全確保などが大事だと思うが、国としてどう対応するのかという旨の発言、同局長から、国としては、まずは居住者の安全確保と居住の安定が必要であり、公営住宅等を使った受け入れ等の検討を行っている旨の発言があったとのことである。

三について

 国土交通省においては、保有する文書等の提供等に当たっては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)その他の関係法令の規定に基づき、個々の事案ごとに適切に判断することとしている。
 御指摘の国土交通省とイーホームズとの電子メールのやり取りについては、平成十七年十一月二十九日の衆議院国土交通委員会に参考人として出席したイーホームズ社長の発言を受け、事実関係を明らかにするため提供等を行ったものである。
 また、御指摘のヒューザー等の構造計算書の偽装が確認された建築物の関係者とのやり取りについては、個々の要請について検討を行い、ヒューザーとのファックス等のやり取り、日本ERI株式会社との電子メールのやり取り等について、それぞれの同意を得て、提供等を行ってきたところである。

四について

 国土交通省が平成十七年十一月二十四日に姉歯秀次氏の一級建築士の免許の取消しに係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)に基づく聴聞を行った際、姉歯秀次氏は、大口の取引先から指示があったが、全部が誰かの指示によるものではない旨の説明を行った。

五について

 国土交通省が話を聞いた構造計算書の偽装が確認された建築物の関係者のうち、法令の規定に基づく報告徴収、立入検査、関係者への質問又は聴聞に係るものの名称及び話を聞いた日時は、次のとおりである。
 1 ヒューザー 平成十七年十一月二十五日
 2 株式会社サン中央ホーム 平成十七年十一月二十五日
 3 株式会社シノケン 平成十七年十一月二十五日
 4 イーホームズ 平成十七年十月二十四日、十一月二十四日、十一月二十五日及び十二月二十日
 5 日本ERI株式会社 平成十七年十二月八日
 6 東日本住宅評価センター 平成十七年十二月九日
 7 ビューローベリタスジャパン株式会社 平成十七年十二月十四日及び十二月二十一日
 8 財団法人日本建築総合試験所 平成十七年十二月十六日
 9 ユーディーアイ確認検査株式会社 平成十七年十二月十六日
 10 姉歯秀次一級建築士(当時) 平成十七年十一月二十四日
 11 株式会社エスエスエー建築都市設計事務所の一級建築士(当時) 平成十七年十二月二十二日
 12 株式会社スペースワン建築研究所の一級建築士(当時) 平成十七年十二月二十二日
 13 木村建設株式会社の一級建築士(当時) 平成十七年十二月二十二日
 14 株式会社下河辺建築設計事務所の一級建築士(当時) 平成十七年十二月二十二日及び平成十八年一月十八日
 15 株式会社シノケン東京支店の一級建築士(当時) 平成十七年十二月二十七日
 16 元株式会社スペースワン建築研究所の一級建築士(当時) 平成十八年一月二十日
 17 平成設計株式会社の一級建築士(当時) 平成十八年一月十八日
 18 元平成設計株式会社の一級建築士(当時) 平成十八年一月十八日
 国土交通省においては、法令の規定に基づく報告徴収、立入検査、関係者への質問又は聴聞により構造計算書の偽装が確認された建築物の関係者から話を聞いた内容の提供等については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の趣旨を踏まえつつ、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、行政手続法その他の関係法令の規定に基づき、個々の事案ごとに適切に判断することとしており、報告徴収、立入検査又は関係者への質問の結果については事実関係を明らかにするため、聴聞については概要を提供等することについて本人の同意を得て、それぞれ提供等している。

六について

 国家公務員を退職した者の再就職の実態については、そのすべてを把握しているわけではないが、平成十八年一月五日時点で国土交通省において把握している同省を退職したものが再就職している国土交通大臣及び同省地方整備局長の指定に係る指定確認検査機関の名称並びに当該指定確認検査機関における役職は、次のとおりである。
 1 財団法人日本建築センター 理事長、専務理事、総務部長、評定部長、顧問及び嘱託
 2 財団法人建築設備・昇降機センター 理事長
 3 財団法人住宅金融普及協会 会長
 4 財団法人住宅保証機構 理事長、専務理事、理事及び総務部長
 5 財団法人ベターリビング 理事長、専務理事、理事、総務部長及び環境・防耐火試験部長
 6 平和総合コンサルタント株式会社 業務推進事業部営業部員
 また、国家公務員を退職した者の指定確認検査機関への再就職については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)等の規定にのっとったものであり、問題はないと考えている。

七について

 一級建築士による構造計算書の偽装により、多数の住民の安全と居住の安定に重大な支障が生じているほか、国民の間に建築物の耐震性に対する不安が広がっていることは、極めて遺憾であると考えている。
 お尋ねの耐震偽装問題に関する政府の責任については、構造計算書の偽装が行われたマンションの居住者及び周辺住民等の安全確保と居住者の居住の安定確保に最優先に取り組むとともに、国民の不安を解消するため、実態を把握し、偽装を見抜けなかった建築基準法等の確認検査制度を点検し、再発防止と建築物の耐震化の促進に、全力を尽くすことにあると考える。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.