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平成十八年四月二十一日受領
答弁第二二七号

  内閣衆質一六四第二二七号
  平成十八年四月二十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員平岡秀夫君提出政府系金融機関の再編に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員平岡秀夫君提出政府系金融機関の再編に関する質問に対する答弁書



1の(1)について

 将来発生する可能性のある事態への対応について、現時点で具体的にお答えすることは困難であるが、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案」(以下「行政改革推進法案」という。)第四条第四号においては、「内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融について、新政策金融機関及び第六条第一項に規定する機関その他の金融機関により迅速かつ円滑に行われることを可能とする体制を整備するものとする。」と規定しているところである。

1の(2)について

 現行政策金融機関(行政改革推進法案第四条に規定する現行政策金融機関をいう。以下同じ。)については、貸し渋り対策をはじめ、民間金融機関のみでは適切な対応が困難な場合の資金供給など重要な役割を果たしてきたものと認識している。現行政策金融機関については、「特殊法人等整理合理化計画」(平成十三年十二月十九日閣議決定)等に沿って、これまでも業務の見直し等に取り組んできたところである。今般、簡素で効率的な政府を実現する観点から、行政改革推進法案及び「行政改革の重要方針」(平成十七年十二月二十四日閣議決定)等に沿って、政策金融改革を行うこととしている。

1の(3)について

 現行政策金融機関に対する財政支出は、現行政策金融機関が、それぞれの業務を適切に遂行するための所要額を措置しているものである。

1の(4)について

 現行政策金融機関がこれまで国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達において果たしてきた役割を踏まえ、行政改革推進法案第四条第一号においては、新政策金融機関(同条に規定する新政策金融機関をいう。以下同じ。)の担う機能として、これらの資金調達を支援する機能を位置付けているところである。

1の(5)について

 行政改革推進法案第四条第二号に規定する平成二十年度末における政策金融に係る貸付金の残高の対国内総生産比半減目標は、行政改革推進法案の成立後に、その規定に基づき、新政策金融機関に承継させる機能を限定するための措置、商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行の完全民営化に向けた措置並びに公営企業金融公庫の廃止のための措置等を講ずることにより達成されるものであり、「縮小規模は大きくはない」との御指摘は当たらないと考える。

1の(6)について

 行政改革推進法案第四条第三号は、「行政改革の重要方針」において、政策金融改革の基本原則として、「新たな財政負担を行わない」とされたことを受け、その趣旨を規定したものである。

1の(7)について

 お尋ねの財政負担の具体的な内容については、予算編成の過程において適切に判断していくことになるものと考える。

1の(8)について

 行政改革推進法案第五条第六号は、「行政改革の重要方針」において、「市場化テスト、評価・監視機関の設置により再編後も継続的な縮小努力を行う」等とされたことを受け、その趣旨を規定したものである。

1の(9)について

 現行政策金融機関が公表した平成十六年度の行政コスト計算財務書類等において、現行政策金融機関のリスク管理債権の総額は四兆五千七百九十八億円であり、リスク管理債権の貸付残高に占める割合は五・一一パーセントとなっている。

1の(10)について

 現行政策金融機関に対する検査については、主務大臣が法令に基づき、民間金融機関に対する検査と同様、立入検査を中心に、法令等遵守に係る分野及びリスク管理に係る分野に関して実施してきている。前者の分野に関する検査については、民間金融機関に対する金融検査マニュアルに準じて機関ごとに策定したマニュアルを用いて実施しており、後者の分野に関する検査については、法令に基づき委任を受けた金融庁が民間金融機関に対する金融検査マニュアルを用いて実施している。
 なお、新政策金融機関に対する検査については、今後の詳細な制度設計並びにこれを踏まえた制度の企画及び立案の過程(以下「今後の詳細な制度設計等」という。)において検討していくこととしている。

1の(11)について

 現行政策金融機関の融資判断については、現行政策金融機関において適切に審査の上行われているものと承知している。
 なお、現行政策金融機関の融資先の中には、経済環境の変化等により、当初想定された事業見込みが達成されていない企業もないわけではないが、現行政策金融機関において、適切な債権管理を行い、回収の最大化を図るとともに、所要の償却、引当て等を行い、財務の健全性確保に努めているものと承知している。

1の(12)について

 新政策金融機関の組織の在り方については、今後の詳細な制度設計等において、簡素かつ効率的な組織とすることを基本として、検討していくこととしている。

1の(13)について

 現行政策金融機関の職員の取扱いについては、今後の詳細な制度設計等において、検討していくこととしている。

1の(14)について

 国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫については、企業会計原則に準拠した行政コスト計算財務書類では御指摘のような財務状況となっているが、公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)第十八条に基づく財務諸表においては資産超過にある。これは、同条に基づく財務諸表上、不良債権について、あらかじめ貸倒引当金を積むのではなくて、財政資金の効率的使用の観点から、現に貸倒れが発生した時点で業務純益等により処理することとされていることによる。
 両公庫においては、業務の見直し等により、財務の健全性確保に努めてきたところであり、これらの財務内容は、今後改善傾向をたどるものと考える。

2の(1)について

 長及び長に準ずる地位にある者であり、具体的には、新政策金融機関の具体的な組織の姿や職責等を踏まえて定まるものである。

2の(2)について

 いかなる選任がお尋ねの選任に該当するかについては、適材適所ではない選任を行わないという観点から、事例に応じて判断していくことになるものと考える。

3の(1)及び(2)について

 「行政改革の重要方針」を踏まえ、内閣官房長官の下で開催された「海外経済協力に関する検討会」の報告書では、国際協力銀行の円借款については、援助の効率的実施及び顔の見える援助の観点から、技術協力及び無償資金協力とともに国際協力機構が一元的に実施すべきとされ、また、同銀行の国際金融等業務については、簡素で効率的な政府の観点から、新政策金融機関に統合すべきとされた。
 政府としては、同報告書を踏まえ、戦略的な海外経済協力の効率的な実施に向けて「海外経済協力会議(仮称)」を内閣に設置するなどの体制の構築を進めているところである。
 なお、国際協力銀行に統合する前の日本輸出入銀行、海外経済協力基金では、それぞれの業務分担は明確となっていたため、どちらが貸付けを行うのかの争いで非効率な業務運営になっていたのではないかとの御指摘は当たらないと考える。

3の(3)について

 国際協力銀行の国際金融等業務を承継する新政策金融機関の組織及び業務の在り方については、今後の詳細な制度設計等において、行政改革推進法案第五条第四号の規定に基づき、効率的なものとなるよう、検討していくこととしている。

3の(4)について

 国際協力銀行の海外駐在員事務所の取扱いについては、今後の詳細な制度設計等において、行政改革推進法案の規定に基づき、検討していくこととしている。

3の(5)について

 お尋ねの政府内体制の在り方については、「行政改革の重要方針」を踏まえ、内閣官房長官の下で開催された「海外経済協力に関する検討会」の報告書では、「海外経済協力会議(仮称)」を内閣に設置し、我が国の海外経済協力の重要事項を内閣総理大臣及び少数の閣僚で機動的かつ実質的に審議するとともに、海外経済協力の主要な手段である政府開発援助について、外務省が、「海外経済協力会議(仮称)」の審議する基本戦略の下、関係省庁との連携を深めつつ、引き続き、政府全体を通ずる調整の中核の任に当たること、また、戦略的な政府開発援助の観点から、円借款、技術協力及び無償資金協力をシームレスに取り扱い、国際協力機構が一元的に実施すること等が提言された。
 政府としては、同報告書を踏まえ、戦略的な海外経済協力の効率的な実施に向けて「海外経済協力会議(仮称)」を内閣に設置するなどの体制の構築を進めているところである。

4の(1)について

 行政改革推進法案第六条第一項の「完全民営化」とは、会社法(平成十七年法律第八十六号)を設立の根拠とし、政府の出資がない株式会社とすることをいう。

4の(2)について

 例えば、商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行を株式会社とすることにより、自主的な経営を行わせる措置を想定している。

4の(3)について

 政府の保有する株式の売却等の手段により縮減することを想定している。

4の(4)について

 お尋ねの措置は、自己資本の整備又は円滑な資金調達のための措置であるが、具体的には、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。

4の(5)について

 お尋ねの措置は、日本政策投資銀行の完全民営化に当たりその機能の主要な部分が維持されることを担保するための措置であるが、具体的には、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。そのような措置を講ずることは、4の(1)についてでお答えした「完全民営化」と矛盾するものではないと考える。

4の(6)について

 民営化後の日本政策投資銀行及び商工組合中央金庫の具体的な資金調達手段については、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。

4の(7)について

 日本政策投資銀行及び商工組合中央金庫の完全民営化に当たっては、両機関の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置を講ずることとしており、具体的には、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。

4の(8)について

 日本政策投資銀行及び商工組合中央金庫の完全民営化に当たっては、商工組合中央金庫の有する中小企業等協同組合その他の中小企業者を構成員とする団体及びその構成員に対する金融機能並びに日本政策投資銀行の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう必要な措置を講ずることとしており、具体的な業務の在り方については、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。

4の(9)及び(10)について

 日本政策投資銀行がこれまで行ってきた、いわゆる地域再生及び産業育成の分野に対する長期資金の供給等の機能並びに中小企業者に対する貸付けは、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に寄与してきたものと評価している。

5の(1)について

 行政改革推進法案第七条第一項に規定する「資本市場からの資金調達その他金融取引を活用して行う仕組み」については、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。

5の(2)について

 行政改革推進法案第七条第二項に規定する「移行の後の仕組みのために必要な財政基盤を確保するための措置」の具体的な内容については、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。

6の(1)について

 危機対応体制の具体的な在り方については、御指摘の政府等との関係も含め、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。

6の(2)について

 行政改革推進法案第十三条第一号は、「行政改革の重要方針」の御指摘の箇所を受け、その趣旨を規定したものである。「政府の出資に係る」資産とそれ以外の資産との区分は、事例に応じて判断していくことになるものと考える。

6の(3)について

 国民生活金融公庫の教育資金の貸付けについては、行政改革推進法案第八条第二項において、「低所得者の資金需要に配慮しつつ、貸付けの対象の範囲を縮小するものとする」と規定しており、当該貸付けと独立行政法人日本学生支援機構の奨学金との関係を含め、その在り方については、「行政改革の重要方針」を踏まえ、今後の詳細な制度設計等において検討していくこととしている。
 なお、平成十八年度一般会計予算において、国民生活金融公庫の教育資金の貸付けに対しては財政措置をしておらず、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金事業に対しては千百三十四億円の財政措置をしている。

6の(4)について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、例えば、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五」(平成十七年六月二十一日閣議決定)にあるとおり、郵政民営化と政策金融改革とは、資金の流れを「官から民へ」と変える上で、共に重要な改革と考える。



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