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平成十八年五月十六日受領
答弁第二四九号

  内閣衆質一六四第二四九号
  平成十八年五月十六日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出原子力空母の横須賀基地への配備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出原子力空母の横須賀基地への配備に関する質問に対する答弁書



一の1及び2について

 政府としては、従来から、米国の海軍(以下「米海軍」という。)の空母キティホークが退役する二千八年以降も同空母の後継艦を通常型空母とするよう求める横須賀市等の意向を米国政府に伝達し、また、米国政府内の検討状況について照会するなど、米国政府との間で緊密に連絡をとり、米国政府からは、空母キティホークの後継艦については決定されていないとの説明がされてきたところであるが、平成十七年十月二十七日に、二千八年に空母キティホークが退役し、ニミッツ級空母と交替する旨の通知があった。
 その後、米国政府との間では、右に述べた空母の交替が横須賀市等や住民の理解を得て円滑に実施されるよう、緊密に協議を行ってきており、例えば、本年四月十七日に行われたシーファー駐日米国大使と麻生外務大臣との会談において、シーファー駐日米国大使から、麻生外務大臣に対して、米海軍の原子力推進型の軍艦(以下「原子力軍艦」という。)の安全性に関する事項が記載された文書(以下「ファクトシート」という。)が手交されたところである。

一の3及び5並びに五について

 米海軍の空母キティホークとニミッツ級空母が交替し、その乗組員家族が我が国に居住することは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)及びその関連取極の下で行われるものである。
 政府としては、右に述べた空母の交替を通じて我が国周辺における米海軍の展開が引き続き維持されることは、我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与するものであると考えており、また、米海軍の原子力軍艦の我が国寄港時の安全性が確保されることを確信している。
 以上のような政府の立場については、従来から、国会等において説明を行ってきているところである。

一の4について

 政府としては、日米安保条約の下、空母キティホークを含め、我が国の施設及び区域を使用する米海軍の部隊がその抑止力をもって我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与しているものと認識している。

二の1、2及び7について

 米国政府が、米海軍の原子力軍艦について、累次にわたる政府声明及び覚書をもってその安全性を保証するとともに、その運航に関連して米国の港においてとられる安全上のすべての予防措置及び手続を我が国の港においても厳格に実施することを保証してきていること、ファクトシートにおいて、米海軍の原子力軍艦の安全性に関する方針をすべて堅持し厳格に実施するとの米国政府の従来からの方針が改めて明示的に確認され、また、米海軍の原子力軍艦の設計や構造に関する情報を含め、従来よりも詳細な説明がされていること、及び我が国寄港時を含め、米海軍の原子力軍艦について、これまで長期間にわたって安全に運航してきた実績があることから、政府としては、米海軍の原子力軍艦の我が国寄港時の安全性が確保されることを確信している。
 政府としては、米国政府に対し、我が国に寄港する米海軍の原子力軍艦の安全性について引き続き万全の対策をとるよう働きかけていく考えである。

二の3及び4について

 御指摘の本年二月十日の衆議院予算委員会における麻生外務大臣の答弁については、平成十七年十月二十八日に米海軍が空母キティホークをニミッツ級空母と交替させることを発表した際に米海軍が発表した文書において、これまでどおり米国政府が米海軍の原子力軍艦の安全性を保証する意向が明確にされていることを評価している旨を述べたものである。したがって、この答弁は、答弁の時点において、何らかの文書の提出を米国政府に求めていたという趣旨のものではない。
 なお、その後、本年三月二十三日に蒲谷横須賀市長から麻生外務大臣に対して原子力軍艦の安全性について文書による説明の要請がされた旨を米国政府に伝達したところ、米国政府は、ファクトシートの中で、米海軍の原子力軍艦の安全性の保証について、「ありとあらゆる面が引き続き堅持される」と明言している。

二の5及び6について

 政府としては、米海軍の原子力軍艦の軍艦としての性格上、一定の軍事機密上の制約を受けることはやむを得ないと考えているが、ファクトシートにおいては、米海軍の原子力軍艦の構造等について、従来以上の詳細な情報が提供されている。

二の8について

 政府は、米国政府から、ファクトシートで示されているとおり、原子炉の炉心から放射能の放出をもたらすような事故が起こることは想定し難いが、こうした想定し難い最大の事故を仮定した場合の詳細かつ慎重な分析によっても、米海軍の原子力軍艦がその停泊地点の周辺の住民に対して不当な放射線その他の原子核による危険をもたらすものではなく、御指摘のような甚大な被害が発生する事態はあり得ない旨の説明を受けている。

二の9について

 千九百九十九年十一月三十日に米海軍の空母ステニスがサンディエゴ近郊のノースアイランド海軍航空基地を出港した直後に、海底の泥が同空母の原子炉の冷却システムに吸い込まれたために、同空母の原子炉が緊急停止されたが、その四十五分後には原子炉が再稼働され、その間、原子炉の冷却機能は失われていなかったと承知している。
 千九百九十四年八月三日に、ニューポートニューズの造船所で修理中の米海軍の空母エンタープライズにおいて火災が発生したが、原子炉への影響はなく、また、火災発生時には原子炉は停止されていたと承知している。
 千九百六十三年四月十日に、米海軍の潜水艦スレッシャー号がケープコッド沖約二百海里の地点で約八千五百フィートの深海に沈没したが、沈没の原因は、パイプ系統の故障による海水の浸水であり、同艦の原子炉自体に問題が生じたわけではないと考えられており、その後の米国政府による累次の調査においても、沈没した原子炉の燃料からの放射能の漏出は確認されていないと承知している。
 政府は、米海軍の原子力軍艦の我が国寄港に際して原子力軍艦放射能調査を行ってきているが、横須賀におけるものを含め、米海軍の原子力軍艦に起因して放射能の異常値が確認されたことは、これまでにない。

二の10について

 お尋ねの「原子力艦」とは、原子力軍艦を指すものと考えるが、我が国において、その原子炉に係る事故が発生したことはないと承知している。

二の11について

 米海軍の原子力軍艦については、過去に人の健康を害し、海洋生物に悪影響を及ぼすような放射能の放出の事例はなく、また、その原子炉の炉心に損傷が発生した事例もないと承知している。

三の1、7及び8について

 政府としては、これまで、米海軍の原子力空母を含む原子力軍艦の我が国寄港時に、原子炉の修理や燃料の交換が行われたことはなく、今後も行われることはないが、原子炉の電気系統、蒸気系統等に関する日常的な維持管理の作業は、行われてきており、今後も行われるものと承知している。
 なお、米国政府からは、我が国における米海軍の使用する施設及び区域において放射能の管理が必要となるような作業のための施設が建設されることは今後もないとの説明を受けている。

三の2から4までについて

 御指摘の「施設整備」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、横須賀海軍施設において、我が国の予算により、米海軍の原子力空母の原子炉の修理のための施設の整備は行っていない。
 また、米国政府からは、今後とも我が国における米海軍の使用する施設及び区域において原子炉の修理が行われることはなく、そのための施設が整備されることはないとの説明を受けている。

三の5及び6について

 米国政府は、ファクトシートに述べられているとおり、我が国において米海軍の原子力軍艦の原子炉の修理や燃料の交換を行わないことも含め、米海軍の原子力軍艦の安全性に関する従来からの方針を今後とも堅持する旨を明言している。
 また、政府としては、米海軍の原子力軍艦の原子炉の修理や燃料の交換については、特別の装置が必要とされることから、我が国においては行い得ないと理解している。

四の1について

 我が国に寄港した米海軍の原子力軍艦において原子炉に係る事故が発生した場合、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)に基づく防災基本計画(平成十七年七月二十六日中央防災会議決定)等に従って、国、地方公共団体等の関係機関が連携して、情報の収集及び連絡、通信の確保、避難収容等の防護活動、社会秩序の維持、緊急輸送活動、救助・救急及び医療活動、復旧活動等の対応を行うこととなる。

四の2について

 我が国に寄港した米海軍の原子力軍艦において原子炉に係る事故が発生した場合、防災基本計画等に従って、国、地方公共団体等の関係機関が連携して的確な情報収集を行うことにより、適切に対処することができると考えている。

四の3及び4について

 我が国に寄港した米海軍の原子力軍艦において原子炉に係る事故が発生した場合、昭和三十九年八月二十四日の「外国の港における合衆国原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明」(以下「昭和三十九年米国声明」という。)や平成九年三月三十一日の在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続に関する日米合同委員会合意に基づき、在日米国大使館が外務省に対し通報することとなっている。また、通報を受けた外務省が関係する地方公共団体を含め国内の関係機関に対し通報する緊急連絡網が整備されている。米国政府は、航行不能となった米国の原子力軍艦を安全な状態とする責任を負う旨を昭和三十九年米国声明において明らかにしており、我が国政府は、米国政府に対し、当該原子力軍艦につき、適切な措置を講ずるよう要請することとなる。現時点において、御指摘のような「取決め」を新たに行うことは、検討されていない。
 政府としては、今後とも、関係する地方公共団体が実施する原子力防災訓練の実施等について、関係する地方公共団体及び米海軍と緊密に調整を行っていく考えである。



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