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答弁本文情報

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平成十八年六月十六日受領
答弁第三〇七号

  内閣衆質一六四第三〇七号
  平成十八年六月十六日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員前田雄吉君提出不良債権処理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員前田雄吉君提出不良債権処理に関する質問に対する答弁書



一の@について

 金融機関が自己の有する債権を債権回収会社に譲渡する場合に、譲渡価格に関する情報の債務者への開示を金融機関に義務付けることは、債権譲渡における個別の債権の評価といった営業上の重要な情報を開示しなければならなくなるなど、金融機関及び債権回収会社の正当な利益を害するおそれがあることから適当ではないと考える。

一のAについて

 債権回収会社は、金融機関その他の債権者から大量の債権を購入し、回収するという業務を行っており、購入価格を大幅に超える金額を回収できる債権がある一方、全く回収できないものもあることから、ある債権について購入価格を大幅に上回る回収を行っているとしても、そのことが直ちに不当であるとはいえず、御指摘のように「債権の額面の金額を要求できるとすることは、金融サービサーに不当な利得を与える」ことにはならないと考える。また、債権回収会社への債権譲渡によって、債務者の負担する義務の内容が加重されることはないから、債務者に不利益を生じさせるものでもない。
 したがって、御指摘のような規制を設けることは、適当ではないと考える。

一のBについて

 株式会社整理回収機構(以下「RCC」という。)は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)上の銀行であり、債権回収会社の許可を得ていること、また、RCCは、公的資金を用いて買取りをした預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第四項に規定する破綻金融機関(以下「破綻金融機関」という。)及び特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成八年法律第九十三号)第二条第二項に規定する特定住宅金融専門会社(以下「旧住専」という。)の貸付債権等の適切な整理又は回収に努め、破綻金融機関及び旧住専の破綻処理費用の最小化ひいては国民負担の最小化を図る役割を担っていることから、RCCについて御指摘のような規制を設けることは、適当ではないと考える。

二の@について

 一般に、金融機関がその保有する個人情報を第三者に提供することの当否については、関係法令に従い個々の具体的な事例に応じ判断されるべきものと考える。
 なお、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第二十三条第一項において、法令に基づく場合等においては、あらかじめ本人の同意を得ないで、同法第二条第四項に規定する個人データを第三者に提供できることとされており、例えば、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第一項の文書提出命令に基づく場合など、金融機関が本人の同意を得ないで、個人データを提供する場合があり得ると承知している。

二のAについて

 一般に、金融機関が債権の回収についての交渉を行うに際し、債務者に対して開示を要請する内容については、関係法令に従い個々の具体的な事例に応じ判断されるべきものと考える。
 なお、金融機関が債権の回収についての交渉を行うに際し、債務者の財産状況等を把握するため、必要な範囲において、債務者に対し関係者の財産状況等の開示を要請する場合があり得ると承知している。

二のB及びCについて

 一般に、金融機関が債権譲渡に際し、その保有する個人情報を第三者に提供することの当否については、関係法令に従い個々の具体的な事例に応じ判断されるべきものと考える。
 なお、金融機関が債権譲渡を行うに際し、実務においては、債権譲渡並びに債権の適切な管理及び回収に関する譲渡人及び譲受人の経済的利益を保護する観点から、必要な範囲において債務者及び保証人に関する情報を提供することが慣行として定着していると承知している。

三の@について

 一般に、競売や仮差押えの申立て等は、法律上認められている債権回収の手段であり、債権者である債権回収会社等が、法律の定める手続に従い、競売や仮差押えの申立て等を行うことのみをもって、連帯保証人等に対する脅迫行為であると評価することはできないと考える。
 なお、債権回収会社等の回収行為が、債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)などの法令に反してはならないことは当然であり、政府においては、今後とも債権回収会社等を適切に指導監督してまいりたい。

三のAについて

 金融庁において、確認できる範囲では、RCCが平成十四年四月から平成十八年三月までの四年間に債権者として破産手続開始の申立てを行った件数は、七十六件であると承知している。
 RCCにおいては、債務者による不正、財産の隠ぺい等が行われるおそれがあることなどから、RCCと債務者の間では解決が困難な場合又は種々の事情により民事再生手続若しくは会社更生手続によることが困難な場合に、手続の公平性及び透明性を確保し、貸付債権等について最大限の回収を図るため、破産手続開始の申立てを行うことがあるものと承知している。

三のBについて

 一般に、競売の申立ては、法律上認められている債権回収手段であり、御指摘の経済合理性の判断は、個々の事案ごとに、当事者において行われるべきものであると承知している。

四の@について

 RCCにおいては、回収指針として「「契約の拘束性の追求」、「人間の尊厳の確保」、「企業再生の追求」という三つの指針の交点を求める」を定めているところであり、関係法令及び自らの回収指針に従い、個々の債務者の実情等を十分に把握し適切な対応に努めているものと承知している。

四のA及びBについて

 お尋ねについては、個別の金融機関による個別の取引に関する事項であることから、答弁を差し控えたい。
 なお、四の@についてで述べたとおり、RCCにおいては、関係法令及び自らの回収指針に従い、個々の債務者の実情等を十分に把握し適切な対応に努めているものと承知している。



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