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答弁本文情報

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平成十九年六月十二日受領
答弁第三一三号

  内閣衆質一六六第三一三号
  平成十九年六月十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員市村浩一郎君提出民法第七百七十二条に係るいわゆる無戸籍児に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員市村浩一郎君提出民法第七百七十二条に係るいわゆる無戸籍児に関する質問に対する答弁書



一について

 婚姻継続中に夫と妻以外の女性との間に生まれた子は、嫡出でない子であるから、当該子は母の氏を称し母の戸籍に入籍するものとされており(民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百九十条第二項、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第十八条第二項)、当該夫が当該子を認知すると、当該夫の戸籍の身分事項欄に当該子を認知した旨の記載がされることになるものの、当該子は当該夫の戸籍に入籍することになるわけではない。
 他方、離婚後三百日以内に出生した子は、婚姻中に懐胎したものと推定され(民法第七百七十二条第二項)、夫の子と推定される(同条第一項)のが原則であるが、妻が当該子を懐胎すべき時期に、既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に居住して、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存する場合には、この推定は及ばないものと解されているところ、戸籍事務においては、前記の事情が裁判上明確にされている場合には、当該裁判書の謄本の提出を得て、後婚の夫の戸籍に入籍することができるが、その提出がされない場合には、前婚の夫の子としてしか出生届を出すことはできず、後婚の夫の戸籍に入籍することはできないものとして取り扱っている。
 離婚後三百日以内に出生した子についてこのような取扱いがされるのは、民法が、子の福祉のために親子関係を早期に確定し、家庭の平和を尊重するという趣旨から嫡出推定制度を採用しており、また、戸籍事務において、戸籍事務管掌者である市町村長は、形式的審査権限のみを有し、前記の事情の存否を判断することができないからである。
 御指摘の「嫡出推定が後夫の子であるという事実より優先する」の趣旨は必ずしも明らかではないが、嫡出推定制度を採用している趣旨及び戸籍事務の取扱いの理由は、前記のとおりである。

二について

 従来、戸籍事務においては、離婚後三百日以内に出生した子については、一についてで述べた裁判書の謄本の提出がない限り、前婚の夫の子としてしか出生届を出すことはできないという取扱いをしてきた。
 しかし、離婚後三百日以内に出生した子であっても、懐胎の時期が離婚後である場合には、婚姻中に懐胎した子ではないので、民法第七百七十二条第一項の推定が及ばないものと解することができるため、現在の嫡出推定制度の枠組みを維持しつつ、前婚の夫の子と推定しないという取扱いは可能である。
 そこで、医師の証明によって離婚後の懐胎であることを戸籍窓口において定型的に確認することができる事案については、当事者の負担を軽減するため、従来の運用を見直し、民法第七百七十二条の推定が及ばないものとして、出生届を受理する取扱いとしている。

三及び四について

 御指摘の「嫡出推定では法的離婚の日とする」の趣旨は必ずしも明らかではないが、一定の事情がある場合には嫡出推定が及ばないこと及び戸籍事務の取扱いについては、一についてで述べたとおりである。
 また、民法第七百七十条第一項第一号は、不貞な行為があったときは離婚の訴えを提起することができる旨定めているところ、ここにいう「不貞な行為」とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて当該配偶者以外の者と性的関係を結ぶことを指すものである。

五について

 御指摘の「事実上の父が後夫であることが明白」であるとの趣旨は必ずしも明らかではないが、法務省としては、嫡出推定制度については、一についてで述べたとおり、基本的には親子関係を定める合理的なものであり、子の福祉に反するものではないと考えている。

六について

 我が国においては、嫡出推定が重複する場合は、父を定めることを目的とする訴え(民法第七百七十三条)により裁判所が父を定めることとされており、法務省としては、この制度は合理的なものであると考えている。

七について

 嫡出推定を受ける子について嫡出子であることを否定するには、原則として、夫が、子の出生を知った後一年以内に嫡出否認の訴えを提起しなければならない(民法第七百七十四条以下)。
 このように、嫡出否認の訴えの提訴権者及び提訴期間を制限している趣旨は、子の出生後一定期間経過後は、父子関係をだれからも争えなくすることで父子関係を早期に確定させ、また、家庭の平和を尊重するというものであり、法務省としては、合理的な制度であると考えている。

八について

 お尋ねの判決については、いまだ確定していないものであり、現時点で評価をすることは差し控えたい。

九について

 妻が離婚前に懐胎し、離婚後に出生した子については、与党において、社会通念上やむを得ない場合には裁判手続を経ることなく前夫以外の戸籍に記載する方法を検討することとしており、法務省としては、その検討について必要に応じて協力をしていくべきものと考えている。



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