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答弁本文情報

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平成十九年六月二十二日受領
答弁第三七八号

  内閣衆質一六六第三七八号
  平成十九年六月二十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員近藤昭一君提出徳山ダムに係る木曽川連絡導水路事業の目的と効果に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員近藤昭一君提出徳山ダムに係る木曽川連絡導水路事業の目的と効果に関する質問に対する答弁書



一について

 木曽川水系に係る河川整備基本方針に定める主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項については、その地点をどこにするかを含め、検討中である。

二の(一)について

 渇水は、洪水と異なり、降雨量のみならず水利使用の量によってもその発生の頻度や被害の程度が変わるものであり、被害が生じる期間も一定ではなく、被害の評価手法も一律ではない等の理由により、個々の渇水について統計学上の発生確率を計算することは困難であり、お尋ねの「その規模の渇水の発生確率」については、計算していない。

二の(二)について

 御指摘の「一九九四年の渇水の際の木曽川での河川環境被害」について、国土交通省中部地方整備局長が平成十九年五月七日に開示決定した「平成6年度渇水における河川環境調査の資料」及び「H6年度渇水に関する河川環境の追跡調査の資料」以外に、お尋ねの「深刻な環境被害を窺わせる資料」は存在しない。

二の(三)及び(四)について

 国土交通省においては、徳山ダムから、異常渇水時に導水路により一級河川木曽川水系木曽川(以下「木曽川」という。)に緊急水を補給することにより、木曽川の河川環境の改善にどのような効果があるかについて定量的に把握するため、平成十八年度及び平成十九年度の予算において措置された木曽川水系連絡導水路事業(以下「導水路事業」という。)に係る調査費により、調査等を行っているところである。これまで行った調査、現在行っている調査等の結果における流量、水質等に着目することにより、当該効果の定量的な把握は十分可能と考えている。御指摘の五月七日付けの中部地方整備局長の通知のとおり、「一九九四年渇水時の木曽川(特に犬山頭首工より下流)の環境被害軽減対策の検討に係る資料」は、存在しない。
 当該調査費は、予算歳出費目「直轄河川総合開発事業費」の「測量及び試験費」として措置されている。国土交通省においては、当該調査費により、測量、水文・水質観測、環境調査、施設設計等を行っており、これらの調査等の結果を踏まえ、今後、お尋ねの「河川環境被害の軽減効果の具体的な予測及び当該事業の必要性・妥当性」についても、具体的に検討することとしている。
 当該緊急水の補給により、木曽川の流量が増えることから、木曽川の河川環境の改善に一定の効果があることは明らかであると考えており、平成十八年度及び平成十九年度の予算において当該調査費が措置されたことは、妥当であると考えている。

三の(一)及び(二)について

 導水路事業の費用便益分析に当たっては、異常渇水時に、徳山ダムに貯留されている緊急水を導水路により木曽川に補給すること等により得られる便益を金額として算出することが困難なため、同等の効用を得るために代替する施設を建設した場合の費用(以下「身替わり建設費」という。)を算出し、当該便益としているところであるが、当該便益の算出手法については、今後更に検討してまいりたい。

三の(三)について

 徳山ダムに係る費用便益分析においては、異常渇水時に木曽川に補給する緊急水を徳山ダムに貯留すること等により得られる便益について身替わり建設費を算出し、便益に計上しており、一方で、導水路事業に係る費用便益分析においては、異常渇水時に、徳山ダムに貯留されている緊急水を導水路により木曽川に補給すること等により得られる便益について身替わり建設費を算出し、便益に計上していることから、導水路事業にも、御指摘の「便益(効果)」は存在している。

三の(四)について

 木曽川においては、平成六年に、瀬切れを起こす等他の同規模の河川には見られない渇水が生じたことから、二の(三)及び(四)についてで述べたとおり、導水路事業のための調査等を行っているところである。

四の(一)及び(二)のBについて

 導水路事業については、詳細な計画が確定した段階で、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)に基づく環境影響評価を実施する必要があるか否かについて、判断してまいりたい。

四の(二)の@について

 御指摘の「掘削残土が環境に与えた影響」が何を指すのかが必ずしも明らかでなく、お尋ねの「これまでの事例」についてお答えすることは困難である。

四の(二)のAについて

 導水路事業については、現在、生態系への影響も含め、水質、動植物、地下水等の環境について調査しているところである。

五について

 御指摘の「門松政府参考人答弁」は、平成六年の木曽川の渇水時における被害の具体的な例を説明したものであり、導水路事業の目的を説明したものではない。
 導水路事業は、異常渇水時に木曽川及び一級河川木曽川水系長良川(以下「長良川」という。)に緊急水を補給することによる木曽川及び長良川の河川環境の改善等並びに木曽川における新規利水の補給を目的としたものであり、異常渇水時に、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第五十三条の規定に基づく水利使用の調整等により、緊急水が水道用水等に利用されることはあり得るが、木曽川へ補給される緊急水を水道用水又は工業用水として特定の水利使用者の利用に供することは目的としておらず、導水路事業の建設費のうち、異常渇水時の緊急水の補給に係る部分を公費により負担することは、御指摘の「公営企業会計の原則」と矛盾するものではない。



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