衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十九年十二月二十五日受領
答弁第三三七号

  内閣衆質一六八第三三七号
  平成十九年十二月二十五日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員石井郁子君提出若手研究者の就職難と待遇に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石井郁子君提出若手研究者の就職難と待遇に関する質問に対する答弁書



一の1について

 文部科学省としては、科学技術基本計画(平成十八年三月二十八日閣議決定)を踏まえ、平成十八年度から、博士の学位を授与された者又は博士課程に標準修業年限以上在学して所定の単位を修得した上退学した者のうち、大学又は研究機関において任期付きで研究業務に従事しているもの(教授、准教授、講師、助教、主任研究員等の職にある者を除く。以下「ポストドクター等」という。)による大学の研究職以外の進路も含めた多様な職業選択を支援するための取組を実施するとともに、大学又は研究機関において、若手研究者が任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経て助教等のより安定的な職を得る仕組みを導入することを奨励するなどしているところである。

一の2について

 文部科学省としては、大学院について、平成三年度以降、大学院学生数の拡大を図るとともに、一の1についてで述べた施策のほか、特に卓越した教育研究実績をあげることが期待される大学院等に対する重点的な財政支援、若手研究者に対する研究奨励金の支給、競争的資金を活用した大学による博士課程(後期)在学者の研究補助者等としての雇用促進等を推進しているところである。

二の1について

 文部科学省が実施した「平成十八年度学校基本調査」によれば、平成十七年度に博士の学位を授与された者又は博士課程に標準修業年限以上在学して所定の単位を修得した上退学した者の数は、一万五千九百七十三人であり、そのうち、進学者は九十人、就職者は九千百六十七人である。
 また、文部科学省において、平成十七年度に北海道大学、東北大学、独立行政法人理化学研究所、早稲田大学、名古屋大学、大阪大学、山口大学又は九州大学に所属したポストドクター三千八百七十人の平成十八年度以降の進路について調査したところ、同一機関のポストドクター等の職に就いた者は二千五百九十二人、他機関のポストドクター等の職についた者は三百十人、ポストドクター等以外の職に就いた者は七百十七人である。
 文部科学省としては、今後とも、一の1についてで述べた施策を推進してまいりたいと考えている。

二の2について

 文部科学省としては、大学又は研究機関において、若手研究者が任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経て助教等のより安定的な職を得る仕組みの導入を奨励するため、必要な助成を行っているところである。

二の3の@について

 政府としては、国立大学法人及び独立行政法人への運営費交付金の算定に当たっては、業務運営の効率化の観点から、効率化係数を適用することが必要であると考えている。また、これらの法人の人件費の削減については、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成十八年法律第四十七号)第五十三条第一項の規定に基づいた対応が必要であると考えている。

二の3のAについて

 教員及び研究者の採用については、各大学及び独立行政法人の自主的な判断に委ねられるものであるが、文部科学省としては、国立大学法人若しくは独立行政法人への運営費交付金の交付又は私学助成について、業務効率化への取組を求めつつ、各大学又は独立行政法人における業務の実施に必要な経費について適切に対応してまいりたいと考えている。

二の4について

 政府としては、大学院における企業等の要望も踏まえた体系的な教育課程編成への支援、ポストドクター等による大学の研究職以外の進路も含めた多様な職業選択を支援するための取組を引き続き実施するとともに、平成十九年度より、人材育成に関して大学と産業界とが幅広く議論する「産学人材育成パートナーシップ」を進めているところである。

三の1の@について

 ポストドクター等の雇用状況については、文部科学省において「大学・公的研究機関等におけるポストドクター等の雇用状況調査(平成十八年度調査)」(以下「雇用状況調査」という。)を実施しており、事業者負担の対象となっている社会保険加入者数等についても調査している。また、年収については、ポストドクター等が複数の大学又は研究機関から報酬を受けていることもあるため、大学又は研究機関において正確に把握することが困難であり、詳細な調査は実施していない。

三の1のAについて

 雇用状況調査においては、社会保険加入者の割合は約五十八パーセントとされているが、これは事業主負担のある厚生年金保険及び健康保険の加入者の割合を示したものである。厚生年金保険及び健康保険への加入については、ポストドクター等の雇用形態等により判断するものであり、政府としては、一律にポストドクター等を厚生年金保険及び健康保険へ加入させることは困難であると考えている。

三の2の@について

 文部科学省としては、ポストドクター等の職務内容等は多様であることから、その雇用条件等については、能力や業績の公正な評価に配慮しつつ、労働関係法令に従って、各大学又は研究機関において定められるべきものであると考えている。

三の2のAについて

 文部科学省としては、ポストドクター等を雇用する大学又は研究機関に御指摘の「ポスドク期間終了後のキャリアパス」を保障すべき法令上の責務はないが、ポストドクター等の職業選択を支援するための取組を実施することは重要であると考えている。

三の3について

 高等教育における国公私立を通じた非常勤講師の総数は、平成十六年十月一日現在で延べ十九万三千七百十七人であり、全教員数に占める割合は五十二・三パーセントである。このうち本務を持たないものは、延べ七万七千百五十五人であり、全教員数に占める割合は二十・八パーセントである。非常勤講師の賃金等の労働条件、研究・教育条件、生活実態等の雇用待遇に関する事項については、各大学等の設置者の責任において決定されるべきものであり、文部科学省として一般的な調査を行うことは考えていない。

三の4について

 文部科学省としては、私立大学等経常費補助金における非常勤教員給与費の補助単価(以下「非常勤教員補助単価」という。)は、国による補助の上限額を決定するためのものであり、各学校法人においては、必ずしも、非常勤教員補助単価の改定を非常勤講師の給与に反映させる必要はないものと考えている。また、非常勤教員補助単価については、今後とも、国の財政事情や私立大学における経費の実態等を総合的に勘案して適切に設定してまいりたいと考えている。
 文部科学省としては、私立学校教職員に係る私立学校教職員共済制度の適用については、厚生年金保険及び健康保険との均衡を踏まえて適切に取り扱うべきものと考えている。

四の1の@について

 雇用状況調査によれば、平成十七年度に競争的資金、研究奨励金等により月額十五万円以上の経済的支援を受けている博士課程(後期)在学者は延べ七千十七人であり、博士課程(後期)在学者数に占める割合は九・四パーセントとなっている。

四の1のAについて

 文部科学省としては、博士課程(後期)在学者への経済的支援については、科学技術基本計画を踏まえ、研究奨励金の拡充、競争的資金を活用した大学による博士課程(後期)在学者の研究補助者等としての雇用促進等により、その拡充に努めてまいりたいと考えている。

四の1のBについて

 博士課程(後期)在学者を対象とする研究奨励金の平成十九年度予算における支給対象人数は四千七十人であり、博士課程(後期)在学者数に占める割合は五・四パーセント、博士課程(後期)在学者を対象とする御指摘のティーチング・アシスタントによる平成十七年度実績での支援対象人数は一万五千九百三十一人であり、博士課程(後期)在学者数に占める割合は二十一・三パーセント、博士課程(後期)在学者を対象とする御指摘のリサーチ・アシスタントによる平成十七年度実績での支援対象人数は一万七十六人であり、博士課程(後期)在学者数に占める割合は十三・五パーセントとなっている。独立行政法人日本学生支援機構の博士課程(後期)在学者を対象とする無利子貸与事業による平成十八年度実績での奨学金貸与者数は一万五千八百七十八人であり、博士課程(後期)在学者数に占める割合は二十一・一パーセント、同機構の特に優れた業績による博士課程(後期)在学者を対象とする奨学金返還免除の平成十八年度実績での対象者数は千五百七十七人であり、博士課程(後期)在学者数に占める割合は二・一パーセントとなっている。国立大学の博士課程(後期)在学者を対象とする授業料免除の平成十七年度実績での対象人数は前期及び後期の学期の区分において重複する者を含めて延べ一万四千四百三十七人であるが、実数は把握していないため、博士課程(後期)在学者数に占める割合を算定することは困難である。私立大学等経常費補助金のうち授業料減免事業等支援経費による平成十八年度実績での支援対象人数は大学院全体で二千八百二十六人であり、大学院在学者数に占める割合は一・一パーセントとなっている。
 文部科学省としては、博士課程(後期)在学者への経済的支援については、科学技術基本計画を踏まえ、研究奨励金の拡充、競争的資金を活用した大学による博士課程(後期)在学者の研究補助者等としての雇用促進等により、その拡充に努めてまいりたいと考えている。また、各大学が実施する授業料減免制度、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金の無利子貸与事業、同機構による特に優れた業績による返還免除等を通じて、博士課程(後期)在学者の経済的支援に努めてまいりたいと考えている。

四の2について

 能力があるにもかかわらず、経済的理由により修学困難な者を支援するための制度としては、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金事業、各大学が実施する授業料減免等があり、文部科学省としては、引き続きこれらの者に対する支援に努めてまいりたいと考えている。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.