答弁本文情報
平成二十一年四月七日受領答弁第二五七号
内閣衆質一七一第二五七号
平成二十一年四月七日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員保坂展人君提出「奨学金返還延滞増加」と「回収策強化」を巡る問題についての政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員保坂展人君提出「奨学金返還延滞増加」と「回収策強化」を巡る問題についての政府の認識に関する質問に対する答弁書
一について
我が国においては、高等教育に係る経費については、高等教育を受ける者と受けない者との負担の公平を図る必要があり、また、無償化のための財源を確保することが困難であることを踏まえ、高等教育を受ける学生等に対して適正な負担を求めるという方針を採っていること等から、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第六号)第十三条2(c)の規定の適用に当たり、「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保している。
また、独立行政法人日本学生支援機構(以下「機構」という。)の奨学金事業については、奨学金の返還を通じて学生等の自立心や社会への還元意識の涵養等の教育効果が期待され、返還金を再度原資とすることにより、限られた財源で、より多くの学生等に奨学の措置を講ずることができることから、学資を貸与することとしているところである。
都道府県による奨学金事業に関するお尋ねの事項のうち、文部科学省においては、学資の貸与を受けている高校生の人数、貸与金額の総額及び学資の貸与を申請しながら貸与を受けられなかった者の人数については、平成十九年度の数値を把握しているが、それ以外の奨学金の返還状況や返還免除基準等については、把握していない。
また、国立及び都道府県立の高等学校の授業料減免については、毎年度調査を行い、授業料減免者の生徒総数に占める割合の推移を把握している。
平成十九年度に経済的理由で高等学校を中途退学した生徒数の中途退学者総数に占める割合は、三・六パーセントとなっている。
文部科学省としては、御指摘の「延滞情報の提供」については、奨学金の貸与に伴う業務の一環として行われているものと承知しており、独立行政法人日本学生支援機構法(平成十五年法律第九十四号)第十三条第一項第一号に定める業務に含まれるものと考えている。
また、文部科学省としては、機構においては、御指摘の「延滞者情報の提供」により、奨学金返還に係る延滞者への金融機関による過剰貸付けを抑制し、多重債務化を防止することは、教育的な観点からも極めて有意義であるとともに、返還促進を図る上でも有効であるとの考えから、「個人信用情報の取扱いに関する同意書」(以下「同意書」という。)の提出を求めているものと承知しているが、奨学生が同意書を提出しない場合の措置については、現下の経済情勢も踏まえつつ、機構に対して、慎重な対応を求めてまいりたいと考えている。