答弁本文情報
平成二十一年十一月十三日受領答弁第四七号
内閣衆質一七三第四七号
平成二十一年十一月十三日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員大村秀章君提出新型インフルエンザ対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員大村秀章君提出新型インフルエンザ対策に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の十月十六日の意見交換会(以下「十六日意見交換会」という。)に参加した専門家の意見としては、今般の新型インフルエンザのワクチン(以下「新型インフルエンザワクチン」という。)の十三歳未満の者に対する接種回数は原則二回とし、それ以外の優先接種対象者に対する接種回数は原則一回としてよいというものであった。
なお、厚生労働省としては、十六日意見交換会の終了の際に、この意見を厚生労働大臣に報告し、接種回数について検討していきたい旨を説明したところである。
厚生労働省においては、十六日意見交換会における議論を踏まえ、厚生労働大臣、厚生労働副大臣及び厚生労働大臣政務官(以下「政務三役」という。)が検討を行い、更に幅広い専門家の意見を聴くべきであると判断し、再度、専門家による意見交換会を開催することを決定したものである。
この決定に基づき、足立厚生労働大臣政務官の指示の下、厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部のアドバイザー(以下「アドバイザー」という。)及び十六日意見交換会に参加した専門家に参加を要請したところ、アドバイザー三名及び十六日意見交換会に参加した専門家二名が参加し、本年十月十九日に、足立厚生労働大臣政務官の司会の下、一般に公開した上で、意見交換会を開催したものである。
本年十月十九日に開催した意見交換会においては、十六日意見交換会に参加した専門家及びアドバイザーから、健康な成人については新型インフルエンザワクチンの効果は一回の接種で十分に得られるとの意見、健康な成人以外の者に対して直ちに同様の評価はできないのではないかとの意見、妊婦や基礎疾患を有する者に対する接種回数については今後の臨床試験の結果等を踏まえて判断すべきであるとの意見が出されたところである。厚生労働省としては、これらの意見を踏まえ、更に検討を行い、同月二十日に、新型インフルエンザワクチンの接種回数については、二十歳から五十九歳までの健康な医療従事者であって、インフルエンザ患者の診療に直接従事するものは一回とし、それ以外の者は、当面のところ二回とする等の方針を決定したものである。
なお、御指摘の厚生労働省の幹部の発言についての事実関係は、確認できていない。
新型インフルエンザワクチンの接種回数の決定過程については、二及び三についてでお答えしたとおりであり、御指摘のような懸念は当たらないものと考える。
いずれにせよ、厚生労働省としては、今後とも、新型インフルエンザ対策について、国民に対する正確な情報提供に努めてまいりたい。
本質問主意書に対する答弁書については、政務三役が作成する際に参考となるよう、必要な情報を関係する部局から提出させた上で、政務三役がそれらを含む種々の情報を基に作成し、最終的に厚生労働大臣の責任において閣議にかけ、決定したものである。
お尋ねについては、新型インフルエンザワクチンの接種を受けた者(以下「被接種者」という。)が接種を受けた医療機関の窓口で支払う費用の総額のことであると考えるが、そうであるとすれば、現時点で接種を受ける人数等が明らかではないため、推計を行っていない。
被接種者から徴収した費用は、接種を行った医療機関の収入となり、国の歳入には計上されない。
なお、新型インフルエンザワクチンについては、国が製造販売業者から買い上げた上で、販売業者に売却することとしているが、当該売却による収入は、国の歳入に計上される。
お尋ねについては、これを公表することにより、新型インフルエンザワクチンの製造販売業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、これを明らかにすることは差し控えたい。
なお、新型インフルエンザワクチンの購入に要する費用の総額であれば、国内の製造販売業者が製造する新型インフルエンザワクチンの購入に要する費用の総額が約二百五十九億円、外国の製造販売業者が製造する新型インフルエンザワクチンの購入に要する費用の総額が約千百二十六億円となる見込みである。
厚生労働省としては、ワクチン接種の費用が御指摘のように「諸外国では、ほとんど無料」であるかどうかについては承知していないが、現在知り得る限りでは、英国においては、医療従事者や妊婦等の優先して接種すべき対象者に係るワクチン代及び接種費用が無料であり、フランス及びドイツにおいては、ワクチン代及び接種費用が無料であると承知している。また、アメリカ合衆国においては、ワクチン代は無料であるが、接種費用は被接種者が加入する医療保険によって異なるものであると承知している。
オーストラリアについては、現在、調査中である。
今般の新型インフルエンザのワクチンの接種の目的は、重症化防止という被接種者の利益を第一義的なものとしており、受益者負担という観点から、実費負担を求めることが適当であると考えているが、低所得者については、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第三条に規定する予防接種と同様に、その費用負担を軽減する措置を講ずることとしている。