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答弁本文情報

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平成二十二年六月十一日受領
答弁第五二七号

  内閣衆質一七四第五二七号
  平成二十二年六月十一日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員橘慶一郎君提出郵政改革法案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員橘慶一郎君提出郵政改革法案に関する質問に対する答弁書



一について

 今回の郵政改革(今国会に提出している郵政改革法案(以下「法案」という。)第一条に規定する郵政改革をいう。以下同じ。)は、株式会社形態による郵政事業の遂行を否定するものではないが、お尋ねの「これまで進められてきた「郵政民営化」」については、これにより、郵政事業の経営基盤が脆弱となり、その役務を郵便局で一体的に利用することが困難となるとともにあまねく全国において公平に利用できることについての懸念が生じており、こうした事態に対処して、郵政事業の抜本的改革が必要であると認識している。

二について

 郵政事業の経営形態については、基本的に、株式会社が適当であると考えており、現在、独立行政法人である郵便貯金・簡易生命保険管理機構については、法案第十六条において、法案の施行後三年を目途として、その解散について検討を加えることとしているところである。

三について

 お尋ねの「民間の経済活力の向上への寄与」については、例えば、商業地域の開発プロジェクトにおける郵便局ビルの高度利用等を想定している。

四について

 お尋ねの「郵政事業と地域経済との連携」については、例えば、ふるさと小包による地域の産品の活用、物品や役務の地元での調達等を想定している。

五について

 日本郵政株式会社と郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の合併により、郵便局において郵便業務と郵便窓口業務が一体的に行われるようになるほか、合併後の日本郵政株式会社が銀行窓口業務と保険窓口業務を行うものとされることにより、いわゆる金融業務を含めた郵政事業に係る基本的な役務が郵便局で一体的に利用できることが確保されることとなる。

六について

 日本郵政株式会社によれば、郵政改革のためのシステムの整備に要するコストは試算していないが、平成二十三年十月一日までに、当該システムの整備に必要となる準備は完了するとのことである。

七について

 お尋ねのJPエクスプレス社については、同社の宅配便事業の当初計画を日本郵政株式会社の旧経営陣が単独で策定したものであり、当該計画の具体化において、郵便事業株式会社のより現実的な見直し案を退け、当初計画を推進したことから、郵便事業株式会社が当初想定していた厳しい収支状況が現実となったものと分析している。
 また、「ゆうパック事業」は、今後も郵便事業株式会社において継続して行われるものと承知している。
 なお、JPエクスプレス社の宅配便事業については、本年七月に「ゆうパック事業」へ吸収される予定であると承知している。

八について

 お尋ねの「郵便局ネットワーク」とは、郵政事業に係る基本的な役務を提供するために相互に連絡を保って網状に配置された郵便局の総体を意味するものである。

九について

 お尋ねの二百四十五局については、現在、郵便局株式会社において再開に向けた努力を行っていると聞いている。
 政府としては、簡易郵便局は郵便局ネットワークの一翼を担う拠点であり、利用者利便の観点からもできるだけ早期に再開されることが望ましいものと考えており、簡易郵便局の再開については、基本的には、郵便局株式会社と簡易郵便局受託者の間の交渉にゆだねられるべき事項であるが、その進展を見守ってまいりたい。

十について

 政府が行う小規模な郵便局の検査及び監督については、その規模・特性に応じて、できる限り業務の円滑な遂行に支障が生じないように配慮することを想定している。

十一について

 郵政改革推進委員会に独自の事務局を設置することは想定していないが、その庶務については、内閣府において、関係機関の協力を得つつ、行うことを想定している。

十二について

 お尋ねの郵政改革推進委員会については、職権の行使における独立性を求められておらず、不服申立ての審査を行うものではない等の点で、国会同意人事の対象となっている審議会等とは性格が異なっていることから、その委員については国会同意人事とはしないこととしている。なお、郵政民営化法における郵政民営化委員会についても、国会同意人事とはしていない。

十三について

 法案第十九条において、郵政改革推進委員会は、委員十人をもって組織し、法案第二十条において、委員については、優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命することとしている。
 委員の人選については、利害関係者を除き、事業経営の専門家、地域の実情に詳しい者、学識経験者・有識者等であって中立公正な立場で意見を述べることのできる者の中から、バランスよく行うことを想定している。

十四について

 お尋ねの「勧告の要否の基準」については、関連銀行及び関連保険会社が届け出る関連銀行及び関連保険会社並びにそれらの子会社が行う業務の内容及び方法が、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがある場合に勧告するという法案の趣旨を踏まえ、郵政改革推進委員会の調査審議を経て、決定されるべきものと考えている。

十五について

 法案においては、関連銀行及び関連保険会社並びにそれらの子会社が行う業務の内容及び方法について、それらの経営の自主性を尊重する観点から届出制度としつつ、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう、内閣総理大臣又は総務大臣が届出事項に関し、郵政改革推進委員会の意見を聴いた上で、必要な措置を講ずべき旨を勧告することができることとしている。

十六について

 政府が保有する日本郵政株式会社の株式のうち処分可能な株式の処分開始の時期やその後の処分の方針については、郵政改革後の郵政事業の動向、日本郵政グループの経営状況、株式市場の動向等を総合的に勘案して判断すべきものと考えている。日本郵政株式会社が保有する金融二社の株式のうち処分可能な株式の処分開始の時期やその後の処分の方針については、両社の経営状況、株式市場の動向等を総合的に勘案して、株主である日本郵政株式会社が基本的に判断すべきものと考えている。

十七について

 郵政改革では、お尋ねの新たなユニバーサルサービス提供のためのコストについては、政府による財政上の支援は行わず、日本郵政株式会社がその事業の中で必要な経費を賄うこととしている。

十八について

 簡易に利用できる生命保険の役務については、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務と同様、郵政事業に係る基本的な役務として利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることを確保することが必要であると考えている。

十九について

 現時点で承知している限りでは、世界各国において、銀行業務及び保険業務でユニバーサルサービスが法律上義務付けられている例はない。
 なお、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)第一条の規定による廃止前の郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的としていた。

二十について

 法案第十六条において、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構については、法案の施行後三年を目途として、その解散について検討を加え、その結果に基づいて所要の法制上の措置その他の措置を講ずることとしている。

二十一について

 法案第十二条において、郵政事業は、同種の業務を行う事業者の事業環境に与える影響を踏まえ、当該事業者との競争条件の公平性に配慮して行われるものとするという郵政改革の基本方針を規定しており、この基本方針の下、国際約束との整合性を確保していく考えである。



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