答弁本文情報
平成二十三年二月四日受領答弁第一八号
内閣衆質一七七第一八号
平成二十三年二月四日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員馳浩君提出クマの大量出没に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員馳浩君提出クマの大量出没に関する質問に対する答弁書
一について
都道府県からの報告によれば、平成二十二年一月から同年十二月までの間におけるクマ類による人身被害件数は百四十五件、被害の防止のために捕獲等されたクマ類の頭数は三千九百五十二頭、このうち殺処分されたクマ類の頭数は三千四百九十三頭となっている。また、同年四月から同年十二月までの間におけるクマ類の目撃等の件数は、延べ約一万八千件となっている。なお、同年一月から同年三月までの間におけるクマ類の目撃等の件数については、承知していない。
また、農林業における被害状況については、暦年ではなく年度ごとの状況について調査を行っており、平成二十二年度の被害状況については、現在調査中である。
政府としては、クマ類の大量出没については、森林等の生息環境の変化、過疎化等による中山間地域の社会環境の変化、堅果類の凶作、狩猟者の減少等が影響していると考えている。
また、クマ類の出没対策については、行政機関、集落及び個人の各主体において、個体群の保護管理、人里における被害防除及び生息地の管理を並行して進めることが効果的であると考えている。
クマ類の全国的な生息数については把握していないが、その生息分布については、自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第四条に基づき実施される自然環境保全基礎調査によれば、昭和五十三年から平成十五年までの二十五年間に、約一・二倍に拡大していることが明らかとなっている。
クマ類については、一部の個体群で絶滅が危惧されている一方で、人里に出没し被害を引き起こすおそれがあることから、それぞれの地域の実情に応じた保護管理を進めていくことが重要である。こうした観点から、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)第七条に基づき都道府県知事が定める特定鳥獣保護管理計画等に基づき、各都道府県において、地域の実情に応じたクマ類の保護管理が実施されているものと認識している。
戦後、荒廃した国土の復興、建築用材の需要増大等に対応するため、スギを始めとする針葉樹を中心とした人工林の造成を積極的に進めてきた成果として、現在、これらの人工林が本格的に利用可能となる段階を迎えていると認識している。
今後は、このような成果を踏まえ、これらの人工林について、資源の循環利用、生物多様性の保全等森林の多面的機能が十全に発揮されるよう、間伐等を始めとする森林施業を適切に推進するとともに、針広混交林化、広葉樹林化等多様な森林整備を進めていくこととしている。
中山間地域の過疎化等により、人の手が加わらなくなった里山や耕作放棄地が増加していることが、クマ類の生息範囲が拡大している要因の一つであると考えている。