答弁本文情報
平成二十六年五月十三日受領答弁第一三五号
内閣衆質一八六第一三五号
平成二十六年五月十三日
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員鈴木貴子君提出日中間の戦後補償訴訟に関連した中国政府による強制執行に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木貴子君提出日中間の戦後補償訴訟に関連した中国政府による強制執行に関する質問に対する答弁書
一について
平成二十六年四月十九日、株式会社商船三井(以下「商船三井」という。)は、上海海事法院から、中国浙江省の港に停泊中の商船三井の船舶を差し押さえる旨の通告を受けたと承知している。当該船舶が突然差押えを受けたことは、政府としても極めて遺憾であると考えている。なお、商船三井が上海海事法院と協議した結果、同月二十四日に差押えが解除され、当該船舶は出港したと承知している。
平成二十六年四月十九日、商船三井から外務本省に対し、商船三井の船舶が差し押さえられた旨の連絡があり、同日中に、外務本省から在中国日本国大使館に対し当該差押えについて連絡した。
先の大戦に係る日中間の請求権の問題は、昭和四十七年の日中共同声明発出後、存在しておらず、このような認識は、中国側も同様であると承知している。こうした中、日中国交正常化から四十年以上が経過した現在において、七十年以上前の事案に起因する事柄で一方的に船舶を差し押さえる中国側の対応は、日中共同声明に示された日中国交正常化の精神を根底から揺るがしかねないものと考えている。
外交上のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり差し控えたいが、商船三井の船舶が差し押さえられた後は、外交ルートを通じて、中国政府に対し、強い遺憾の意を伝達しつつ、差押えが速やかに解除されるよう働きかけを行っていたところである。なお、商船三井が上海海事法院と協議を重ねた結果、平成二十六年四月二十四日に差押えが解除され、商船三井の船舶は出港したと承知している。
政府の情報収集の内容や外交上のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり差し控えたい。
政府としては、日中間の経済的な相互依存関係が深まっていることも踏まえ、中国に進出する日本企業が安心して活動できる環境を整えるよう、中国側に強く働きかけていく考えである。