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平成二十八年六月二日受領
答弁第二九九号

  内閣衆質一九〇第二九九号
  平成二十八年六月二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員長妻昭君提出シベリア等強制抑留者の実態調査及び遺骨収集に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出シベリア等強制抑留者の実態調査及び遺骨収集に関する再質問に対する答弁書



1について

 お尋ねの「戦後樺太でソ連側に抑留された方々」は、戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法(平成二十二年法律第四十五号)第二条の「ソヴィエト社会主義共和国連邦又はモンゴル人民共和国の地域」(以下「旧ソ連邦等の地域」という。)に含まれない南樺太の地域において強制抑留された者であって旧ソ連邦等の地域においては強制抑留されていないものを除き、同条に規定する「戦後強制抑留者」に該当すると解している。また、お尋ねの「樺太でソ連側に抑留された者の中で、特別給付金支給の申請をし、却下された人数」については、調査に膨大な作業を要することから、お答えすることは困難である。さらに、お尋ねの「却下された理由」は、同法第三条第一項に規定する「本邦に帰還した戦後強制抑留者でこの法律の施行の日において日本の国籍を有するもの」に該当していなかったことである。

2について

 厚生労働省においては、戦後強制抑留者のうち強制抑留下において死亡した者(以下「抑留中死亡者」という。)について、平成二十三年度以降、毎年度、ロシア連邦政府から資料の提供を受け、当該資料と同省が保管する人事関係資料等との照合等により抑留中死亡者の身元の特定を行い、抑留中死亡者の遺族が判明した際にはその遺族に対して同国政府から得られた情報をお知らせしてきている。抑留中死亡者の身元の特定ができた件数は、平成二十三年度においては二千七百一件、平成二十四年度においては九百二十一件、平成二十五年度においては千二百二件、平成二十六年度においては九百三十八件、平成二十七年度においては二百五十六件であり、遺族に対して同国政府から得られた情報をお知らせした件数は、平成二十三年度においては二千百十八件、平成二十四年度においては千三十九件、平成二十五年度においては六百件、平成二十六年度においては千百八十二件、平成二十七年度においては三百三十四件である。政府としては、抑留中死亡者の身元の特定の作業について一定の成果を上げているものと認識しているが、遺族等の関係者が高齢化する中、事務処理の体制の拡充を図りつつ、可能な限り速やかに身元の特定の作業を行う必要があると考えている。

3について

 お尋ねの「旧ソ連等」での「戦後強制抑留者の遺骨収集」については、政府としては、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律(平成二十八年法律第十二号)第五条第一項の規定に基づき策定した「戦没者の遺骨収集の推進に関する基本的な計画」(平成二十八年五月三十一日閣議決定)において、抑留中死亡者の埋葬地等について、資料調査や民間団体等との連携により有力な証言を得るなど確度の高い遺骨に関する情報を得た上で、関係行政機関間の連携協力を図り、現地調査を実施し、入手した情報に基づいて遺骨収集を推進するものとしている。また、お尋ねの「いつまでにどのくらいの遺骨が収集できるのか」については、確度の高い抑留中死亡者の遺骨に関する情報を入手できるか否か等によるため、具体的にお示しすることは困難であるが、今後、政府としては、同法に基づき、政府一体となって遺骨収集を総合的かつ計画的に行ってまいりたい。

4について

 政府としては、遺骨収集時に氏名等の手掛かりがある遺留品を発見した場合は、当該遺留品を持ち帰り、当該遺留品と政府において保管している資料との照合調査等を行って所有者を特定するために、厚生労働省において当該遺留品を保管しているところ、そのような遺留品は、現在八十八点保管されており、そのうちお尋ねの「持ち主不明の遺品」が何点あるかについては、今後、照合調査等を行い、所有者が特定できるか否かによるものであることから、確定的にお答えすることは困難である。
 お尋ねの「郵便貯金通帳」は、ロシア連邦の博物館に展示されていたものであるところ、政府としては、外交ルートを通じ同国政府に対してその返還を求めたが、同国政府から、国内法の定めにより困難である旨の回答及び代わりに精巧な複製品を贈呈する旨の提案を受けたことから、遺族の意向を確認した上で、同国政府から複製品を受領して遺族へ伝達したものである。
 お尋ねの遺骨収集時に持ち帰った遺留品のうち、所有者が特定できたものについては遺族へ伝達し、所有者を特定できる見込みがないと判断したものについては、戦中・戦後の労苦を次の世代に効果的に継承する観点から、そのような労苦に関する資料の収集・展示を行う施設である昭和館やしょうけい館等の引取先があるものは寄贈し展示することとしており、引取先がないものは処分することとしている。

5について

 政府としては、総務省において民間事業者に平和祈念展示資料館の運営を委託し、同館において戦後強制抑留者の証言を映像や音声で記録して同館のホームページ等で公表しているところであり、今後とも、戦後強制抑留者の証言の記録化等に取り組んでまいりたい。また、小学校、中学校、高等学校等(以下「学校」という。)における戦争や平和に関する教育において取り扱う歴史的事象や使用する教科用図書以外の図書その他の教材は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の規定や学習指導要領に基づき各学校又はその設置者等の判断によって選択されるものであるが、例えば、各学校において右に述べた映像や音声を活用することは、児童生徒の学習意欲を高めたり、理解を深めたりする上で有意義な取組の一つと考える。

6について

 いわゆるシベリア抑留問題については、在ロシア日本国大使館を通じるなどして、恒常的に日露間でやり取りを行ってきている。平成二十七年九月及び平成二十八年四月に行われた日露外相会談においては、岸田外務大臣とラヴロフ・ロシア連邦外務大臣との間でこの問題についてのやり取りが行われ、日露間においては、捕虜収容所に収容されていた者に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定(平成三年外務省告示第三百十一号)に基づく協力を着実に進めることが重要であるとの認識で一致している。かかる経緯を踏まえ、第二次安倍政権発足以降に行われた日露首脳会談においては、いわゆるシベリア抑留問題は取り上げられておらず、日露両首脳からこの問題についての言及は行われていないが、政府としては、同協定に基づきロシア連邦政府に対して日本人の抑留中死亡者の名簿及び埋葬地に関する資料の提出、遺骨の引渡し等に係る協力を引き続き求めるなど着実な取組を進めてまいりたい。



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