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平成二十八年六月七日受領
答弁第三二一号

  内閣衆質一九〇第三二一号
  平成二十八年六月七日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員郡和子君提出臨床研究に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員郡和子君提出臨床研究に関する質問に対する答弁書



一の1について

 第百九十回国会に提出した臨床研究法案(以下「法案」という。)は、臨床研究(法案第二条第一項に規定する臨床研究をいう。以下同じ。)の対象者の保護の観点から臨床研究について規制を行うものである。臨床研究実施基準(法案第三条第一項に規定する臨床研究実施基準をいう。以下同じ。)の内容については、今後定めることとしているが、当該観点から特定臨床研究(法案第二条第二項に規定する特定臨床研究をいう。以下同じ。)に用いる未承認医薬品(同項第二号イに掲げる医薬品をいう。以下同じ。)の製造管理及び品質管理についても、臨床研究実施基準において規定することを検討しており、法案と一体的に、臨床研究を所管する厚生労働省医政局研究開発振興課が所管することが適当である。なお、臨床研究実施基準における特定臨床研究に用いる未承認医薬品の製造管理及び品質管理についての規定は、治験薬(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年厚生省令第二十八号)第二条第七項に規定する治験薬をいう。以下同じ。)についてのものと同様のものとすることを検討しているが、これは医薬品の製造管理及び品質管理に係るものという点において参考とすべきものであるからである。

一の2について

 準拠については、例えば、広辞苑(第五版)によれば、「よりどころまたは標準としてそれに従うこと。また、そのよりどころ・標準」、遵守については、「きまり・法律・道理などにしたがい、よく守ること」、適用については、「(法律・規則などを)あてはめて用いること」とされていると承知している。

一の3について

 法案は健康保険法(大正十一年法律第七十号)等の医療保険各法について改正するものではなく、法案により同法等に基づく評価療養、患者申出療養及び選定療養として保険外併用療養費の支給対象となる療養の範囲が変更されるものではない。

一の4及び5について

 法案は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)について改正するものではなく、法案により臨床研究に用いる医薬品等(法案第二条第三項に規定する医薬品等をいう。以下同じ。)への医薬品医療機器等法の適用関係が変更されるものではない。

一の6について

 未承認再生医療等製品(法案第二条第二項第二号ホに掲げる再生医療等製品をいう。以下同じ。)を用いる臨床研究が、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成二十五年法律第八十五号。以下「再生医療等安全性確保法」という。)第二条第一項に規定する再生医療等に該当する場合については、当該臨床研究に用いる未承認再生医療等製品については、再生医療等安全性確保法により規制され、それ以外の臨床研究については、法案により規制されることとなる。なお、再生医療等安全性確保法による未承認再生医療等製品の製造等についての規制は、治験薬についてのものと同様のものである。

二の1について

 御指摘の「よりICH−GCPに近づく」の意味するところが必ずしも明らかではないが、治験(医薬品医療機器等法第八十条の二第二項に規定する治験をいう。以下同じ。)等のそれぞれの制度の趣旨に応じて報告の在り方や内容が異なることから、有害事象又は副作用の報告の書式等を統一することは想定していないが、制度間で様式を統一する等、有害事象又は副作用の情報の効率的な利用が図られるよう努めてまいりたい。

二の2について

 御指摘の「非臨床安全性試験等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法案においては医薬品等を人に対して用いない研究については規制しておらず、そのような研究に関する基準を定めることは想定していない。

三の1について

 臨床研究実施基準の内容については、今後定めることとしているが、その内容はICH−GCP(日米EU医薬品規制調和国際会議が作成した医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)ガイドラインをいう。)に準拠し、特定臨床研究は治験と同様の手続等とすることを検討している。御指摘の答弁については、特定臨床研究は医薬品医療機器等法第十四条第三項(同条第九項及び第十九条の二第五項において準用する場合を含む。)、第二十三条の二の五第三項(同条第十一項及び第二十三条の二の十七第五項において準用する場合を含む。)及び第二十三条の二十五第三項(同条第九項及び第二十三条の三十七第五項において準用する場合を含む。)の規定による申請に用いることを想定していない旨をお答えしたものであり、海外の規制当局に対しても同様のお答えをすることとなる。また、お尋ねの英語表現については承知していない。

三の2について

 法案においては、特定臨床研究を実施する者が、特定臨床研究の実施に関する計画を厚生労働大臣に提出する等の義務を負うこととなる。

三の3について

 お尋ねの「企業が資金提供するのではなく、自らの企業資金によって実施する未承認医薬品の企業主導臨床研究であって承認申請を目的とするものでないもの」については、医薬品等製造販売業者(法案第二条第四項に規定する医薬品等製造販売業者をいう。以下同じ。)又はその特殊関係者(同条第二項第一号に規定する特殊関係者をいう。以下同じ。)から研究資金等(同号に規定する研究資金等をいう。以下同じ。)の提供を受けないで実施する臨床研究であるとすれば、同号に該当する特定臨床研究ではない。また、薬物動態等を明らかにしようとする臨床研究については、医薬品等の有効性又は安全性を明らかにするものに含まれるため、御指摘の「有効性安全性を明らかにしようとするものではなく薬物動態等を明らかにしようとするとき」については想定されない。

三の4について

 医薬品医療機器等法は医薬品の品質、有効性及び安全性の確保等の観点から規制を行うものであるが、法案は臨床研究の対象者の保護の観点から規制を行うことが必要であると判断し、医薬品医療機器等法とは別の枠組みで規制することとしたものである。なお、厚生労働省に設置した臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会が平成二十六年十二月に取りまとめた臨床研究の制度の在り方に関する報告書(以下「報告書」という。)において、「研究者に対し、行政による研究計画の事前審査等を受けることを更に求めることについては、学問の自由、医療現場の負担や当局の体制等を踏まえた実効性を考えると、実施には慎重であるべきと考えられる」とされたことから、行政による事前審査を行わない届出制としたものである。

四の1について

 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成二十六年文部科学省・厚生労働省告示第三号。以下「倫理指針」という。)においては、法令の規定により実施される研究は、適用対象外とされている。御指摘の「手術方法・手技等に関するもの」や、「承認医薬品を用いるものであって企業資金提供のないもの」がそれぞれ、臨床研究に該当するならば倫理指針の適用対象外となり、臨床研究に該当しないならば倫理指針の適用対象となる。

四の2について

 特定臨床研究に該当する場合には、当該特定臨床研究全体について法案の規定が適用されることとなる。なお、臨床研究実施基準の内容については今後定めることとしているが、医療技術に着目した規制を盛り込むことは検討していない。

四の3について

 臨床研究実施基準については、厚生労働省令で定めることとしており、その内容については、今後検討してまいりたい。

五の1について

 法案は、治験に該当しない研究に関し、臨床研究の対象者の保護を図るための規制を行うものであり、医薬品医療機器等法における承認申請の手続等に関する規定を改正するものではない。なお、医薬品医療機器等法第十四条第三項(同条第九項及び第十九条の二第五項において準用する場合を含む。)、第二十三条の二の五第三項(同条第十一項及び第二十三条の二の十七第五項において準用する場合を含む。)及び第二十三条の二十五第三項(同条第九項及び第二十三条の三十七第五項において準用する場合を含む。)の規定により提出すべき資料について、法案により新たに使用できなくなるものはない。

五の2について

 御指摘のような場合についても、公的資金と併せて医薬品等製造販売業者又はその特殊関係者が臨床研究の研究資金等を提供していると認められる場合には、特定臨床研究に該当する。

六の1について

 報告書において、「研究者に対し、行政による研究計画の事前審査等を受けることを更に求めることについては、学問の自由、医療現場の負担や当局の体制等を踏まえた実効性を考えると、実施には慎重であるべきと考えられる」とされたことから、行政による事前審査は行わないこととしたところである。

六の2について

 医療技術の研究について、EU及び米国では原則として規制をしていないという事実は把握しているが、御指摘の諸外国の状況については承知していない。

六の3について

 御指摘の条約の批准の状況については承知していない。

七の1について

 通常の医療の一環として独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)第四条第六項に規定する許可医薬品を適正に使用して臨床研究を行った結果、当該許可医薬品の副作用による健康被害が生じた場合には、原則として医薬品副作用被害救済制度の対象になるものと考えている。

七の2について

 臨床研究の対象者に健康被害が生じた場合の補償については、臨床研究実施基準において、法案第三条第二項第四号の規定に基づき、臨床研究の対象者に健康被害が生じた場合の補償及び医療の提供に関する事項について定めることとしており、臨床研究実施基準に従って適切に行われるものと考えている。なお、保険商品の開発については一義的には民間において検討されるものと考えている。

七の3について

 毎年保険契約を更新することについて、いわゆる臨床研究の対象者の保護に欠けるとの指摘は受けておらず、臨床研究の対象者の保護の実効性に支障があるとは考えていない。

七の4について

 御指摘の補償保険契約による保険金を医療費の自己負担分等に充てることができることから、公的研究資金による医療費の自己負担分等の補償については考えていない。

七の5について

 法案においては、特定臨床研究を実施する者は、当該特定臨床研究の対象者に対し、あらかじめ当該特定臨床研究の目的等その他厚生労働省令で定める事項について説明を行い、その同意を得なければならないこととされており、当該厚生労働省令で定める事項として、健康被害が生じた場合の補償の内容を定めることを検討しているところである。このため、特定臨床研究を実施する者は、当該特定臨床研究の対象者の同意を得やすいような補償内容を設定することが考えられることから、現時点では、御指摘の「医薬品副作用被害救済制度のような基金」の創設は想定していない。



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