衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十八年十月四日受領
答弁第一号

  内閣衆質一九二第一号
  平成二十八年十月四日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出米軍北部訓練場への新たなヘリパッド建設のために陸上自衛隊のヘリコプターが使用されたことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出米軍北部訓練場への新たなヘリパッド建設のために陸上自衛隊のヘリコプターが使用されたことに関する質問に対する答弁書



一から五までについて

 北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事については、当該工事に反対する人々によって、国の所有地である進入路等における車両の駐車、テント等の設置等の妨害行為が行われ、陸路による資機材の運搬が困難となっていたことから、安全かつ円滑に工事を実施するため、ヘリコプターによる資機材の運搬を実施することとし、これに当たって、一部の機材については、その重量の制約上、民間事業者のヘリコプターによる運搬が困難であることから、自衛隊のヘリコプターにより当該機材を運搬したところである。これは、防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四条第一項第十九号に規定する所掌事務の遂行に必要なものとして防衛大臣の命令により実施したものである。国民の権利義務に関わらない事実行為であって、強制力の行使を伴うようなものではない行為については、自衛隊も、同法を根拠にこれを行うことができると解しているところである。

六について

 北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業は、沖縄県環境影響評価条例(平成十二年沖縄県条例第七十七号)の適用対象事業ではなく、同事業に係る環境影響評価については、法的に義務付けられているものではないが、防衛省としては、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、これを自主的に実施した上で当該事業を進めているところである。
 今般の自衛隊のヘリコプターによる機材の運搬に当たっては、一日の運搬回数を必要最小限とし、また、夜間の運搬を行わないこととすることにより、環境に与える影響について可能な限り回避・低減を図りながら実施したところであるが、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事による環境への影響については、事後調査において確認し、必要に応じて更なる環境保全措置を講ずるなど、適切に対応してまいりたい。

七について

 御指摘の防衛大臣の発言は、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事に必要な資機材のうち、民間事業者のヘリコプターによる運搬が困難な機材に限って、自衛隊のヘリコプターにより運搬したことについて述べたものである。また、「「程度の問題」なのか」とのお尋ねについては、その趣旨が明らかでなく、お答えすることが困難である。

八、九及び十一について

 今般の自衛隊のヘリコプターによる機材の運搬に係る航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の御指摘の各規定の適用関係については、以下のとおりである。
 同法第六十三条については、当該運搬は、同条に規定する「航空運送事業の用に供する場合又は計器飛行方式により飛行しようとする場合」に該当しないため、同条の規定の適用は受けないが、安全上、十分な燃料を携行した上で出発している。
 同法第八十一条については、当該運搬は、同条ただし書に規定する国土交通大臣の許可を受けて実施している。当該許可の申請手続については、国土交通省大阪航空局を通じて適切に行っている。
 同法第八十二条については、当該運搬は、同条第一項に規定する「地表又は水面から九百メートル(計器飛行方式により飛行する場合にあつては、三百メートル)以上の高度で巡航する場合」に該当せず、また、同条第二項に規定する「航空交通管制区内にある航空路の空域・・・のうち国土交通大臣が告示で指定する航空交通がふくそうする空域を計器飛行方式によらないで飛行する場合」にも該当しないことから、同条の規定の適用は受けない。
 同法第八十八条及び航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)第百九十六条については、当該運搬は、同法第八十八条に規定する「航空機による物件の曳航」に該当しないことから、これらの規定の適用は受けない。
 同法第九十七条については、当該運搬は、同条第一項に規定する「計器飛行方式により、航空交通管制圏若しくは航空交通情報圏に係る空港等から出発し、又は航空交通管制区、航空交通管制圏若しくは航空交通情報圏を飛行しようとするとき」に該当しないため、同条第二項の規定に基づき国土交通大臣に飛行計画を通報し、同条第三項の規定に基づき当該飛行計画に従って実施している。
 さらに、沖縄県に対しては、平成二十八年九月十二日に沖縄防衛局から、同月十三日に自衛隊のヘリコプターによる機材の運搬を予定している旨の連絡を行っており、その後、同月十四日には同県の質問に対して説明を行っている。また、同月二十一日に行われた同県との意見交換会においても説明を行っていることから、同県に対する説明は十分に行っていると認識している。

十について

 八、九及び十一についてで述べたとおり、自衛隊のヘリコプターによる機材の運搬に当たっては、航空法に基づく手続を適切に行っており、また、沖縄県にも事前に連絡し、さらに、沖縄県道七十号線の往来を確認するなど、安全を確保した上で実施したところである。

十二及び十三について

 北部訓練場の土地については、平成八年十二月二日に発表された沖縄に関する特別行動委員会の最終報告において、ヘリコプター着陸帯を、返還される区域から同訓練場の残余部分に移設すること等を条件として、その過半を返還することとされている。
 同訓練場の過半の返還については、地元の国頭村や東村が返還跡地の有効活用策として国立公園の指定や世界遺産への登録を目指しており、早期返還を要望しているものと承知している。政府としては、同訓練場の過半の返還を早期に実現し、沖縄県の方々の負担の軽減を図るため、着実に取組を進める必要があると考えており、今後とも引き続き同県の方々の理解を求めてまいりたい。

十四について

 平成二十八年九月十五日の会見において、陸上幕僚長は、防衛大臣からの命令を受け、重量の制約上、民間事業者のヘリコプターによる運搬が困難な一部の機材について自衛隊のヘリコプターで運搬した旨を説明したところであり、御指摘のような「大臣の判断や命令であれば違法であっても従うとの判断」や「重量オーバーの危険な状態であるとの認識を持っていても安全を顧みず民間地上空を平気で飛行するとの姿勢」を示す発言は行っていないと承知している。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.