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平成二十八年十一月十八日受領
答弁第一二八号

  内閣衆質一九二第一二八号
  平成二十八年十一月十八日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出北部訓練場の返還が過重な基地負担の軽減に繋がるとの政府説明の欺瞞に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出北部訓練場の返還が過重な基地負担の軽減に繋がるとの政府説明の欺瞞に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの「返還に手間取った」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北部訓練場の土地の返還については、平成八年十二月に発表された沖縄に関する特別行動委員会の最終報告(以下「SACO最終報告」という。)を受け、米側と返還条件に関する協議をした結果、平成十一年四月の日米合同委員会において、返還される区域に所在するヘリコプター着陸帯七か所を同訓練場の残余の部分に移設すること等を条件として、同訓練場の過半を返還することが合意された。また、ヘリコプター着陸帯の移設については、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、那覇防衛施設局(当時)が環境調査を平成十年十二月から自主的に実施した上で、その結果を踏まえ、平成十八年二月の日米合同委員会において、移設されるヘリコプター着陸帯の数を七か所から六か所に縮小等することについて合意された。その後、平成十九年七月から移設工事に着手したところであるが、当該工事に反対する人々によって、国の所有地である進入路等における車両の駐車、テント等の設置等の妨害行為が繰り返し行われ、その円滑な実施が阻害されてきたことから、いまだ当該工事を完了することができず、返還は実現していないところである。しかしながら、もはや返還の先送りは許されないものと考えている。

二について

 御指摘の「約二割」については、北部訓練場の返還される区域の面積である約四千ヘクタールを平成二十八年三月三十一日時点における沖縄県内の日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二条1(a)の規定に基づき我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「在日米軍」という。)の使用に供している施設及び区域(以下「在日米軍施設・区域」という。)の面積である約二万二千六百ヘクタールで除して算出した割合である。

三について

 お尋ねの「積算根拠」については、北部訓練場の過半の返還に関する日米合意においてその返還条件とされている直径四十五メートルの移設後のヘリコプター着陸帯六つの総面積である。

四及び五について

 お尋ねの「定義」及び「構成要件」の意味するところが明らかではないが、お尋ねの「面積」については、移設後のヘリコプター着陸帯は約〇・九六ヘクタール、無障害物帯は約一・七〇ヘクタール、ヘリコプター着陸帯につながる進入路は約一・〇八ヘクタール、移設に係る工事用道路は約一・二三ヘクタール、移設工事の一環として現在補修を行っている、移設後のヘリコプター着陸帯と北部訓練場の水域までを結ぶ既存の通行路は約〇・三一ヘクタールである。
 また、御指摘の「含まれる」及び「含まれていない」の意味するところが明らかではないが、安倍内閣総理大臣の所信表明演説における「ヘリパッド」は、SACO最終報告においてその移設が同訓練場の過半の返還条件とされているヘリコプター着陸帯を指すものである。

六及び九について

 北部訓練場におけるヘリコプター着陸帯の移設については、返還される区域に現在七か所あるヘリコプター着陸帯を移設後は六か所とし、また、当初、直径七十五メートルとすることで日米間で合意していた移設後のヘリコプター着陸帯の大きさを直径四十五メートルに変更したものである。また、お尋ねの「機能や規模、施設内容等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、現在、同訓練場には二十二か所のヘリコプター着陸帯が存在し、そのうち返還される区域に七か所のヘリコプター着陸帯が存在することは承知しているが、移設前のヘリコプター着陸帯について、これ以上の詳細は承知していない。
 同訓練場の過半の返還については、沖縄県内の在日米軍施設・区域の面積の約二割に当たる本土復帰後最大の返還であり、また、本件については、地元の国頭村や東村が、返還された跡地の有効活用策として国立公園の指定や世界自然遺産への登録を目指すとして、早期返還を要望しているものと承知しており、政府としては、沖縄の負担を軽減するものであると考えている。
 また、同訓練場については、その過半に当たる約四千ヘクタールを返還するものであり、御指摘の「訓練場の機能強化」には当たらないと考えている。

七及び十七について

 お尋ねの「結果を出した基地負担の軽減」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、戦後七十一年を経て、なお在日米軍施設・区域が沖縄県内に集中している現状は、沖縄県民の皆様にとって大きな負担となっているものと認識しており、沖縄の負担軽減を図るべく、これまで、西普天間住宅地区の返還、KC一三〇空中給油機の岩国飛行場への移駐、同県外での垂直離着陸機MV二二オスプレイ(以下「MV二二」という。)の訓練等の実施等について、取り組んできている。
 また、お尋ねの「現在米軍任せとなっている返還地の決定に対して、地元の市町村や沖縄県からの要望のある土地をまず返還するという本来の方法に戻すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、地元の方々の要望を踏まえ、普天間飛行場の移設・返還、嘉手納飛行場以南の在日米軍施設・区域の返還、北部訓練場の過半の返還等を着実に進め、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えである。

八について

 お尋ねの「これまでの「切り拓いた未来」」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、これまで様々な施策により、重要な国家戦略として、沖縄の振興に取り組んできたところである。
 いずれにせよ、政府としては、戦後七十一年を経て、なお在日米軍施設・区域が沖縄県内に集中している現状は、沖縄県民の皆様にとって大きな負担となっているものと認識しており、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えである。

十について

 北部訓練場については、ヘリコプター着陸帯を、返還される区域から同訓練場の残余の部分に移設すること等を条件として、その過半を返還することとされていることから、政府としては、同訓練場の過半の返還を早期に実現し、地元の方々の負担の軽減を図るため、ヘリコプター着陸帯を移設する工事を進めているものである。御指摘の「訓練道」については、ヘリコプター着陸帯に附帯する施設として、同訓練場の水域に係る訓練や隊員の救助を支援する目的で使用されることとなる既存の通行路を補修するものであり、新たに整備するとの御指摘は当たらない。

十一及び十二について

 北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業は、沖縄県環境影響評価条例(平成十二年沖縄県条例第七十七号)及び環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)の対象事業ではなく、同事業に係る環境影響評価については、法的に義務付けられているものではないが、政府としては、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、これを自主的に実施した上で同事業を進めているところである。また、移設するヘリコプター着陸帯の運用に伴う環境への影響については、事後調査において確認し、必要に応じて更なる環境保全措置を講ずるなど、適切に対応してまいりたい。

十三について

 政府としては、沖縄県外でのMV二二の訓練等の実施等により、北部訓練場における訓練の回数は減少し得るものと考えている。また、同訓練場の周辺における航空機騒音については、政府として継続的な把握に努めており、これまで政府が承知している限りでは、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づく航空機騒音に係る環境基準について(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)に定める基準値を下回っているところであるが、今後とも継続的に調査を行うとともに、更なる影響の軽減に努めていく考えである。いずれにせよ、同訓練場については、SACO最終報告において、ヘリコプター着陸帯を返還される区域から同訓練場の残余の部分に移設すること等を条件として、その過半を返還することとされており、その返還は、同県内の在日米軍施設・区域の面積の約二割に当たる本土復帰後最大の返還である。しかしながら、返還に関する日米合意から既に二十年が経過しているものの、いまだ返還は実現しておらず、もはや返還の先送りは許されないものと考えており、政府としては、沖縄の負担軽減のため、同訓練場の早期の返還を目指し、引き続き、着実に取組を進める必要があると考えている。

十四及び十五について

 御指摘の「戦略展望二〇二五」については、米海兵隊の一部局が作成した文書と承知しており、その内容について、政府として逐一お答えすることは差し控えたいが、北部訓練場は返還される部分も含め、実際に在日米軍によって使用されてきており、返還される部分が在日米軍の訓練にとって使用不可能な施設であるとは認識していない。
 政府としては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、地元の方々の要望を踏まえ、普天間飛行場の移設・返還、嘉手納飛行場以南の在日米軍施設・区域の返還、同訓練場の過半の返還等を着実に進め、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えであり、「米軍・米国政府頼みの方針であって、相も変わらずに米軍・米国政府に追従する姿勢を露わにしたものである」といった御指摘は当たらない。

十六について

 お尋ねの「米軍の北部訓練場を含む全ての区域を「やんばるの森」として指定し直す」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第五条第一項の規定に基づき国立公園に指定することを意味するのであれば、やんばる国立公園については、平成二十八年九月十五日に指定したところであり、北部訓練場の返還される区域については、地元の国頭村や東村が、国立公園への編入や世界自然遺産への登録を目指しているものと承知している。政府としては、こうした地元自治体からの要望も踏まえて、今後、国立公園への編入や世界自然遺産の早期登録が実現するよう努力するなど、地域の絶滅危惧種の保護をはじめとする自然環境の保全に努めてまいりたい。



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