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答弁本文情報

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平成二十八年十二月十六日受領
答弁第一九四号

  内閣衆質一九二第一九四号
  平成二十八年十二月十六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回に関する質問に対する答弁書



一から三までについて

 教科書において、学習指導要領を踏まえどのように記述するかについては、欠陥のない範囲において申請図書の発行者等の判断に委ねられているところであり、個々の記述の理由や意図についてお答えする立場にないが、文部科学省としては、高等学校教科用図書について、高等学校教科用図書検定基準(平成二十一年文部科学省告示第百六十六号)に掲げる各項目に照らして適切であるかどうかを審査した上で、検定の決定及び訂正の承認を行っているところである。
 その上で、御指摘の記述の訂正の承認を含め、沖縄の集団自決に関する記述の検定の決定及び訂正の承認については、先の答弁書(平成二十七年六月十九日内閣衆質一八九第二六二号。以下「先の答弁書」という。)五及び六についてで述べた、「平成十八年度検定決定高等学校日本史教科書の訂正申請に関する意見に係る調査審議について(報告)」(平成十九年十二月二十五日教科用図書検定調査審議会第二部会日本史小委員会)において示された「基本的とらえ方」をも踏まえて行っているところである。

四について

 お尋ねは、私人間の個別具体的な事件における裁判所の判断に関するものであり、お答えを差し控えたい。

五について

 文部科学省においては、平成十八年に改正された教育基本法(平成十八年法律第百二十号)にのっとってバランス良く記載され、採択権者が責任を持って選んだ教科書で子供たちが学ぶことができるよう、教科書の編集・検定・採択の各段階において、必要な制度改善を行うことを目指し、平成二十五年十一月十五日に、今後の教科書改革に向けた総合的な政策パッケージとして「教科書改革実行プラン」を発表したところであり、その一環として、平成二十六年一月十七日に、児童生徒の多面的・多角的な考察に資するよう、御指摘の義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成二十一年文部科学省告示第三十三号)及び高等学校教科用図書検定基準(以下これらを合わせて「教科用図書検定基準」という。)について、それぞれ「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」との規定(以下「当該規定」という。)を加える改正を行ったところである。

六について

 お尋ねの「同検定基準を適用した事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、当該規定に基づき検定意見を付した事例としては、例えば、平成二十六年度における中学校の社会科の申請図書に係る検定において「指摘事項」が「「東京裁判」(全体)」、「指摘事由」が「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」である検定意見を付した事例や、平成二十七年度における高等学校の地理歴史科の申請図書に係る検定において「指摘事項」が「「戦後補償を考える」(全体)」、「指摘事由」が「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」である検定意見を付した事例がある。

七について

 御指摘の「文部科学省の「義務教育諸学校教科用図書検定基準」及び「高等学校教科用図書検定基準」が見直されて告示されたのは平成二十一年の三月乃至九月である。この日時は原告側が第二審の判決を不服として最高裁判所に上告していた時である」の意味するところが必ずしも明らかではないが、教科用図書検定基準について当該規定を加える改正を行ったのは平成二十六年一月であり、御指摘の「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」の最高裁判所の裁判があった平成二十三年四月より後である。その上で、お尋ねの「政府は当初裁判で勝訴することを前提として、その判例を基に「教科用図書の検定基準」とすることを目論んだのではないか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、当該改正を行ったのは「平成二十一年の三月乃至九月」ではなく、当該改正は「当初裁判で勝訴することを前提」としたものではないことから、「その判例を基に「教科用図書の検定基準」とすることを目論んだのではないか」との御指摘は当たらない。

八について

 一から三までについてでお答えしたとおり、教科書において、どのように記述するかについては、欠陥のない範囲において申請図書の発行者等の判断に委ねられている。また、先の答弁書五及び六についてでお答えしたとおり、御指摘の検定意見は、その当時の教科用図書検定調査審議会の専門的な審議の結果によるものであり、当該検定意見を撤回することは考えていない。
 なお、先の答弁書四についてでお答えしたとおり、当該検定意見は、沖縄における集団自決について、集団自決された沖縄の住民の全てに対して、自決の軍命令が下されたか否かを断定できない中で、全ての集団自決が軍の命令で行われたと誤解されるおそれがあるとの趣旨で付されたものである。



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