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答弁本文情報

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平成二十九年二月二十一日受領
答弁第七〇号

  内閣衆質一九三第七〇号
  平成二十九年二月二十一日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員長妻昭君提出奨学金等を通じた教育の機会均等の実現に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出奨学金等を通じた教育の機会均等の実現に関する質問に対する答弁書



一について

 全ての子供や若者が、家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられるようにすることが重要であると考えている。

二の(1)及び(3)について

 平成二十九年度予算においては、意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学を断念することがないよう、給付型奨学金制度を創設することとしており、給付型奨学金を支給する対象については、給付型奨学金を支給するにふさわしい者を選定する基準を設定することとし、対象人数を各学年約二万人としている。また、支給する額については、独立行政法人日本学生支援機構(以下「機構」という。)が実施した平成二十二年度学生生活調査、平成二十四年度学生生活調査及び平成二十六年度学生生活調査の各結果における収入及び支出の状況を踏まえ、必要な額を設定している。政府としては、当面、給付型奨学金制度を安定的に運用し、定着を図ることが重要と考えている。また、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第六号)第十三条2(c)の規定も踏まえつつ、平成二十九年度予算において、給付型奨学金制度の創設をはじめとする機構が実施する奨学金事業の大幅な拡充を図ることとしており、今後とも、意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学等を断念することがないよう、必要な財源を確保しつつ、機構が実施する奨学金事業や各大学等が実施する授業料減免等への支援を通じて、高等教育段階における教育費の負担軽減に取り組んでまいりたい。

二の(2)について

 御指摘の安倍内閣総理大臣施政方針演説における発言は、平成二十九年四月以降に大学等へ進学する者のうち、経済的理由により極めて修学に困難がある者(生計を維持する者が市町村民税所得割(無利子奨学金の申込みをする月の属する年度分の地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による市町村民税(同法の規定による特別区民税を含む。)の同法第二百九十二条第一項第二号に掲げる所得割(同法第三百二十八条の規定によって課する所得割を除く。))を課されないものである者をいう。以下同じ。)については、その全員が所要の手続を経て学習成績の評定にかかわらず無利子奨学金の貸与を受けられるようにすることを表明したものである。

三の(1)について

 平成二十九年度において先行して実施する給付型奨学金制度に係る支給対象者は、経済的理由により極めて修学に困難がある者であって私立の大学等に自宅外通学をするもの又は児童養護施設に入所していた者等であって国公私立の大学等に通学するもののうち、一定の学力及び資質の要件を満たす者として高等学校等からの推薦等及びその在籍する大学等からの推薦を受けたものの全てを対象とすることを予定しており、御指摘のように高等学校等に対して「学校推薦の割り振り」を行うことは予定していない。

三の(2)について

 御指摘の「無利子奨学金の残存適格者」の人数は、平成二十八年八月時点の機構の貸与の実績に基づき算定したものである。具体的な算定方法については、無利子奨学金の予約採用(大学等への進学後に奨学金の貸与を受けられるよう進学前においてあらかじめ貸与の予約を行うことをいう。以下同じ。)において、貸与基準を満たす者のうち大学等への進学が見込まれるものの数から、予算規模に応じて機構が定める予約採用の対象者の数を減じ、在学採用(大学等への進学後に進学先において奨学金の貸与の手続を行うことをいう。)において貸与基準を満たしながら貸与を受けることができないと見込まれる者の数を加えて算出したものである。
 また、平成二十九年度予算においては、「残存適格者」が存在する状態を解消するため、無利子奨学金の貸与基準を満たした場合、希望者全員が貸与を受けられるよう無利子奨学金の新規貸与人員を二万四千人増員するために必要な費用を計上しているところである。

三の(3)について

 平成二十九年度からの給付型奨学金を含む奨学金制度の実施に当たっては、平成二十九年度予算において、機構が実施する給付型奨学金の支給に係る業務及びその附帯業務を実施するための職員の増員に係る費用などの必要な費用を計上している。

三の(4)について

 御指摘の事業については、文部科学省の「所得連動返還型奨学金制度有識者会議」において平成二十八年九月に取りまとめられた「新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(審議まとめ)」において、奨学金制度について、「学生等に周知を図ることが極めて重要」との指摘がなされたこと等を踏まえ、実施されることとなったものと承知している。
 同事業は、奨学金の返還等の資金計画を含めた適正な奨学金制度の利用等について、各高等学校等が生徒、保護者及び教員等を対象として開催する奨学金の説明会等に、奨学金制度の理解を促進するためアドバイザーを派遣するものと承知しており、平成二十九年度予算における機構に対する運営費交付金は同事業の実施等を考慮したものである。
 同事業の実施により、生徒、保護者及び教員等の奨学金制度に対する理解が促進され、御指摘の「予約採用業務」を含む奨学金に係る業務について、各高等学校等における生徒からの奨学金に関する相談に対する対応や申請事務の円滑な実施に資するものであり、当該業務に携わる教員等の負担が一定程度軽減されるものと考えている。

三の(5)について

 平成二十九年度予算における学資支給基金に対する予算措置予定額である七十億円は、平成二十九年度の給付型奨学金の支給対象者として見込まれる約二千八百人に係る給付型奨学金の支給額等を計上したものである。また、政府としては、平成二十九年度予算編成において、平成三十年度以降における本格的な給付型奨学金制度の支給対象者を各学年約二万人とすることとし、その支給のために必要な財源を確保することとしたところである。
 学資支給基金への民間からの寄附については、今国会に提出した独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案の成立後、機構において、速やかに寄附の募集を開始する予定であると承知しており、寄附金の活用方法については、給付型奨学金制度の運用状況を踏まえつつ、文部科学省及び機構において今後検討を進めていくこととしている。



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