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答弁本文情報

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平成二十九年六月二十日受領
答弁第三九三号

  内閣衆質一九三第三九三号
  平成二十九年六月二十日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決の前提となる沖縄の現状についての政府の基本認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決の前提となる沖縄の現状についての政府の基本認識に関する質問に対する答弁書



一、二、四、五及び十一について

 沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。また、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にある。こうした地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することにより、種々の事態への迅速な対応が可能となっており、在沖縄米海兵隊は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。
 在沖縄米海兵隊の沖縄県外への一括移転については、一般的には、沖縄ほどの地理的優位性が認められない、広大な土地の確保に多大な時間を要するといった問題点があるものと認識している。
 また、沖縄からソウル及び台北までの距離は、それぞれ約千二百六十キロメートル及び約六百三十キロメートル、佐世保からソウル及び台北までの距離は、それぞれ約五百四十キロメートル及び約千二百キロメートルと承知している。

三について

 平成二十四年四月二十七日付けの日米安全保障協議委員会共同発表において、約九千人の米海兵隊の要員がその家族と共に沖縄から日本国外の場所に移転されることを確認したが、高い即応性を有する第三十一海兵機動展開隊は沖縄に維持されること、ハワイやグアム等にも、様々な軍事作戦任務を行うための米海兵隊の基本的な組織である海兵空地任務部隊を配置することにより、地域における米海兵隊全体の対処能力が向上すること並びに事態の進展に応じて、各所から部隊が増強され、沖縄に残留する第三海兵機動展開部隊司令部、航空部隊及び後方支援部隊が、増強部隊の来援のための基盤となり、引き続き大規模な事態に迅速に対応できることから、我が国及び地域における米軍の抑止力は維持・強化されるものと認識している。

六から八までについて

 米軍の運用に関することについては、政府としてお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、政府としては、米軍は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)の目的達成のため、平素から必要な訓練を行っているものと認識している。また、政府としては、御指摘の「沖縄の訓練場にジャングル戦闘訓練センターが所在するため、海兵隊を沖縄から県外へ移転できない」と主張したことはなく、そのような移転についての具体的な検討も行ったことがないことから、移転やそれに伴う施設整備等についてお答えすることは困難である。

九について

 お尋ねの「有事において海兵隊がどう展開するのか」については、米軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、我が国の離島に万一緊急事態が発生した場合、沖縄の海兵隊航空部隊は、陸上部隊を航空機に乗せて現場に急行するといった運用もあるものと承知している。

十について

 個々の在日米軍施設・区域の返還の経緯等について、一概に申し上げることは困難であるが、いずれにせよ、沖縄県が戦後長らく我が国の施政権の外に置かれ、戦後七十年以上を経てもなお、大きな負担を負っていただいていることを重く受け止め、今後も、抑止力を維持しつつ、在日米軍施設・区域の整理・統合・縮小について、不断に取り組んでいく。

十二について

 お尋ねの「米海兵隊の運用を変更するような案」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、普天間飛行場の辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に同飛行場の危険性を一刻も早く除去するための唯一の解決策であると考えている。

十三について

 お尋ねの「この答弁と指摘は、政府の主張と真逆であり、本職はこの森本答弁等が正論であり、政府の本音である」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の平成二十四年六月十二日の衆議院予算委員会における森本防衛大臣(当時)の答弁は、軍事的な観点からの沖縄の地理的な優位性を否定しているものではないと認識している。

十四及び十五について

 お尋ねについては、個別具体的な状況に即して判断する必要があり、一概にお答えすることは困難である。

十六について

 お尋ねの「フィリピンやタイで実施される人道支援・災害救援活動(HA/DR)」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、例えば、防衛省・自衛隊は、平成二十五年十一月から同年十二月までの間、フィリピン共和国において医療・防疫活動、救助活動及び救援物資等の輸送等を主な業務とする、また、平成十六年十二月から平成十七年一月までの間、タイ王国及びその周辺海域において被災者の捜索及び救助活動を主な業務とする国際緊急援助活動を実施したところである。また、お尋ねの「HA/DRが国境を越え敵味方の区別なく実施されることの意義と成果」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、外国において大規模な自然災害が発生した際に支援を行うことは、人道上の観点のみならず、二国間関係の強化、国際社会における我が国の地位の向上といった外交上の観点からも意義が高いと認識している。

十七について

 在日米軍施設・区域の主な使用目的及び使用条件等については、昭和四十七年五月十五日等の日米合同委員会合意において明らかにされており、その他、必要に応じて米側に照会しているが、その内容は、在日米軍施設・区域ごとに異なるほか、米軍の運用に関するものもあるため、一概にお答えすることは困難である。

十八について

 日米安保体制の下、在日米軍においては、緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる態勢が平時からとられており、このような在日米軍のプレゼンスは、米国が有する核戦力や通常戦力とあいまって、抑止力として機能しているものと考えている。また、地理的な優位性を有する沖縄に、優れた機動性及び即応性を有し、幅広い任務に対応可能な第三十一海兵機動展開隊をはじめとする海兵隊等の米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものであると認識している。

十九について

 米国の会計検査院により作成された報告書の内容について、政府としてお答えする立場にないが、普天間飛行場代替施設における滑走路の配置や長さについては、安全性及び運用上の所要等を考慮し、日米両政府間で合意しているものである。



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