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答弁本文情報

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平成三十年五月二十五日受領
答弁第三〇五号

  内閣衆質一九六第三〇五号
  平成三十年五月二十五日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員山井和則君提出高度プロフェッショナル制度に類似する専門業務型裁量労働制が適用された労働者の過労死認定等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出高度プロフェッショナル制度に類似する専門業務型裁量労働制が適用された労働者の過労死認定等に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 平成三十年四月二十七日である。

三について

 平成三十年四月に池袋労働基準監督署長が行ったいわゆる過労死に係る労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)による保険給付の支給の決定は、同月二十七日付けの一件のみであり、お尋ねの「調査の復命日」については、一及び二についてでお答えしたとおりである。
 また、東京労働局の管轄区域内の労働基準監督署において平成二十九年度に同法による保険給付の支給の決定を行った過労死等事案の復命日から支給の決定までの平均的な期間は八・一日であるが、同法第八条に定める給付基礎日額について慎重に確認する必要がある等の場合には、復命後、支給の決定までに一定の期間を要することがある。

四及び五について

 いわゆる専門業務型裁量労働制の適用要件は、労働者が「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務」に従事すること等とされており、これらの要件に該当する場合に限り、同制度を適用することができる。これらの要件に該当しない場合には、労働時間のみなしの効果が生じないことにより、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十二条又は第三十七条第一項の違反となり、同法第百十九条により、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処される可能性がある。

六及び七について

 お尋ねについては、個別の事案に関することであり、お答えを差し控えたい。

八から十までについて

 労働者災害補償保険法による保険給付の請求がされたときから当該請求に対する支給又は不支給の決定(以下「労災認定」という。)をするまでに通常要すべき標準的な期間について、脳・心臓疾患に係る労災認定は六箇月、精神障害に係る労災認定は八箇月としている。個別の事案に関する回答は差し控えるが、厚生労働省としては、当該標準的な期間を踏まえ、迅速かつ公正に労災認定を行うこととしているものの、複雑困難な事案については、労災認定までに一定の期間を要することがあり、お尋ねのような「働き方改革推進法案の審議への影響を考慮して、厚生労働省本省が恣意的に手続き等を遅らせたり、止めたりしている」との御指摘は当たらない。

十一について

 お尋ねの「自主点検」については、労働基準法第三十八条の三及び第三十八条の四の規定によるみなし労働時間制度を導入している事業場の事業主に対し、平成三十年二月中に報告をするよう求めたところであり、現在、厚生労働省において、当該報告の結果の取りまとめを行っているところである。今後、監督指導を実施することとしているが、当該報告の未提出事業場に対しては、既に監督指導を開始しているところである。

十二、十三及び十五について

 いわゆる高度プロフェッショナル制度の年収要件については、「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額・・・の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」こととしており、対象業務に就かせた時点から当該要件を満たさない場合は、当該就かせた時点から同制度は適用されないものである。

十四について

 いわゆる高度プロフェッショナル制度については、労働者の同意を要件としているが、当該同意は撤回することができるものである。
 また、同制度においては、使用者は、「同意をしなかつた対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと」について決議(今国会に提出している働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(以下「法律案」という。)による改正後の労働基準法第四十一条の二第一項の規定による決議をいう。)をし、当該決議を行政官庁に届け出なければならないこととしており、使用者が「同意をしなかつた対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱い」をした場合には、労働基準監督機関による監督指導の対象となる。

十六について

 いわゆる高度プロフェッショナル制度においては、対象業務は「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務」であることを要件としていること、また、「使用者との間の書面その他の厚生労働省令で定める方法による合意に基づき職務が明確に定められている」ことを要件としていること、さらに、対象者は労働条件に関する一定の交渉力を有していると考えられる者として「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額・・・の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」ことを要件としていること、加えて、同制度の適用に当たって労働者の同意を必要としていることから、御指摘のような事態は通常想定されないものと考えている。

十七について

 法律案による改正後の労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号。以下「新安衛法」という。)第六十六条の八の四第二項において準用する労働安全衛生法第六十六条の八第五項において、「事業者は、・・・医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、・・・適切な措置を講じなければならない」こととしているところである。また、同項違反に対する罰則はない。

十八について

 お尋ねの「過少に記録していた場合」については、健康管理時間を過少に記録し、当該不適切な記録に基づき新安衛法第六十六条の八の四第一項に違反した場合には、新安衛法第百二十条第一号により五十万円以下の罰金に処される可能性がある。
 また、お尋ねの「労働基準監督署の調査等に際して、過少に開示等を行った場合」については、労働基準法第百二十条第四号により、三十万円以下の罰金に処される可能性がある。

十九について

 いわゆる専門業務型裁量労働制の適用要件は、労働者が「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務」に従事すること等とされており、また、いわゆる企画業務型裁量労働制の適用要件は、労働者が「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」に従事すること等とされており、これらの要件に該当する場合に限り、これらの制度を適用することができる。これらの要件に該当しない場合には、労働時間のみなしの効果が生じないことにより、労働基準法第三十二条又は第三十七条第一項の違反となり、同法第百十九条により、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処される可能性がある。
 なお、お尋ねの件数については、統計をとっておらず、お答えすることは困難であるが、平成三十年五月十一日の衆議院厚生労働委員会において加藤厚生労働大臣がお答えしたとおり、平成二十九年に裁量労働制に関し是正勧告又は指導を行った事業場数は、二百七十二事業場である。



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