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令和元年十一月二十二日受領
答弁第七一号

  内閣衆質二〇〇第七一号
  令和元年十一月二十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員西村智奈美君提出傷病手当金と老齢年金との調整に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員西村智奈美君提出傷病手当金と老齢年金との調整に関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の「法的根拠がない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、年金事務所においては、「業務処理要領」(平成二十九年日本年金機構要領第百九十七号)に基づき、遺族年金の裁定請求の際に、死亡した老齢年金の受給権者が裁定請求をしていない場合には、請求漏れが生じないよう、裁定請求を行う者に対し、遺族年金と併せて老齢年金を未支給の年金として請求することが可能であることを説明しているところであり、「遺族年金の裁定請求者の意思を確認しないまま、機械的にセットで行っている」との御指摘は当たらない。また、御指摘の「不利益」の意味するところが必ずしも明らかではないが、年金事務所においては、遺族年金の裁定請求を行う者から、御指摘の「老齢年金裁定請求及び未支給年金の請求を行うことにより税金や社会保険料の負担が増えることや傷病手当金との調整がされる」か否かについて相談を受けた場合についても、適切に対応しているものと承知している。

二について

 御指摘の「不利益な負担」及び「負担分についての救済」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
 なお、お尋ねの「平成十二年の改正以降の@傷病手当金と老齢年金の調整を行った件数と金額および、Aそのうち傷病手当金と未支給年金との調整を行った件数と金額」については、把握していないが、各保険者に対する調査を行うことは、当該保険者に多大な負担を課するものであること等から、お尋ねのような調査を行うことは考えていない。

三について

 傷病手当金は、被保険者が疾病又は負傷のため労務不能となり一時的に収入の喪失等を来した場合に、これをある程度補塡し、生活保障を行うことを目的とするものであり、他の社会保障制度において生活保障を行うことが担保されている場合には、これを補塡する必要がないという趣旨から、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百八条第五項において、「国民年金法又は厚生年金保険法による老齢を支給事由とする年金たる給付・・・の支給を受けることができるときは・・・支給しない」こととされており、老齢年金の支給を受けることができるか否かについては、老齢年金の支給を支払期日ごとに受ける権利(以下「支分権」という。)の存在が確定しているか否かにより判断することとしているところ、この支分権については、老齢年金の給付を受ける基本的権利(以下「基本権」という。)に基づき、自動的に発生するものであり、基本権については、例えば、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第十六条の規定に基づき厚生労働大臣によって裁定が行われることにより確定するものであるため、「「支給を受けることができるとき」=「老齢年金が裁定されている」とする解釈は誤り」であるとの御指摘は当たらない。このため、健康保険法第百八条第六項に基づく全国健康保険協会と日本年金機構との間の照会事務に係る運用についても変更する必要はないと考えている。

四について

 傷病手当金は、三についてで述べたとおり、被保険者が疾病又は負傷のため労務不能となり一時的に収入の喪失等を来した場合に、これをある程度補塡し、生活保障を行うことを目的とするものであり、また、老齢年金は、高齢期における稼得能力の喪失・減退を補塡することを目的とするものである。このように、傷病手当金と老齢年金は、所得保障という共通の目的を持つものであることから、退職後にこれらの給付を重複して受けている場合には、併給調整を行う必要があると考えており、お尋ねの点について見直すことは考えていない。
 なお、御指摘の@については、例えば、国民年金法第二十八条第一項の規定に基づく申出をした者に対する老齢年金の支給は、同法第十八条第一項の規定にかかわらず、当該申出のあった日の属する月の翌月から始めることとされており、御指摘の「退職後の傷病手当金の受給期間中」に係る支分権は消滅しているため、傷病手当金との併給調整の問題が生じないものである。また、御指摘のAについては、傷病手当金が、生活水準を維持するための所得保障を行い、かつ、労働力の早期回復により一層資する観点から、在職中の傷病手当金と老齢年金の併給調整を行わないこととされているものである。

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