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答弁本文情報

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令和二年十二月四日受領
答弁第二五号

  内閣衆質二〇三第二五号
  令和二年十二月四日
内閣総理大臣 菅 義偉

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員宮川伸君提出種苗法改正案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員宮川伸君提出種苗法改正案に関する質問に対する答弁書


一の1及び2並びに二について

 現行法上、自家増殖に該当しない増殖は、種苗法(平成十年法律第八十三号)第二十六条第一項の規定による通常利用権の許諾(以下単に「許諾」という。)を受けて行う必要があるが、自家増殖をしているか又は自家増殖に該当しない増殖をしているかは、種苗を生産している段階においては外観上明らかではないため、現行法の下では、育成者権者の許諾を受けずに自家増殖に該当しない増殖をしている者がいたとしても、当該増殖の差止めを請求することは事実上困難である。また、お尋ねの「届出制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自家増殖をしている者の名前が把握できたとしても、このような事情に変化はなく、登録品種の自家増殖の実態の把握には不十分であると考えている。
 一方で、第二百一回国会に提出した種苗法の一部を改正する法律案(以下「法律案」という。)においては、育成者権者は、自らが許諾をしていない者が種苗の増殖をしたり、通常利用権の設定行為で定めた範囲を超えた増殖をした場合には、当該増殖が自家増殖に該当するか否かにかかわらず、当該増殖の差止めを請求することができることとなることから、御指摘の「故意に種苗を海外流出させる」ことを目的として育成者権者の許諾を受けずに種苗の増殖をしている者に対し、当該増殖の差止めを請求することが可能となる。

一の3について

 現行法上、育成者権者の許諾を受けずに自家増殖に該当しない増殖が行われていたとしても、当該増殖が行われた品種が登録品種であることを知らなかったと主張された場合、損害賠償請求に必要な故意又は過失の立証が困難となる場合がある。
 一方で、法律案においては、自家増殖は、育成者権者の許諾を受けて行うこととなるため、育成者権者は、当該許諾の際に、当該許諾を受ける者に対して、当該許諾に係る品種が登録品種であることを明示的に認識させることが可能となる。このため、当該許諾を受けた者が、生産した種苗を他者に譲渡するなど、通常利用権の設定行為で定めた範囲を超えた行為をした場合には、損害賠償請求に必要な故意又は過失の立証が容易になると考えている。

三の1及び3について

 登録品種の許諾の対価について定めた法令上の規定は存在せず、登録品種の許諾の対価をどのように設定するかは、当該登録品種の育成者権者の判断によることとなる。一般に、育成者権者が、農業者が当該登録品種を選択することにより得られる収益の増分を上回る水準に許諾の対価を設定すれば、登録品種以外の品種が多くある中で、農業者は当該登録品種を選択しないと考えられることから、このような水準に許諾の対価が設定されることにはならないと考えている。

三の2について

 農林水産省において、フランスの登録品種の小麦の事例と都道府県が育成した登録品種の水稲の事例について調査したところ、フランスの登録品種の小麦の事例においては、自家増殖をする農業者が支払う対価が収穫物の販売額に占める割合は約〇・三五パーセントであり、都道府県が育成した登録品種の水稲の事例において当該都道府県内における種子代に含まれる許諾の対価相当分が収穫物の販売額に占める割合である約〇・〇〇一八パーセントの約百九十四倍、都道府県外における種子代に含まれる許諾の対価相当分が収穫物の販売額に占める割合である約〇・〇〇五七パーセントの約六十一倍であることを把握している。

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