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答弁本文情報

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令和四年十月二十八日受領
答弁第二〇号

  内閣衆質二一〇第二〇号
  令和四年十月二十八日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員阿部知子君提出産科医療補償制度における補償対象外となった脳性麻痺児の救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出産科医療補償制度における補償対象外となった脳性麻痺児の救済に関する質問に対する答弁書


一の1について

 御指摘の「要望書」を踏まえ、厚生労働省においては、令和二年二月に「産科医療補償制度の見直しに関する検討について」(令和二年二月四日付け厚生労働省医政局総務課医療安全推進室及び保険局保険課事務連絡)を発出し、産科医療補償制度の運営組織である公益財団法人日本医療機能評価機構(以下「機構」という。)の理事長に対して、同制度の実績について検証を行うとともに、同制度の見直しに関する検討を進めることを依頼し、当該検討の結果を踏まえて、社会保障審議会医療保険部会において審議を行い、「二二年改定」を行ったところである。

一の2及び3について

 産科医療補償制度の見直しに当たっては、同制度が、公正中立な運営を行う観点から、機構において医療関係団体、患者団体、保険者等の関係者の意見を踏まえて制度の検討を行い、学識経験者や医療保険者等による審議を経て定められた補償対象基準や掛金を踏まえて保険契約を締結して実施されていることに鑑み、機構において関係者の意見を踏まえて制度の見直しに関する検討を進め、厚生労働省において、当該検討の結果を踏まえた対応を行うこととしたものであるため、「所管省庁としての責務を果たしていない」及び「何ら主体的関与を行っていない」との御指摘は当たらない。

二の1について

 お尋ねの「制度開始から現在までに、新基準に照らして補償の対象となりうる対象者」の数については、政府として把握していない。

二の2について

 健康保険法施行令(大正十五年勅令第二百四十三号)第三十六条第一号に定める厚生労働省令で定める基準については、機構が設置する産科医療補償制度運営委員会及び産科医療補償制度の見直しに関する検討会において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえ、学識経験者や医療保険者等による検討が行われ、当該検討の結果を踏まえて社会保障審議会医療保険部会における審議を経て定められているところであり、その時点における適切な基準を設定していると考えている。
 その上で、産科医療補償制度は、機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する形で実施されており、お尋ねの「救済措置」については、学識経験者や医療保険者等による審議を経て定められた補償対象基準や掛金を踏まえて締結された保険契約に定められていないため、現状においては困難であると考えている。

二の3について

 産科医療補償制度については、機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する形で実施されており、その保険契約の内容については、学識経験者や医療保険者等による審議を経て定められた補償対象基準等を踏まえ、機構と保険会社において定められるべきものであると考えている。また、御指摘の「医療関係団体、患者団体等」については、機構における産科医療補償制度運営委員会等に参画しているものと承知しており、「分娩の当事者である母親」に対しては、同制度の仕組みやこれまでの見直しの内容等について機構から丁寧に説明することが重要であると考えている。

二の4について

 産科医療補償制度は、分娩に係る医療事故により脳性麻痺となった児及びその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに事故原因の分析を行い、将来の同種事故の防止に資する情報を提供すること等により、紛争の防止・早期解決及び産科医療の質の向上を図ることを目的としており、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえ、その時点における適切な基準に照らして、分娩に係る医療事故と認められるものに起因する一定の障害等の状態となった出生者等に対して、補償を行っているところであり、御指摘の「二○○九〜二○二一年生まれの児で、個別審査で対象外とされた児たち」は、分娩に係る医療事故による脳性麻痺と認められないことから補償の対象外となった者であることから、改めて同制度において原因分析を行うことは考えていない。

二の5について

 お尋ねの「剰余金を用いて過去に個別審査で補償対象外とされた児に対して何らかの経済的援助を新たに行うことの要否」について、社会保障審議会医療保険部会において審議及び意見交換は行っておらず、機構においても審議及び意見交換は行われていないと承知している。

三の1について

 お尋ねの「原因分析報告書の送付件数」については、機構において令和元年八月七日に開催された第四十一回産科医療補償制度運営委員会及び令和四年七月六日に開催された第四十七回産科医療補償制度運営委員会の資料によれば、制度開始から令和三年度末までの間における原因分析報告書の送付件数は三千百八十七件である。また、令和四年一月十九日に開催された第四十六回産科医療補償制度運営委員会の資料によれば、制度開始から令和三年十一月末までの間における原因分析報告書の送付件数のうち「訴訟提起件数」は二十五件、「訴外の賠償交渉」の件数は三十三件であり、「医師賠償責任保険等に求償」した件数については、政府として把握していない。

三の2について

 御指摘の「原因分析委員会における調査」において判明した事案への対応については、機構の産科医療補償制度再発防止委員会が平成二十五年五月に作成した「第三回産科医療補償制度再発防止に関する報告書」において、子宮収縮薬の使用に当たっては、「インフォームドコンセントを得た上で、用法・用量を守り適正に使用する」こと等が重要であるとされており、厚生労働省においては、同報告書について、都道府県等に対し、医療機関等への周知を依頼している。

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