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答弁本文情報

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令和五年十二月二十二日受領
答弁第一三〇号

  内閣衆質二一二第一三〇号
  令和五年十二月二十二日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員阿部知子君提出カネミ油症患者の全面救済とカネミ油症事件の検証等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出カネミ油症患者の全面救済とカネミ油症事件の検証等に関する質問に対する答弁書


一の1について

 御指摘の「全体像」及び「行政の責任」の意味するところが必ずしも明らかではないため、一概にお答えすることは困難であるが、御指摘の「カネミ油症事件」が発生した昭和四十三年当時の食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)において、厚生省(当時)は、食中毒事件が発生した場合に、都道府県を通じて報告を受けるものとされており、「カネミ油症事件」についても、その発生の報告を受けた上で、患者の発生状況の調査や原因究明、被害の拡大防止等を実施するなど、当時の食品衛生法等に基づき、必要な対応を行ったものと認識している。
 さらに、「カネミ油症事件」発生以降、昭和四十三年にカネミ油症の原因及び治療法の究明等を目的として組織された油症研究班(以下「研究班」という。)によるカネミ油症に係る検診等を通じて、継続的にカネミ油症患者の実態の把握に努めてきたところである。

一の2について

 お尋ねの「農林省と厚生省の連携」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、昭和六十一年五月十五日福岡高等裁判所判決においては、「国民の生命、身体、財産に対する差し迫つた危険」の「切迫を知り又は容易に知り得べき状況にあつた」場合に「通報が職務上の義務となる」場合があるが、当時の「農林省の公務員」は、御指摘の「カネミライスオイル」による健康被害発生の危険の切迫を容易に知り得るべき状況になく、その予見可能性を肯定し得ないとされ、また、当時の「厚生省(食品衛生行政担当)の公務員」についても、当時の「農林省係官」からの連絡を受けたとしてもその危険について予見可能性が生ずる関係にないとされていると承知しており、政府としても同様の見解である。

一の3について

 御指摘の「食品衛生法によって認定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、研究班において、その時々の医学的、疫学的及び科学的知見に基づき昭和四十三年に策定し、改訂してきた「油症診断基準」(以下「診断基準」という。)によりカネミ油症患者の認定がなされてきたものと認識している。

二の1及び2について

 御指摘の「製造時期の特定」及び「油症被害の報告に基づいて製造時期を拡大」の意味するところが必ずしも明らかではないが、診断基準については、一の3についてでお答えしたとおり、当時の医学的、疫学的及び科学的知見に基づき策定されて以降も最新の知見や技術の進展等を踏まえ、五回にわたり見直しが行われてきたところであり、引き続き、研究班を中心に、必要な見直しについて適切に検討してまいりたい。

二の3について

 御指摘の「油症班が行う健康調査」及び「同法による日付の区切り」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省では、カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律(平成二十四年法律第八十二号)に基づき、カネミ油症の診断を受けた者の健康状態の実態を把握するための調査を実施しており、また、診断基準においては、「油症発生当時に、油症患者・・・と同居し、カネミ倉庫製の、PCB等が混入していた当時の米ぬか油を摂取した者で、現在、心身の症状を有し、治療その他の健康管理を継続的に要する場合には、油症患者とみなす」こととしているところ、この運用に当たっては、昭和四十三年十月に厚生省(当時)から関係都道府県に対し、カネミ倉庫株式会社が製造した米ぬか油について食品衛生法等に基づき販売停止等を行うよう指示したことを踏まえ、同年十二月三十一日までを「油症発生当時」としている。いずれにせよ、診断基準については、二の1及び2についてでお答えしたとおり、最新の知見や技術の進展等を踏まえ、必要な見直しについて適切に検討してまいりたい。

三の1について

 御指摘の「次世代被害者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、カネミ油症患者の認定については、御指摘の「油症一世」と「油症二世・三世」を区別することなく、診断基準に基づいた認定がなされてきたものと認識している。また、「台湾の台中県で起きた油症事件・・・では、二世認定について登録制度を設け」たことについて、その詳細は承知していないが、令和三年度から御指摘の「油症二世・三世」の健康状態を把握することを目的として、研究班によるカネミ油症の診断及び治療に関する調査研究を実施しているところである。

三の2について

 三の1についてでお答えしたとおり、令和三年度から御指摘の「油症二世・三世」の健康状態を把握することを目的として、研究班による調査研究を実施しているところであり、お尋ねについて現時点でお答えすることは困難である。

四の1について

 御指摘の「未認定患者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「認定基準の改定を行うべきではないか」とのお尋ねについて、診断基準については、二の1及び2についてでお答えしたとおり、最新の知見や技術の進展等を踏まえ、必要な見直しについて適切に検討してまいりたい。

五の1について

 御指摘の「(株)カネカ」については、昭和六十二年三月二十日に成立した和解において、「カネミ油症事件」について同社に責任がないことが確認されているため、政府として同社に御指摘の「三者協議」に参加するよう働きかけることは考えていない。

五の2について

 お尋ねについて、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成十五年法律第四十四号)に基づき設立された中間貯蔵・環境安全事業株式会社が整備したポリ塩化ビフェニル廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「特別措置法」という。)第二条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物をいう。)(以下「PCB廃棄物」という。)の処理施設については、令和五年十一月時点で、北九州事業所、豊田事業所、東京事業所、大阪事業所及び北海道事業所が稼働している。また、PCB廃棄物の処理については、引き続き、特別措置法第六条に基づき定められたポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画(令和四年五月三十一日閣議決定)に基づき、確実かつ適正な処分に取り組んでまいりたい。
 さらに、お尋ねの「アスファルトの丘」の意味するところが必ずしも明らかではないが、東播磨港高砂地区高砂西岸壁に面する港の北側に位置する広さ約五ヘクタール、高さ約五メートルのアスファルトで覆われた人工の丘については、兵庫県高砂市により、昭和五十二年度以降、毎年二回周辺の環境調査が行われており、令和三年度までの地下水や大気等のポリ塩化ビフェニル濃度の調査結果は、いずれも定量下限値未満であったと承知している。

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