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昭和二十五年四月十三日提出
質問第一二八号

 陸運行政の民主化の徹底に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十五年四月十三日

提出者  滿尾君亮

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




陸運行政の民主化の徹底に関する再質問主意書


一 わがトラツク事業については、輸送需要者側の要因として、わが国民の尺度である中小企業を最も重要な基盤とする経済機構、その商慣習と取引單位等を考慮し、又事業経営者側の要因として、サービス提供を本質とする業態であること、特殊な労務事情の存すること、ほとんど消耗品にも等しい車両とばく大な燃料資材の経済に依存していること、並びに経営は握の容易さ等を考量するとき、その経営形態は、現行に較べて小規模であることを適当とせぬか、政府の所見如何。
  右の原則的見地に立つて免許基準を適用することにより、新規に免許申請をなさんとする者の起業の企画を容易ならしめるとともに、戰時中以来の統合体で理由のあるもの(必ずしも統合体の全部を指称せず。)については、企業細分化をこの際積極的に認めることとし、わがトラツク事業を国民経済の実態に真に合致せしめるように、再編成する意思はないかどうか。
二 政府のトラツク事業育成に関する従来の方針は、ひたすらに現状の秩序維持にきゆうきゆうたる有様に墮している嫌がある。その結果はかえつて当業者をぜい弱化し公正な競争をも恐るるに至らしめ、今や国民経済の利益を著しく害するに至つたと思う。
  今後政府は、トラツク事業の運営に関する許認可事項(例えば増車、減車、営業所の設置を届出制にする等)を能う限り自制整理し、当業者をして経営上の自主性を十二分に発揮せしめることにしてはどうか。
三 トラツク事業の健全な発達のために、特にその経営的自主性を活用するためには、経営上の核心をなす運賃制度の完全な運用にまたねばならぬが、従来の経過に徴すれば、トラツク事業の運賃制度の運用が、種々の外部的制約によつて、必要以上に固定化した嫌がある。
  よつて政府は、トラツク運賃に関する審議機関を常設し、トラツク運賃の敏活適正な運用を期する意思はないかどうか。
四 現行免許基準第一号にいう免許の必要性、合理性、緊急性の三者は、いずれの免許にも不可欠の属性であるかどうか。特に免許の緊急性とは、いかなる理論的根拠に基くものであるか。
五 免許基準において、輸送供給力と輸送需要とが均衡すべきことをいつているのは、両者が物理的に均衡することを意味するものであるかどうか。
  輸送事業が他の産業に対して有する基礎的、先行性にかんがみ、前項にいう輸送力の均衡とは、常に若干の輸送供給力の超過している状態を指称するものではないかどうか。
六 自動車運送事業に対する免許申請が、広く国民一般に開放せられている基本的権利であることと、右申請に関連して免許基準が、右国民の権利に実質的に影響を持つことを思えば、道路運送法第十二條が、免許基準に関しこれが決定を全く包括的に主務大臣に委任していることは、立法論的に見てはなはだ不穏当であり、又これを告示の形式で発表していることは不適切であると思う。従つて政府は、免許基準に関し改めて立法事項としてこれが改正案を今期国会に提出する意思はないかどうか。
七 民間から免許申請の如き経済事案に対する申請に関し、その処置が官庁事務の都合によつて著しく遅延した場合、一定日時を経過したものについては、申請通りの行政処分があつたものとみなす立法を準備する意思はないか。
八 道路運送法の真の目的は、わが国の自動車の各分野が、それぞれの均勢を保ちつつ総合的に発達することを指すものであり、同法の文理が明示する「道路運送に関する秩序の確立及び事業の健全な発達並びに車両の整備及び使用の適正化」の三者は、前記の総合的目的を達成するための過程と見るべきものと思うが、政府の所見如何。
九 わが道路運送の行政機構の末端においては、道路運送法第一條に、「事業の発達」とのみうたい、他の分野には言及していないが故に、同法の目的をいわゆる事業(営業者)の発達にのみ著しく偏向するものと解し、その他の関係的考慮を無視する傾向をしばしば見受けるが、政府は至急同條の目的を極めて平明率直に規定し、今後何人をもつてするも誤解する余地のないように改正する意思はないかどうか。
十 自動車の各分野の相互的関係において、運送秩序の確立が要請せられることは、まことに尤もな次第であるが、反面右は現状の勢力関係の均衡(秩序)を観念的に固定化することなく、いやしくも道路運送法に認めらるる適性のあるものに対しては、適当に門戸開放、機会均等等のチヤンスを與えつつなされねばならぬと思う。
  たとえば大型車を用いる一般貸切のトラツク事業においても、政府は一面において運送秩序を確立せんとする直接的努力をなすとともに、他面においては秩序を乱す行為の発生原因を究めて、これに正当な事業形態を與えるべく指導育成し、もつて禍根を抜本的にせん除するの経世的見地に立つ考えはないかどうか。

 右質問する。





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