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昭和二十五年七月二十四日提出質問第四三号
日本人の海外渡航制限に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和二十五年七月二十四日
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
日本人の海外渡航制限に関する質問主意書
日本人が海外に渡航するといえば、米英、いわゆる西欧民主主義国とかいう国々にきめているが、外国といえば、米英だけではない。ソ連、中共等もあるにもかかわらず、どうして占領下の渡航は米英国家群だけにきめているのか。引揚者が帰つて来た数及び未引揚者を帰せといつてソ連、中共に陳情している点よりみて、日本の先人達は、その国柄、地型、人種、風俗、及び政治経済の結びつきよりみて、隣邦ソ連、中共にこそ近親感を持ち、それらの国の実態を知り、経済的な結びつきを望み、日本の国富を増そうとしている人々が多いのではないか。占領下の日本人が、どうしてソ連、中共にゆく人々が少くて、米英特にアメリカにのみ渡航する人々が多いのか。ソ連、中共が渡航を許さないのか。許さないとすれば、それらの国々が日本人渡航を禁止している国内事情、法的根拠を明らかにし、日本人海外渡航についての日本政府の権限、許可、不許可の基準、占領軍との関係並びにソ連、中共への渡航出願者を明らかにし、不許可にした機関と理由と年月日とを明答されたい。更にこのような状態がいつまで続き(西欧民主主義国には行けるが、ソ連圈には渡航できぬ不可解な処置)日本国の政体を日本人が東西いずれの国とも自由に交わり、その長短をとり入れて、日本国の政体を日本人自身において決定できるようにすべきである。一国のみの文化や彈圧に偏しない公平なる下準備は占領下ではできないものか。できないとすれば、そのままで吉田政府は満足なのか。満足でないとすれば、その対策を明らかにされたい。
右質問する。