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昭和三十三年十二月十六日提出
質問第一号

 政府の請願尊重に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十三年十二月十六日

提出者  (注)(注)市子

          衆議院議長 加(注)鐐五(注) 殿




政府の請願尊重に関する質問主意書


 検察庁は、告訴事件に対してはなはだ誠意に乏しく、ろくに取調べもせずに不起訴処分に付していることをしばしば耳にしている。岐阜県養老郡一之瀬村首(注)雄平氏が、シグマ商事株式会社元社長深瀬一之、同社元取締役井上信、同社元仕入課長長井雄の三氏を業務上横領、特別背任罪として告訴した事件に対して、東京地方検察庁小松不二雄検事はなんの取調べもせず、首(注)氏の同社への債権を被告訴人に弁償させるからという理由で告訴の取下げを懇請した。首(注)氏は小松検事の懇請を受入れて取り下げたが、同検事は、少しも約束を守らず、それきりにしているとのことである。
 首(注)雄平氏は、この検察庁の背信と、でたらめとに憤慨し、第二十六回国会、衆議院議長宛に、前記の事件を例として「不起訴処分に関する請願」を提出した。しかるに、昭和三十二年五月十八日、衆議院法務委員会において法務省松(注)勇雄政務次官は「被告訴人その他関係者を数回にわたつて取調べた結果、犯罪を構成するにたる証拠がないので不起訴処分にした。」と答弁し、また法務省の請願処理経過報告には「検察官が十分な捜査をとげ、それによつて収集した証拠に基き、適正に不起訴処分とした。」と説明し、本件を例として検察行政刷新要求の理由なきことを述べている。
 しかし、本件の被告訴人の一人である深瀬一之氏の言によれば、法務省の答弁や説明は、事実とまつたく相反している。しかし元来、国民の請願権は基本的な民主的権利であり、さらに憲法や法律で強く保障されている。ことに国会における請願はこの基本的のものであるから、当局は誠実をもつて処理する義務があると確信する。もし深瀬一之氏の言のごとく法務省が事実を曲げて説明し、あるいは虚偽の報告をしたのであれば、これは裁判における偽証に該当するばかりでなく、国会を侮辱し、民主主義をじゆうりんするものである。また法務省の説明や報告が正しいものであれば、具体的事実に基き、深瀬氏の言に対する反証をあげ、国民の請願権を尊重していることの証拠だてをすべきものであると思う。以上の事実と理由に基き、次の点について政府の見解を伺いたい。

一 東京地方検察庁の小松不二雄検事が、被告訴人その他関係者を数回にわたつて取調べたうんぬんという法務政務次官松(注)勇雄氏の答弁は、被告訴人の一人たる深瀬一之氏の「被告訴人に対する特別背任、業務上横領に関する告訴事件について検事の取調べはもちろん、呼出しについても一回も受けたことはない。」という言に照らすとき、深瀬氏を一回も呼び出さず、一回も取調べなかつたのが事実であるから、虚偽の内容の答弁をしたことになる。これは国会を軽視し、かつ侮辱したことになると思われるが、どうか。
二 国会における請願は尊重されなければならない。従つて請願に対する政府の答弁及び報告は、親切かつ正確でなければならないと思うが、本件に関する法務当局及び松(注)勇雄法務政務次官の答弁及び報告は、本件の担当検事より報告を求め、それに基いてなされた答弁であつたかどうか。
三 松(注)勇雄法務政務次官の答弁が事実に反し、虚偽であることが明らかとなつた場合、これに対する政府の処置はどうか。
四 もし被告訴人深瀬一之氏の言が事実と相反しているとすれば、その反証をあげて示されたい。
  反証の挙示が不可能であればその理由。

 右質問する。





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