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答弁本文情報

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昭和三十三年十二月二十六日受領
答弁第一号
(質問の 一)

  内閣衆質三一第一号
    昭和三十三年十二月二十六日
内閣総理大臣 岸 信介

         衆議院議長 加(注)鐐五(注) 殿

衆議院議員(注)(注)市子君提出政府の請願尊重に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)(注)市子君提出政府の請願尊重に関する質問に対する答弁書



 標記の件は、深瀬一之氏外二名に係る特別背任事件の不起訴処分についての首(注)雄平氏の請願に関するものである。
 右請願の要旨は、請願者は昭和三十年六月特別背任等で深瀬一之外二名を警視庁に告訴し、東京地検において取り調べたが、検事の懇請に応じて請願者は告訴を取り下げ、該告訴事件は不起訴処分になつた。右の処分は不当であり、今日の検事の自由裁量権限は余りにも大きいから、本件告訴事件等を参考資料として検察制度を改善されたいというにあつた。
 これに対し昭和三十二年五月十八日第二十六国会衆議院法務委員会において法務政務次官松平勇雄氏は大要次のごとき答弁をなした。すなわち、「本件告訴事実の概要は、被告訴人深瀬一之は当時シグマ商事株式会社の代表取締役であり、同井上信は同社の取締役、同長井雄は同社の業務課長であつたが、共謀の上、同会社を害せんことを図り、任務にそむき、昭和二十五年一月末ごろより同年七月末ごろに至る間に同社所有商品である数百万円分の会社財産を大阪市所在の文房具卸商福井商店及び東京都中央区日本橋小伝馬町所在文房具商東京福井商店等の利益のために納入し、同会社に対して財産上の損害を加えたものであるというにあり、右告訴は、警視庁捜査二課において捜査の上昭和三十一年三月二十八日東京地検において受理したが、同地検において告訴人、被告訴人及びその他関係者を数回にわたり取り調べた結果、特別背任罪その他犯罪を構成することを認めるにたる証拠がないので昭和三十一年六月十八日犯罪の嫌疑なしとして不起訴処分に付した。なお、告訴人は同年六月八日本件告訴を取り消しており、右不起訴処分に対しては、検察審査の申立及び上級検察庁に対する不服申立のいずれをもなしていない。右のとおりであつて、請願者の告訴にかかる事件は検察官において十分な捜査を遂げ、それによつて収集された証拠に基いて適正に不起訴処分がなされたものである。また、検察官に公訴を維持するにたる証拠の有無の判断権の存することは、現行刑事訴訟の構造上当然の事理に属する。したがつて本件を資料としていまただちに検察制度を再検討する必要はないものと思料する。」というのであつた。
 本件質問の趣意は、右松平政務次官の答弁の内容には、虚偽の点があるのではないかとして、次の諸点について政府の見解を求めているが、右の答弁の内容にはなんら虚偽の点は存しない。
しかして、本件質問主意書掲記の一から四までについては、次のとおりである。

一 被告訴人の一人である深瀬一之氏を検察庁において取り調べたことは、記録上は認められないが、その余の被告訴人両名、告訴人及びその他の参考人を検察官において取り調べたことは一件記録によつて明らかである。なお、深瀬氏については警視庁捜査二課において詳細な取調をしており、さらに同氏自身が事のてん末を具体的かつ詳細にしたためた上申書も記録に添附されているので、検察官が本件告訴事件の処理にあたつて同氏の供述内容をも十分に勘案して判断を下したことを推断するに十分である。したがつて、松平法務政務次官が虚偽の内容の答弁をしたことにはならない。

二 国会における請願が尊重されなければならないことは申すまでもなく、本件についての政府答弁については、法務事務当局において東京地検より一件記録を取り寄せ、その内容を精査検討しさらに本件の決裁官等からも事情を聴取したうえ、それに基いて答弁がなされたものである。もつとも本件告訴事件の主任検察官である小松不二雄氏は昭和三十一年十月三十一日附で退職したので、本件松平法務政務次官の答弁にあたつては報告を求めることができなかつた。

三 前述のとおり、松平法務政務次官は虚偽の答弁をした事実はないのであるから右答弁に対してなんら責任を問うべき筋合ではない。

四 被告訴人深瀬一之氏の言が事実と相反しているとは認め難い。

 右答弁する。




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