衆議院

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昭和三十五年七月十一日提出
質問第一八号

 六・一五事件における警察官の職権乱用に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十五年七月十一日

提出者  (注)俣(注)三

          衆議院議長 (注)(注)一(注) 殿




六・一五事件における警察官の職権乱用に関する質問主意書


一 警察庁発行「六・一五国会突入を中心として」なる文書発送先並びにその発送部数を示されたい。
二 右文書は、東京都警察の事項に関するものであるが、警察庁としては、いかなる立場からこれを発行したか。
三 右文書の内容は、いかなる方法で調査されたか。
四 右文書は、警察庁長官官房総務課長浜中英二名儀により作成されているが、警察庁長官において責任をおうものであるか。
五 右文書中には、警察官の教授団に対する暴行傷害、三宅坂における青山学院講師に対する暴行傷害、報道陣に対する暴行傷害等については、一言も触れず、また右翼の新劇人会議やキリスト教信者等、学生以外のデモ隊に対する暴行傷害については一言も触れていないのはいかなる理由であるか。
六 デモ隊に対する右翼の襲撃と思われるものを、「双方の乱闘」と記載しているのは、いかなる理由であるか。双方の乱闘であれば、右翼だけを逮捕したのはいかなる理由か。
七 警棒の使用については、十五日午後七時五十四分以後は「警棒を収め」の命令を出したとの警視庁第五方面本部長伊藤秀宏氏の言明(週刊現代七月十日記載三十二頁)、十六日一時すぎの学生、教授団に対する実力行使に際し、警棒使用は許可していないとの警視庁赤木恭二広報課長の言明(朝日ジャーナル七月十日号七十三頁)等に含まれる事実についても調査されたか。
八 右文書の発行については国家公安委員会議にかけたか。
九 関係警察官について
  次の各項目について回答されたい。
 (一) 六月十五日午後五時すぎ参議院南通用門附近で発生した右翼の襲撃の際
  (1) 現場にいた制服(私服がいたとすればこれも含む)の警官の人員数、所属並びに指揮者の等級氏名
  (2) 右制止のためおもむいた警官隊の人員数、所属、指揮官の官等級氏名
  (3) 右暴行時国会構内で右暴行場所に面して勤務していた警官隊の人員数、所属、指揮官の官等級氏名
 (二) 同日午後七時すぎ、衆議院南通用門附近及び構内で発生した衝突の際、現場に居た警官隊の部隊名所属、人員数、指揮者(総指揮者より末端の指揮者まで)の官等級氏名
 (三) 十六日午前一時すぎ、正門附近の学生その他に対し、また同時刻ごろ、南通用門と首相官邸との間の道路上に位置していた各大学研究所の教授、研究者グループに対し実力行為をした警官隊の所属部隊名、指揮者、人員数
 (四) 同日午前一時三十分ごろ、参議院会館内に入り込み、学生その他に対し実力行使又は逮捕行為をした警官隊の所属部隊名、指揮者、人員数
 (五) 同日午前二時十五分ごろ、三宅坂において青山学院講師松山正男氏に対して行なつた暴行につき関係した警官所属、人員数、指揮者の官等級氏名
 (六) 報道人員が暴行を受けたといわれる次の各事件に関係した警官の所属、官等級氏名
  (1) 十五日午後五時すぎ右翼の暴行に関して起つた騒ぎを取材しようとしたラジオ東京テレビのカメラマンに対し「写すな、帰れ」とどなり、アナウンサーのマイクを取りあげようとした警察官同時刻ごろ、ラジオ東京報道員の一人に対し警棒で五針縫う負傷を与えた警官(以上は朝日ジャーナル七月三日号七頁による)
  (2) 同日午後十時すぎの学生隊に対する第二回目の実力行使に際し、ラジオ東京の神岡報道部員及び北村美憲部員に対し警棒等で暴行を加えた警察官(前同誌十三頁及び”ジャーナリスト”三十八号千九百六十年六月二十五日附北村美憲氏の手記による)
  (3) 十六日午前一時すぎ国会南門前附近のラジオ関東FMカーで放送の際に従事していた同社島碩彌アナウンサー及び窪田アナウンサー等に対し暴行を加え、島氏に傷害を与えた警察官(週刊朝日七月三日号三十頁及びサンデー毎日七月三日号三十六頁記載の記事による)その他報道人員に対する暴行行為をなした警察官がありとすれば、その警察官
十 警棒の使用について
 (一) 警察官職務執行法第七条にいう「兇悪な罪」として、警察官けん銃使用及び取扱規範第二条第三項では「殺人・強盗・放火・ごうかん及び傷害の罪並びに警察庁長官の指定するその他の罪」と規定しているが、右にいうその他の罪とは何か。
 (二) 警視庁第五方面本部長伊藤秀宏名による「私が命令を下した」との表題の週刊現代(七月十日号)に登載された文章又は所見の公表は警視庁警察職員服務規程第三十二条による警視庁当局の許可を経たものであるか。
 (三) 右文章中『午後七時五十四分には、「警棒を収め」の命令を出した』との事実はあるか。
 (四) 右文章中”警棒は肩の高さ以上に振り上げてはならない”と記載があるが、右についての規定を示されたい。
 (五) 右文章中「報道陣に対する暴行は私の指揮下の者がやつたことはない。国会構内から部隊は出ていないのである」とあるのは事実か。また「しかし、その後正門側で車の焼き打ちをしたデモ隊をチャペルセンター方向と首相官邸方向へ追い払つた機動隊があつたことが判明した」とある機動隊名並びに右は第五方面本部長の指揮下にあつたものかどうかについて回答されたい。
 (六) 朝日ジャーナル(七月十日号)七十三頁所載赤木恭二名による文章は警視庁当局の前掲服務規定による許可を得たものであるか。
 (七) 右文章中、十六日午前一時すぎの事件につき「なお、この際警棒使用は許可していないので」とあるのは事実か。事実とすれば許可しないことについては誰が何時何分にそのような命令を下したのか。
 (八) 右文章に続いて「もし使用した者があつたとすれば警察官が、、、、使用したものと思われるが、その方法など目下詳細について調査中で」とあるが、右調査の結果はどうであつたか。
 (九) 朝日ジャーナル(七月三日号)十三頁に十五日二十二時五分衆院南通用門構内での状況として「第二次乱闘はこうして初まつた。すでに前線の警官は指揮官の指揮に従おうとしない状態になつた。指揮者は「警棒を収めろ」と命令し、伝令は「慎重にという本部指示です」と叫んで回わつたうんぬん」との記載があるが、このような事実の有無。
 (十) 警視庁警察官警棒等使用及び取扱規定第九条の規定に基づく「警棒等を第七条により使用した時又は警棒等の使用によつて人に傷害を与えたことに該当した場合」状況報告は警視庁当局に報告ずみであるか、その内容の概要を示されたい。
 (十一) 右規定第三条第三号の特殊警棒(材質は金属とする)は使用されているか。その購入又は備付けの月日、並びに数量を示されたい。また六月十五日右特殊警棒を使用したかどうかを示されたい。
十一 第九項の条項に該当する事件に関し、警視庁当局は調査をされたか。また右に関し、関係警察官に告発懲戒等の手続をとられたか。また将来かかる手段をとられる意思があるか。
十二(一) 朝日ジャーナル(七月三日号)七十六頁所載の赤木恭二名による文章は、前掲服務規程による許可を得たものであるか。
 (二) 右文章中「警察はこの維新行動隊については私服数人をつけて警戒している」とあるが、右私服の所属並びに人員数及びいつどこからどこまで、いかなる方法で(徒歩又は車等)警戒していたか。
 (三) 朝日ジャーナル(七月三日号)六頁に「十七時十九分、丸の内警察署から八十三人の警官がトラックで現場へ到着した。この八十三人の警官隊は十一日ごろから右翼が騒ぐという情報に基づいて丸の内署に待機していたものである」との記載があるが、右は事実か。また当日の結果から見るとデモ隊に多大な被害が出ているが、八十三名の警官隊の現場到着ははなはだしく遅かつたのではないか。
 (四) 当日右翼の警戒に当つていたという私服は、彼等が樫のこん棒を携帯していたことに気づかなかつたか。
 (五) 右右翼を現場で逮捕せず任意同行により連行した事実があるか。社会党議員から「警察で逮捕しないならわれわれが逮捕する」との発言があつた事実があるか。あるとすればその事情。
 (六) 朝日ジャーナル(七月三日号)八頁所載の「右翼団を徒歩で麹町署まで連行する途中警官たちは連行途中の男に買い物を許し、公衆電話の使用を二回も許しさらに警察電話の使用を一回許可したという」とあるが、右事実の有無及び理由。
 (七) 同誌七頁に『この騒ぎを取材しようとしたラジオ東京テレビのカメラマンは警官から「写すな、帰れ」とどなられ、アナウンサーはマイクを取りあげられかけた。ラジオ東京の報道員が二人負傷した。一人は五針縫うケガで警棒でやられたものである』とあるが事実調査したか。
十三 負傷者の取扱いについて
 (一) 朝日ジャーナル(七月三日号)十二頁中、二十一時四十五分から二十三時五十分までの間の記述中「このころ負傷学生の重傷者は、新議員面会所の地下面会所に投げ出されていた。その入口には警官隊が頑張つていて、報道陣も、国会議員も、学生の身を気づかつてかけつけた大学医学関係の看護班もガンとして入れなかつた」とあり、また「この部屋の重患は二十二時近くから救急車に収容されだしたが、大部分は十六日零時まで放置されていた」との記載があるが、かかる事実の有無。
 (二) 右新議員面会所の地下室並びに一階の使用許可は何人からいつ受けたか、また国会議員を地下面会所に入れなかつたとすればその根拠規定を示されたい。また報道陣や看護班を入れなかつた理由を示されたい。
十四 議事堂構内における警察官の行動について
 (一) 国会法第百十五条衆議院規則第二百八条による衆議院議長の内閣に対する警察官派遣出(六月十五日分)の手続きは議長からいついかなる手続きでなされたか。
 (二) 議長から警棒を武器として使用することについてなんらかの指揮があつたか。
 (三) 議事堂構内における警察官の放水、催涙弾の使用につき議長の許可があつたか。

 右質問する。



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