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昭和四十一年五月二十六日提出
質問第一一号

 清掃法施行規則に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十一年五月二十六日

提出者  中村時雄

          衆議院議長 山口喜久一郎 殿




清掃法施行規則に関する質問主意書


一 昭和四十年十二月二十四日、厚生省令第五三号によつて改正された清掃法施行規則は浄化槽の維持管理の基準を第十条によつて定めたが、その内容は公害対策に逆行する改正点が多く佐藤内閣の重点施策も厚生省のおひざもとから矛盾を暴露する結果となつている。
  いかなる主旨の改正か次の各質問項目ごとに回答されたい。
二 新しく地下滲透処理を認めることについて
  清掃法施行規則第十条一項六号によつて新しく地下滲透方式が認められた今までは法律による禁止事項も許容事項もなかつたのであるから明確化されたわけである。条文の内容をそのままに理解すれば「浄化槽放流水は消毒を必要とせず目づまりをしないように注意して滲透させればよい」ということである。
  地下水汚染が重大なる社会問題に発展しようとしている現在なにゆえの改正であるか。
三 消毒を必要としないことについて
  清掃法施行規則第十条一項十一号によつてわざわざ地下滲透方式によつて処分される放流水は消毒を必要としないと決められている。
  東村山団地のチフス騒ぎを例にするまでもなく地下水による病原菌の伝ぱは少なくとも公共の福祉に離反する社会の常識である。
  なにゆえこの常識をやぶつてまで消毒の必要はないと明示する必要があつたのか。
四 今まで地下滲透処理を絶対に認めなかつた特定行政庁の取り扱いについて
  千葉県、福岡県、横浜市等は浄化槽放流水の滲透処理はいかなる地域においても認めていなかつた。
  もし放流水のない地帯に浄化槽を設置する希望者があつた場合は放流水全部を貯溜させてバキューム車で月何回もくみ取らせるようなことを強制しているが今後はどのように取り扱われるのか。今までの地下滲透禁止を行なつている行政法の根拠は何であつたか。
五 山間へき地等の放流水質の緩和について
  清掃法施行規則第十条一項十二号によつて「山間へき地においては生物化学的酸素要求量は一二〇PPM以下としてもよい」とする特例が設けられた。
  (これは水洗便所排水を単に二倍に薄める程度の悪い水質とのこと。)
  一般に山間へき地は環境衛生施設が水質汚染に対して無防備に近い場合が多く、また観光、水産、レクリエーション等意外に不特定者の河水利用度の高いのもまた山間へき地の特徴である。従つて公害対策の面より見ると山間へき地になるほど浄化槽からの放流水質は良質のものであつてほしいことが常識と思われるのに特例まで設けて悪い水質の放流水でもよいと規定した考え方の根拠はいずれにあるのか。
六 一般河川への放流水質の緩和について
  上記山間へき地の水域以外の水域という非常に広い地域を対象としてこれまた「生物化学的酸素要求量は九〇PPM以下としてもよい」とされている。
  現在経済企画庁を中心に進められている公害対策行政の一環としての河川放流水質はその目標を三〇PPM以下に漸次規制を強化する方向で進められていると理解しているのになにゆえ浄化槽放流水のみがその目標方向と逆の進み方をしなければならないのか。
七 改正前の水質規制が四時間酸素要求量一五PPM〜二五PPM以内というほど規制が厳密であつた理由は浄化槽のごとき小規模の汚水処理施設は常時の管理が不十分であるために薬液消毒等十分に行ないえない状況にある。従つて、水質規制を十分厳格に定める必要があつたと理解しているが、このような必要性がなくなるほど技術上の発展があつたのであるのか。
八 地下滲透の場合の水質について
  地下水源は、河川、海と異なつて水のかたまりの移動、拡散自浄作用が非常に緩慢である。従つて地下汚染は直ちに他地域に影響をおよぼさないが一度汚染すると再び清浄な水とすることはまず困難な水源であると理解している。
  従つて地下汚染に関する限り現在の利用状況(井戸との距離)等でその滲透の可否をきめるべきものでなく、その許容される滲透可能な水は将来にわたつて地下汚染の心配のない最も水質規制の厳密な水質を前提として許容することが公害対策上の絶対条件と思われる。にもかかわらず清掃法改正第十条一項十三号によれば、「地下滲透方式によつて処分される放流水の浮游物質量は………」とあつて水質の定めがない。
  これはいかなる考えによるものであるのか。
九 一般に建築基準法で定められている正規の浄化槽の放流水質が改正前の清掃法による放流水質規制を満足するものが少ない現状であると報道機関は伝えている。ましてや当該改正水質生物化学的酸素要求量三〇PPMに合格するものは少ないと思われるが事実か。
十 以上要するに浄化槽行政は、浄化槽設置目的と処理技術と住民の要望との板ばさみに立つて、中央地方を通じて非常に大きな混乱状態にあるものと考えられるが、公害対策の本すじに立脚して基本的に処理技術を再検討する必要はないか、浄化槽の基本的な技術理論はこれで十分と考えているか、対策あれば明示せられたい。

 右質問する。





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