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答弁本文情報

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昭和四十一年六月十日受領
答弁第一一号
(質問の 一一)

  内閣衆質五一第一一号
    昭和四十一年六月十日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 山口喜久一郎 殿

衆議院議員中村時雄君提出清掃法施行規則に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中村時雄君提出清掃法施行規則に関する質問に対する答弁書



一、二 屎尿浄化槽流出水を地下滲透により処理する方式は、臭気の発散、側溝、河川の汚濁等を惹起しない方法として、欧米各国においても広く実用化されている。ただ、この場合には、地下水の汚染を完全に防止する必要のあることはいうまでもなく、その方法としては、汚水を屎尿浄化槽の使用人数に応じて一定の広さの地中に、トレンチ配管によつて均等に散水し、滲透させ、土壌本来の浄化機能を活用して処理する方式を採用する予定である。単なる単純滲透又は滲透枡による滲透は、土壌の目づまり等をきたすおそれもあるので、地下水保全のため許可しない方針である。また地下水の高さ、井戸との距離等を考慮し、十分な安全率を見込んで必要な制限を行なうこととしている。
  この処理方式については、過去三年間にわたり慎重な試験研究を行ない、その安全性が確認されているものであつて、御指摘のような地下水汚染のおそれはない。

三 水が相当の厚さの土壌層又は砂層を均等に滲透する場合には、水中に含まれる細菌類その他の微生物は、吸着、ろ過されることとなる。従つて、トレンチ方式により均等散水して滲透処理を行なう場合は、特に消毒の必要はない。

四 特殊な屎尿浄化槽の構造については、特定行政庁が、その採用の是非を決定することが認められているので、特定行政庁が地下滲透処理を行なう構造のものを認めない措置を講ずることは違法ではない。

五 河川等に対する放流水の水質について、環境衛生上の支障がない場合にあつては、生物化学的酸素要求量一二〇PPM以下であれば差し支えないことは、下水道法等においても認められているところである。清掃法施行規則の規定は、要するに環境衛生上支障がない場合の例示として外海、山間へき地等への放流をあげたものであつて、御指摘のような場所については、環境衛生上の支障がないという条件に該当しない場合が少なくないと思われる。

六 屎尿だけを単独処理する屎尿浄化槽にあつては、少なくとも現状においては、生物化学的酸素要求量三〇PPM以下の放流水を期待することは困難であるので、河川の汚濁防止対策等のためには、下水道、コミユニテイプラント等の整備の促進を図る方針である。

七 水質判定の指標としては、国際的にも生物化学的酸素要求量を代表的指標としているので、屎尿浄化槽の放流水の水質判定においてもこれを用いることとしたものである。
  規制の程度については、技術的、社会的な現状を考慮して、実効を期待しうる程度を定めたものである。

八 地下滲透による処理を行なう場合には、土壌の目づまりによつて滲透作用が妨げられ、その結果「水みち」を生じて地下水の汚染を生ぜしめる原因となるおそれがある。この土壌の目づまりは、浮遊物質量の多少によつて支配されるものであるので目下予定している方式によつて滲透処理を行なう場合には、その水質の規制は、浮遊物質量についての規制としたものである。

九 清掃法施行規則が生物化学的酸素要求量三〇PPM以下と規定したのは、水質汚濁防止のため特に配慮を必要とする区域においては、合併処理等により高度の処理能力を有する屎尿浄化槽が設置されることを前提としたものであつて、御指摘のとおり、便汚水を単独で処理する屎尿浄化槽については生物化学的酸素要求量三〇PPM以下の放流水を期待することは困難である。なお、屎尿浄化槽の機能は、その維持管理の適否に影響されるところが少なくないので、この面でも強力な指導を行なうこととしている。

一〇 目下、厚生、建設両省が協力して、建築基準法の政省令の改正を中心に技術上、行政上の根本的な対策を検討中である。

  右答弁する。




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