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昭和四十七年六月十六日提出
質問第一五号

 事前協議制度に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年六月十六日

提出者  西中 清

          衆議院議長 (注)田 中 殿




事前協議制度に関する質問主意書


一 去る四月十日の参議院予算委員会で(注)田外相は、「事前協議制の運用について再検討する」と述べているが、その意図は何か。この「再検討」は単にB52の出撃問題、KC135空中給油機の出動などの個々のケースの「運用基準」について、米側とにつめるだけなのか、それとも事前協議制度の全般を再検討し、交換公文や口頭了解をも改定する考えなのか。さらに、事前協議制について国民は深い関心をもつているだけに、「再検討」された結果は当然公表されるべきであると思うがどうか。
二 政府は、「戦闘作戦行動と密接不可分な場合には、事前協議の対象とする。」と述べているが、(イ)「戦闘作戦行動と密接不可分な場合」とは具体的にどのようなことを指すのか、(ロ)KC135によるB52の空中給油活動や岩国からのF4ファントムのダナン移駐は戦闘作戦行動と密接不可分な場合に該当すると思う。該当しないというならその理由を明らかにされたい。
三 政府はこれまで米軍の在日基地からの行動はすべて作戦命令を受けていない発進であつて、単なる移動であるから、事前協議の対象とならないという見解を示している。しかし、この立場をとるならば、在日米軍基地からの行動が、移動、補給活動という名目であれば、すべて事前協議の対象とはならないことになる。政府のかかる解釈は、事実上、米軍の無制限な行動を容認するものであつて、事前協議の存在する理由は全くないといわざるを得ないが、政府の事前協議の実際の効用をどう考えるか。
四 昭和四十四年三月十三日の参議院予算委員会で愛知外相は、「給油の場合も明らかに発進する飛行機が作戦のために飛び立つとき戦闘命令を受けて途中で給油する場合は事前協議の対象となる」旨の答弁をしている。事実問題としてB52は、ベトナム爆撃の途中でKC135によつて給油を受けており、このことは当然、愛知外相答弁からして事前協議の対象になる。しかるに、その後、政府は「KC135の空中給油は補給活動の一環であり、事前協議の対象にならない」と答弁している。
 (イ) これは愛知外相の答弁を変更したものと思うがどうか。変更したのであれば、その理由は何か。
 (ロ) ベトナム出撃に際し、往路の空中給油については「事前協議の対象としないと割り切つた」としたが、その割り切つた理由は何か。
五 戦闘作戦行動は、軍においても国においても最高の機密であるはずである。これにもかかわらず、最高機密事項を事前に日本政府に申し入れるようなことは軍事常識上あり得ない。すべての場合に、在日米軍基地からの「発進出撃」の時点では戦闘作戦命令はなかつたということでかたずけられる公算は大きい。だから、事前協議に関する交換公文は実際には何らの実効的な効果を期待することはできない。このことは、今日まで当然に協議すべき事態が再三あつたにもかかわらず、一度もその対象にしなかつたという事実が証明している。政府は、この制度が実際に有効であると考えているのなら、その具体的な理由を示されたい。
六 事前協議の方式として、昭和三十五年四月二十八日の安保特別委員会で岸総理は、「日本は常に総理であり、アメリカは大統領」と答弁している。しかし、昭和四十七年五月二十四日の外務委員会で(注)田外相は、「形はきまつていない」と答弁している。これは岸総理の答弁を変更したものと思うが、変更したのであれば、その理由は何か。
七 政府は次の点を明らかにされたい。
 (イ) 政府は、事前協議に対しては、国益を勘案したうえで態度を決定するということであるが、この場合の国益とは何か。
 (ロ) 去る五月十六日、内閣委員会で(注)田外相は、「ベトナム戦争への直接戦闘作戦の基地としない、直接戦闘行動は許さない」と述べているが、わが国の国益に反するからか。それとも、日米安保条約第六条の主旨に反するからか。
 (ハ) 在日米軍基地において、補給、軍隊の集結、移動、偵察、補修等の軍事行動をとつた場合、その基地が報復として攻撃されることはないと考えるか。
 (ニ) 国際法上、相手国には、在日米軍基地を報復として攻撃する根拠はあるのではないか。

 右質問する。





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