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昭和四十八年七月七日提出
質問第一二号

 朝鮮の統一に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十八年七月七日

提出者  赤松 勇

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




朝鮮の統一に関する質問主意書


 朝鮮の和平統一への胎動は、昭和四十七年七月の「平和統一に関する共同声明」に結実し、爾来、曲折を経ながらも民族の血を通じ合おうとする一年来の努力が、国際環境の進展と朝鮮半島内部での局面の展開により、いま明らかに新段階を迎えようとしている。
 分断された民族が、自主独立、民族自決の原則の上に立ち、主体的な努力による統一への具体的歩みは、朝鮮民族自身の選択にまかされるべきであるが、これに対する周辺諸国がとるべき態度は、平和的統一を可能ならしめるような国際的条件を生み出すべく努力することである。
 先の世界保健機関(WHO)第二十六回総会において、朝鮮民主主義人民共和国は、同機関への加盟を実現し、それを契機として六月二十三日には金日成首席の南北朝鮮統一に関する具体的新提案がなされるなど、朝鮮南北をめぐる情勢変化は、一段と速度が加わるに至つた。
 かかる局面を迎えるに当たり次の諸点に関し、改めて政府の見解を明示されたい。

一 朝鮮統一問題
 (1) 日本政府は急速に転回している情勢に直面し、また、長期間にわたる朝鮮に対する植民地支配により朝鮮人民の虐待・圧迫を続けてきた国として、今回の金日成首席の具体的新提案をどのようにうけとめているか。
 (2) 金日成首席の朝鮮統一提案による連邦方式は、朝鮮民族の悲願である統一方式を具体的に提示したものとして、日本政府は肯定的に評価するのか。
 (3) 日本政府は朝鮮民族統一の悲願に逆行するような政策をとるべきではなく、朝鮮内部での南北関係正常化の機運が表面化してきた以上、朝鮮民主主義人民共和国との関係を封じ込めたまま、南との関係のみに傾斜している外交姿勢は問い直されなければならないと考えるがどうか。
 (4) 日本政府は、朝鮮の分裂を固定化するような政策をとるべきでない。このためまず、「韓国政府が朝鮮にある唯一の合法政府である」という従来の政府の解釈を撤回すべきであると思うがどうか。
 (5) 政府が金日成首席の統一提案を具体的提案として評価するならば、日本政府は連邦国家形成の先決的前提となる朝鮮民主主義人民共和国を承認し、これと国交を樹立すべきであると思うがどうか。
 (6) それまでの暫定措置として朝鮮民主主義人民共和国に対し、外交特権が与えられた連絡事務所あるいは通商代表部を相互に設置すべき措置をとるべきであると思うがどうか。
 (7) 在日朝鮮人の法的地位並びに出入国(自由往来)、滞在等については、基本的人権として当然認めるべきであると思うがどうか。
二 国連における朝鮮問題
  国連総会においては朝鮮問題が討議されることは必至であるが、次の事項について政府はいかなる政策をとるか。
 (1) 朝鮮問題の討議のため、南北朝鮮両代表の招請に対して、日本政府は同時かつ無条件の原則での南北朝鮮両代表の出席に賛成か反対かのいずれの立場をとるか。
 (2) 朝鮮統一復興委員会は、朝鮮戦争の最中である一九五〇年十月七日第五回総会において設置されたもので「韓国政府を朝鮮における唯一の合法政府」という前提にもとついたものであり、明らかに朝鮮民主主義人民共和国の存在を無視したものである。しかるに今総会には南北朝鮮代表がそれぞれ平等の立場でオブザーバーとして参加することが予見されるが、この場合、朝鮮統一復興委員会の存在は不当であり朝鮮民主主義人民共和国にとつては容認できない存在である。
     よつて今総会において朝鮮統一復興委員会の解体が当然議題となることが予想されるが、日本政府は朝鮮統一復興委員会の解体決議案に対して賛成か反対かのいずれの立場をとるか。
 (3) いわゆる在韓国連軍の創設に際しては、そもそも安全保障理事会における表決手続に重大な疑義がもたれている。
     この軍隊の実体も国連軍即米国軍であることは周知の事実である。
     さらに休戦協定が調印されて以来、二十年を経ても、なお米軍が国連旗を降ろそうとしないのは不当であり、かつ、国連旗の濫用といわざるを得ない。米国が国連旗の下に朝鮮に対する干渉を隠蔽しようとする意図は、疑いの余地はない。
     また、この軍隊の存在は朝鮮問題の平和的解決を阻害しており、民族自決による、朝鮮統一を妨げている事実を看過することはできない。
     朝鮮南部に駐留する米国軍隊は、速やかに国連旗の使用を停止すべきであり、かつ、外国軍隊は南朝鮮から撤退し、朝鮮人民自身による統一の実現を期すべきである。
     よつて、今総会において国連旗の下に朝鮮南部に駐留している米国軍隊の撤退に関する決議案が提出された場合、日本政府はこれに賛成か反対かのいずれの立場をとるか。
  なお、これらの問題は九月に開催される国連総会において論議の焦点となることは明白であるので、仮定の問題という理由で回答を回避されないことを特に要望する。

 右質問する。





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