衆議院

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昭和四十八年七月十七日受領
答弁第一二号
(質問の 一二)

  内閣衆質七一第一二号
    昭和四十八年七月十七日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員赤松勇君提出朝鮮の統一に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤松勇君提出朝鮮の統一に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 今回金日成主席の提案した連邦国家としての「高麗連邦共和国」構想は朝鮮統一という究極の目標についての一つの考え方を示したものとして評価すべきであろう。但し、この問題に対する韓国側の態度を合わせ考えればその実現可能性は別問題であるように思われる。
 いずれにせよ政府としては今後南北の対話と協調が一層促進されることを期待するものである。

一の(2)について

 統一が朝鮮民族の悲願であることは政府としても十分に認識するところであるが、統一の方策という点からみると連邦方式という金日成提案は一つの考え方を示したものであり、それなりに評価できるが、しかし、韓国側は又別の構想を示している。いずれにせよ、いかなる方式で統一を実現するかは朝鮮民族自らが決すべき問題であると考える。
 かかる観点からみて、政府としては今後、南北の対話と協調が一層促進されることを期待するものである。

一の(3)について

 政府としては統一が朝鮮民族の悲願であることは十分に認識しているところであり、統一が実現することは、もとより喜ばしいことである。ただ、今回の南北双方の声明を比較してもなお統一の方策に関する双方の主張に隔たりがある等事態は極めて流動的である。かかる状況下で、我が国が朝鮮半島政策の基調を急速に転換することは微妙な南北両朝鮮間の関係に相当の影響を及ぼすものと考えねばならない。従つて、北朝鮮との接触については、今後の南北の対話の進捗振り等を十分に勘案しつつ、漸進的にこれを広げてまいる所存である。
 なお、政府のかかる立場が、北朝鮮を敵視し、ないしは封じ込めることを意味するものでないことはもちろんである。

一の(4)について

 政府としては、朝鮮半島の統一が最も望ましいとの認識の下に、最近における南北間の自主的統一に向けての話し合いの進捗振りを暖かく見守つてきているところであり、朝鮮半島の分裂を固定化する意図もないし、かかる政策もとつていない。
 また、日韓基本関係条約第三条は、韓国政府が国連決議第一九五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることを確認しているが、政府はこのことが朝鮮半島の分裂を固定化するものとは考えていない。
 (なお、国連決議一九五(III)の内容は次のとおりである。
 一九四八年十二月十二日国際連合総会がその第三回会期において採択した決議一九五(III)

   朝鮮の独立問題
総会は、

  (中略)

 臨時委員会(国連朝鮮臨時委員会)の報告に述べられた困難のため、一九四七年十一月十四日の決議に定める目的がまだ完全に達成されていないという事実、特に朝鮮の統一がまだ成就されていないという事実に留意し、
1 臨時委員会の報告の結論を承認し、
2 臨時委員会が観察し、及び協議することができたところの、全朝鮮の人民の大多数が居住している朝鮮の部分に対して有効な支配及び管轄権を及ぼしている合法的な政府(大韓民国政府)が樹立されたこと、この政府が、朝鮮のその部分の選挙民の自由意思の有効な表明であり、かつ、臨時委員会が観察した選挙に基づくものであること並びにこの政府が朝鮮における唯一のこの種の政府であることを宣言し、
3 (以下略)  )

一の(5)について

 朝鮮半島の情勢は我が国にとつて大きなかかわりをもつものであり、我が国の朝鮮半島政策の基調の急速な転換は微妙な南北両朝鮮間の関係に相当の影響を及ぼすと考えねばならない。
 今回発表された朴声明と金日成演説を比較しても双方の主張に隔たりがある等事態は極めて流動的であるので、このような段階で北朝鮮承認を云々することは時期尚早である。

一の(6)について

 現在のところ御指摘のような連絡事務所ないしは通商代表部を設置するというのは時期尚早であると考える。

一の(7)について

 戦前から引き続き我が国に居住し、我が国社会に定着している者については、その実情に即し在留管理を適正ならしめるように絶えず努力しており、今後も努力する所存である。
 在日朝鮮人の北朝鮮向け再入国許可については、現在北朝鮮との間には国交がないので、国交関係のある国と同じようにはできないが、いわゆる人道ケースを始め、学術、文化、スポーツ又は経済の交流を目的とするものは具体的案件ごとに個別審査のうえ、随時再入国を許可することとしており、その数も昨年来飛躍的に増大している。

二の(1)について

 政府としては、今秋の国連総会で朝鮮問題審議が行われる場合には、直接の当事者である南北両鮮が審議に参加することが適当であると考えている。招請をどのような形で実現するかは、国連自身が決定する問題であり、政府としては関係諸国とも協議したいと考えているが、韓国は従来から審議に参加しており、また北朝鮮は今回国連本部に常駐オブザーバー事務所の設置を認められたので、南北両鮮の審議参加には格別の問題は生じないものと考えている。

二の(2)について

 国連朝鮮統一復興委員会(UNCURK)は、一九五〇年の総会決議三七六によつて設置を決定されたものであるが、同委員会は一九四七年の総会決議一一二によつて設置された国連臨時朝鮮委員会及び一九四八年その任務を継続した朝鮮委員会(総会決議一九五にて設置)の任務を引継いだものであり、決議三七六は前文で決議一九五を引用しているにすぎない。なお、いずれにしても決議一九五は韓国政府が「朝鮮臨時委員会が観察し、協議することができたところの、全朝鮮の人民の大多数が居住している朝鮮の部分に対して有効な支配及び管轄権を及ぼしている合法的な政府である」ことを述べているのみで、朝鮮半島のそれ以外の部分(北朝鮮部分)については何ら触れていない。
 UNCURKは朝鮮半島における国連の目的に従つて活動しているものであり、政府としては国連の目的と活動を支持するとの基本的立場から、本問題に対処してきた次第であるが、今秋の国連総会が、最近の韓国政府の新政策にかんがみ、UNCURKの活動を再検討するというのであれば、我が方としても新情勢に照らして、国連の目的達成のために最良の途を検討することに協力する用意がある

二の(3)について

 在韓国連軍の派遣を定めた安保理決議八三、八四は、安保理の正当な手続に従つて合法的に成立したものである。その成立後一貫して一九七〇年まで、同決議に基づいて派遣されている国連軍の駐留継続が多数の加盟国により支持されており、国連旗の使用も国連軍の権限の一部として認められている(決議八四)。
 政府としては、朝鮮問題が一日も早く平和的に解決され、朝鮮半島における国際の平和と安全が確保されることが望ましいと考えているが、同問題は未だ最終的に解決されてはおらず同地域の平和が完全に回復されていない現状においては、国連の平和維持のための活動は依然重要であり、国連軍司令部の取扱いは慎重を要するものと考える。
 いずれにしてもUNCURKの場合と同様最終的には国連の決める問題であり、今後とも主要関係国と協議して方針を決定したいと考える。

 右答弁する。


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