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昭和五十四年六月十四日提出
質問第四九号

 在外預送金不払い問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年六月十四日

提出者  柴田睦夫

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




在外預送金不払い問題に関する質問主意書


 閉鎖機関朝鮮銀行(以下「鮮銀」という。)及び同台湾銀行(以下「台銀」という。)の不当な特殊清算によつて両行が、在外預送金者の預送金八十五億円を十分の一ないし百分の一という不当な換算率で払いもどすことによつて生じた残余財産で第二会社を設立した、いわゆる「在外預送金不払い問題」についてたずねる。

一 鮮銀及び台銀は、一九四五年(昭和二十年)九月二十二日付総司令部の覚書で閉鎖機関とされ、在外預送金の払いもどしが停止されたが、その後数次にわたる総司令部の指令とそれに基づく閉鎖機関令の改正によつて在外預送金の払いもどしが可能になつた。例えば、昭和二十六年一月付の大蔵省管財局閉鎖機関管理委員会の「閉鎖機関の現況」は、「昨年末から、この措置(履行地主義による清算)は、内外人平等の立場を害するという司令部の強い意向があり、清算方式の改革に関して指令された。そして従来の履行地主義は改められ、本邦内店舗の債務であれば、履行地及び発生地のちがいを問わず支払うという店舗主義に切り替えるべく法制が整備された」と明記している。それにもかかわらず、両行の特殊清算人とこれを指揮監督する立場にあつた政府は、何故預送金払いもどしのための具体的な措置を講じなかつたのか、その理由を明らかにされたい。
二 両行の特殊清算人と政府は預送金払いもどしのための具体的な措置を何らとらなかつただけでなく、「朝鮮銀行略史」や「台湾銀行史」などによると@閉鎖機関の特殊清算後の残余財産をもつて第二会社を設立する。A残余財産の一部を納付金及び清算諸税として国庫へ納付する。
  Bこれらの金を捻出するため、在外預送金を十分の一から百分の一の換算率で切り下げて払いもどす ―― などの計画を立て、昭和二十八年から同三十一年にかけて一連の閉鎖機関令改正を与党と結託して強行している。台銀の大株主の一人であつた小笠原三九郎氏が、当時第二会社設立実行委員会の委員長として、また、吉田内閣の大蔵大臣として、これら一連の法改正で終始主導的な役割を果たしたことも記録で明らかである。そこで具体的にたずねる。
 1 両行の特殊清算の結果鮮銀の全残余財産は七十三億二千四百万円、このうち二十九億九千三百万円が納付金として、二十三億七千七百万円が清算諸税として国庫に納付され、預送金者に払いもどされたのはわずか八億円余にしかすぎず、残金は日本不動産銀行設立の資本金等に使われた。台銀の場合、全残余財産は二十三億千四百万円、このうち九億五千百万円が納付金として、六億六千九百万円が清算諸税として国庫に納付され、預送金者に支払われたのは二億円余で、残金は株式会社日本貿易信用の資本金等に使われた ―― と言われているが、これに間違いないか。
 2 納付金や営業税を含む清算諸税は、預送金者に債権確定当時の公定換算率(一対一)に基づいて正当に払いもどしたあとの残余財産から徴収すべきものであるが、何故こうした当然の措置を講じなかつたのか。
 3 納付金及び清算諸税の各税目ごとの徴収根拠法令と計算式を示されたい。
 4 在外預送金払いもどしに適用された換算率は、従業員の退職金や在外店舗の債務を含むその他の一般債務が一対一の換算率で清算されていることからみて、公平の原則に反する。各債務項目別に清算換算率を明らかにされたい。
三 在外預送金者らは、日本債券信用銀行(日本不動産銀行の後身)や株式会社日貿信(株式会社日本貿易信用の後身)を相手どり、未払いの預送金の返済を要求している。両社とも、話し合いに応ずる構えをみせているとのことであるが、本件は閉鎖機関令改正で預送金の払いもどしが可能になつたにもかかわらず、何らの具体的措置をも講じなかつた政府の態度にも起因する問題でもあるので、政府としても適切な措置を講ずべきであると考えるがどうか。

 右質問する。





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