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昭和五十五年二月一日提出
質問第三号

 金の先物取引に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年二月一日

提出者  松浦利尚

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




金の先物取引に関する質問主意書


 近年、詐欺まがいの金の先物取引が横行し、中小企業経営者や退職公務員、さらには主婦の間にまで被害が続発して今や社会問題化しているが、これらの被害は何としても未然に防止することが重要であり、政府としても既に啓発活動を行つていることは承知しているが、金の先物取引の問題は実は商品取引所法の解釈及び運用と深くかかわる問題であると考えるので、以下これについて質問する。
 商品取引所法は、「商品取引所の組織、商品市場における売買取引の管理等について定め、その健全な運営を確保することにより、商品の価格の形成及び売買その他の取引を公正にするとともに、商品の生産及び流通を円滑にし、もつて国民経済の適切な運営に資することを目的とする。」(第一条)ものであり、このことは、商品取引所を単なる流通機構としてとらえるだけではなく、広く国民経済という公益的役割の面からとらえていることを示している。
 さて、自由経済市場においては、将来の需給が予測され、これによつて大量の売買が行われ、公正な価格が形成されることが期待されているが、こうした中で、商品取引所の機能が期待どおり十分発揮できるよう、商品取引所には先物取引をする商品市場を開設することができることになつている(第七条第一項)。これと同時に、委託者保護のための措置も講じられており、例えば会員資格を厳格にし、商品取引員の受託業務の許可も四年ごとに更新し、その適否を再審査することとしているほか、商品取引員が倒産したときなどには、これにかわつてその受託債務を弁済する指定弁済機関を設ける等の措置がとられており、また、過当な投機によつて不当な価格が形成されることのないよう売買取引上の禁止行為等も厳格に定め、主務大臣には、商品取引所の開設認可権をはじめとして、取引の公正を図るため異常の場合の取引や受託の制限等の権限が大幅に付与されているのである。
 このように、唯一の先物取引市場である商品市場が国民経済的な立場から十分その期待に添つて発展し、機能するよう各種のルールが設けられ、これに違反した場合の罰則も設け、同時に先物取引市場の類似施設の開設を一般的に禁止して「何人も、先物取引をする商品市場に類似する施設(証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十二項に規定する有価証券市場を除く。)を開設してはならない。」(第八条第一項)としているのである。

一 ところで、この「先物取引をする商品市場に類似する施設」とは、商品取引所法第二条第二項にいう「商品」(以下「指定商品」という。)を取扱うものに限るとする説がある。仮にそのように解するとしたら一体どうなるであろうか。指定商品以外の商品については、誰でも自由に施設を開設して、法的規制のない中で先物取引が行われるであろうから、投機やなれ合い売買等が行われ、公正な価格形成はおろか、物によつては需給のバランスを失い、国民経済は混乱に陥るかも知れない。先に述べたように、商品取引所法が国民経済の適切な運用に資するという公益の保護を目的とする以上、同法の解釈はこの指導理念に添つて解釈さるべきであり、従つて第八条第一項の「先物取引をする商品市場に類似する施設」とは、第二条第二項にいう「商品」以外の商品を取扱うものも含まれると解するべきであると思うがどうか。
二 第八条第一項は、そのカッコ書で「類似する施設」の中から有価証券市場を除いているが、これは第二条第二項にいう「商品」とは無関係の有価証券市場であつても、その経済的機能が先物取引市場と類似していることに着目して「類似する施設」から除外したものと思われ、これをもつてしても、第八条第一項の「先物取引をする商品市場に類似する施設」は、第二条第二項にいう「商品」以外の商品を取扱うものも含まれると解するべきもう一つの理由になると思うがどうか。
三 「先物取引をする商品市場に類似する施設」は必ずしも建物等の有形の施設を必要とせず、また、人の集合も必ずしも必要ではなく、集合したのと同一の効果があればよいと解するべきだと思うがどうか。
四 昨今の報道によれば、金の先物取引業界では「先物取引」とはいわず、「延べ取引」とか「現物条件つき予約取引」などと称しているそうであるが、このような場合でも、先物取引の実質的要件である(イ)決済を将来において行うこと (ロ)履行期日に現に受渡しを行うこと (ハ)差金の授受によつて決済をなし得ることに該当する場合には、「先物取引」と解するのが妥当と思うがどうか。
五 なお、昭和二十五年九月二十日、通商産業省通商企業局長から法務府法制意見第一局長宛「商品取引所法第八条の解釈に関する件」の照会に対する同法制意見第一局長の、昭和二十六年二月七日付回答について政府の見解を併せ求める。

 右質問する。





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