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昭和五十五年十一月二十九日提出
質問第一九号

 沖縄の米軍基地内の未契約者所有の土地に対する強制使用に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年十一月二十九日

提出者  上原康助

          衆議院議長 福田 一 殿




沖縄の米軍基地内の未契約者所有の土地に対する強制使用に関する質問主意書


 沖繩における米軍及び自衛隊が使用している軍事基地は、県民と地主の意思を全く踏みにじつて、米軍が銃剣とブルドーザーで次々と強制接収してきたのがその大半である。
 しかるに政府は一九七二年五月、沖繩の施政権返還に当たつて、米軍が不当に強制接収した広大な軍事基地を復帰後も継続して米軍に提供し、かつ、その一部を自衛隊が独自で、あるいは米軍と共同使用していきたいがため、沖繩県民の強い反対があつたにもかかわらず、「沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律」を国会で強制立法することによつて、軍事目的の使用を拒否する未契約者の土地を含め強制使用できる措置を講じてきた。
 加えて、政府は一九七七年五月十四日、公用地等暫定使用法の期限切れに当たつて、いわゆる「地籍明確化法」と抱き合わせで公用地法の有効期限を、法的空白を生ぜしめる大混乱の中で、さらに五年から十年に、これまた強権をもつて延長するに至つた。
 同法律は、一九八二年五月十四日をもつてその有効期限が切れることになつている。
 ところが最近になつて政府は、この間、未契約の土地所有者等に対して契約をする努力をしてきたが、まだ、二百件近く契約を拒否している地主がいることを理由に、これらの土地使用権の取得が困難になつてきたとして、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法」(以下「駐留軍用地特措法」という。)を適用して、三度び、引き続いて未契約地主の土地の使用権を強制的に確保しようとする手続きを去る十一月十七日に開始したとのことである。
 これは、憲法で保障された財産権の保障を不当に侵害するばかりでなく、沖繩の軍事基地等の差別的維持を企む、三度目の国権発動と断ぜざるを得ない。
 よつて、次の諸点について政府の明確な答弁を求めるものである。

一 沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律が昭和五十七年五月の期限切れに当たつて、政府は同法をさらに延長するのかどうか。延長しないとすればその理由を明らかにせよ。
二 沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律は、沖繩の施政権返還という特殊な事態に対処するための措置だとしながら、さる一九七七年五月に五年間延長して、復帰後十年間にわたつて、未契約の土地の使用権を不当に拘束してきた。同法の期限切れを控えて、政府は未契約地主の土地等に対して、さらに「駐留軍用地特措法」を適用して土地の強制使用の手続きを開始したが、土地所有権者の意思及び利益を無視して土地の使用権を強制的に継続して拘束することは、憲法第二十九条で保障されている財産権を不当に侵害するものと思うが、政府の見解を承りたい。また、一九七七年五月に同法を適用せず、今回同法を適用することになつた理由を伺いたい。
三 未契約土地のうち、沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法によつても未だ地籍が確定されてないところもあると思う。地籍未確定の土地に対しては「駐留軍用地特措法」を適用して対象土地を強制使用の手続きがなし得ないと思うがどうか。なし得るとすればその法的根拠を明らかにせよ。
四 駐留軍用地特措法施行令第一条には、内閣総理大臣に認定申請をする際に添付する書類として、使用し、又は収用しようとする土地等の調書及び図面、地主等の意見書などを提出するように定めているが、対象の土地の位置、境界、数量、所有者等がはつきりせず、調書及び図面の確定していないものについて、どのように土地使用の手続きを行うのか。また、土地等の所有者又は関係人の意見書が取れないときはどうするか。
  疎明をもつて裁決申請を事務的にできるとしているが、これは所有権に対する侵害である。疎明書をもつて、替えられる法的根拠を明らかにしてもらいたい。
五 駐留軍用地特措法第三条に、適正且つ合理的であるときは、その土地等を駐留軍の用に供することができると規定されているが、「適正且つ合理的」とはどういうときか。住宅地域等の管理区域などに使用するものについてはどうか。
六 今回、駐留軍用地特措法を適用して未契約地主の土地を継続使用する場合、何年間を予定しているか。

 右質問する。





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