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昭和六十年三月五日提出
質問第一八号

 鹿児島県伊佐郡菱刈町湯之尾温泉における温泉枯渇及び地盤沈下に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十年三月五日

提出者  藤田スミ

          衆議院議長 坂田道太 殿




鹿児島県伊佐郡菱刈町湯之尾温泉における温泉枯渇及び地盤沈下に関する質問主意書


 鹿児島県伊佐郡菱刈町の湯之尾温泉は、静かな山合いに位置し、豊富な湯に恵まれ百七十余年続いてきた温泉であり、近年では県内外から年間約四万人の客が訪れている。
 ところが、この湯之尾温泉で、昨年五月頃から突然温泉源の自噴が停止するなど泉源の枯渇が始まり、急遽、新泉源の掘削を余儀なくされるなどの事態が起きるとともに、九月にはこの一部地域で激しい地盤沈下が発生、四戸がほぼ全壊状態となり、なおその被害は広がりつつある。この泉源の枯渇及び地盤沈下の原因については、昭和五十七年十二月から掘削を始め、現在毎分六トン以上もの温泉水をくみ上げている住友金属鉱山株式会社の金山や、昨年八月の川内川洪水時の湯之尾ぜきの排水などが取りざたされている。このため菱刈町当局は、専門学者らによる「湯之尾地区地盤沈下調査検討委員会」を発足させ原因究明に取り組み、本年三月に中間報告を得ることとしているが、現地では、原因が確定しないまま、何ら有効な対策や補償が行われず、家屋の崩壊、更には、温泉地としての生命にかかわる温泉の枯渇という二重の不安が渦巻いている。
 そこで以下の点について質問をする。

一 地盤沈下による被害については、これがもし人為的な原因によるものとすれば、原因者が損害賠償の責任を負うのは当然である。しかし、激しい被害の実情からするならば、行政として、原因が確定するまでの間、応急の措置を講ずる責任がある。
  この点で、政府は当面どのような措置をとるべきであると考えているのか。また、その場合、政府の窓口はどこになるのか。
二 温泉水の過剰採取による温泉の枯渇の例は全国各地にみられ、過去、静岡県土肥温泉で、金の採掘によつて既存の泉脈が枯渇した例もある。
  この湯之尾温泉の場合も、金山が大量の温泉水をくみ上げ始めてからほどなく温泉の枯渇が始まつたこと、また、それがより金山に近い山田温泉から始まつたことなどをみれば、この湯之尾温泉の温泉枯渇の原因は、住友金属鉱山株式会社による温泉水の大量くみ上げにある疑いが極めて強いと思うが、政府の見解はどうか。
三 菱刈町当局が設置した「湯之尾地区地盤沈下調査検討委員会」が原因究明を行つていることは前述のとおりであるが、温泉法の立法趣旨からすれば、鹿児島県当局としては、このまま金山の採掘が続いた場合、この湯之尾温泉の泉源はどうなるかなどの予測を行い、同法第九条に基づく温泉の採取制限などの措置を検討すべきであると考えるが、政府の見解はどうか。
  また、同様の趣旨から、福岡通産局長は、鉱業法第五十三条に基づく鉱業権の減少又は取り消しの処分を検討すべきであると考えるがどうか。
四 自然現象によるものを除く地盤沈下の大部分は、地下水の過剰採取がその原因であるといわれており、その意味からすれば、この地盤沈下についても、温泉の枯渇と同様、住友金属鉱山株式会社の金山による温泉水の大量くみ上げがその一因となつている疑いが強い。
  その場合、鉱業法及び鉱山保安法などの規定に基づき、住友金属鉱山株式会社には、温泉の枯渇及び地盤沈下による被害者に対する損害賠償及びこれ以上の温泉の枯渇と地盤沈下を防止すべき措置をとる責任が生ずると思うがどうか。

 右質問する。





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