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昭和六十一年七月二十三日提出
質問第二号

 教科書檢定に關する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十一年七月二十三日

提出者  滝沢幸助

          衆議院議長 原 健三郎 殿




教科書檢定に關する質問主意書


 學校教育において、教科書は教育の基礎となるものであり、從つてその檢定のあり方は教育そのものを左右する程に重要であることは論を待たないところである。
 然るに最近、教科書檢定、なかんづく社會科歴史的分野にかかはる檢定の進め方につき幾多の問題を生じてゐることは、誠に遺憾であり、これを放置すれば百年に悔を殘すこととならう。
 即ち、これが反省と是正は今日における國政の急務である。
 よつて次の諸點について質問する。

一 昭和六十年四月十七日文教委員會における私の質疑に對する高石政府委員の答辯に『申請がなされた場合に特にこれらの點については近隣諸國との友好關係、そして我國のもろもろの行爲を含めて意見を附けない』と明言してゐるにもかかはらず、今般の朝比奈正幸、小堀桂一郎、村松剛、結城陸郎ほか九名著作、原書房發行にかかる「新編日本史」については、誤記誤植の指摘を除いて四百二十箇所餘の修正竝に改善意見が附された。
  このことは先の國會答辯が僞りであつたのか。或いは今回の措置が異例であつたのか明かにされたい。
二 執筆者達は右の修正竝に改善意見を忠實に守り修正竝に改善した結果、昭和六十一年五月二十七日内閲本の檢定は一旦合格してゐる。この檢定は昭和五十七年八月の、いはゆる宮澤官房長官談話に基く教科書檢定基準の追加Nをも含めてなされたものであることは寸分疑ふ餘地のないところである。
  にもかかはらず、その檢定作業が一應終了し、その旨執筆者に傳へられた後に外國より抗議等が寄せられれば、直に檢定のしなほしが、同じNによつて行はれたことは、手續上きはめて不明瞭である。即ち、このことは現行の國内法よりも外國の意見が強力であり優先するといふことか。或いはNの眞の意味は近隣諸國の言ひなり放題、何でも追從するといふことなのか明かにされたい。
三 右「新編日本史」が昭和六十年八月二十九日檢定申請してより、六十一年七月七日最終合格に至るまでの檢定作業の経過を、それぞれ年、月、日を附して明かにされたい。
四 右に關し附された修正意見竝に改善意見の内容と、その修正竝に改善の結果を細大總て明かにされたい。
五 各種新聞等の傳へるところによると、右の檢定作業中、或いは檢定終了の時點において中華人民共和國等より抗議等を含む口上書(覺書)が寄せられ、外務省がまづこれを受け入れ、文部省がこれに從つて、前後四回にわたる修正が求められたとされてゐるが、かかる事實があつたか。なかつたか。明かにされたい。
六 右の事實があつたとすれば、如何なる國の、如何なる機關の、如何なる役職の、如何なる人物が、何時、何處で、如何なる形式で、それら抗議等を表明したか。又、我國の如何なる立場の誰がそれを受けたのであるか。それは正規の外交手續として受けたものであるか否か。以上の諸粘を明かにされたい。
七 右の抗議等の内容、及びそれに對する返答の内容を詳細に發表されたい。
八 それら抗議等を受けたのちの、外務省、文部省、その他の政府機關の取られた措置について、それぞれ年、月、日を附して明かにされたい。
九 それらの抗議等を、我國に對する、いはれなき内政干渉であると政府は理解してゐないか。
十 教科書檢定といふ、明かなる文教政策の決定について、いはゆる外壓に屈して外務省等が文部省に先んじて方針の變更等を外國に約束し、もしくは公表して後に、文部省がこれを追認し、更に教科書檢定審議會がこれを諒承せしめられた例は、昭和五十七年八月、宮澤官房長官談話に見られたところであるが、かくの如き超法規・超制度的措置は、法治國家としての法的手續を無視したものである。これについて、主權者たる國民への説明は如何にされるか明かにされたい。
十一 又それらの作業に關し中曽根総理人臣自らが具體的に關與してゐたと新聞等に報ぜられてゐるが、その事實の有無と法的根據を明かにされたい。
十二 凡そ教育の基本方針の決定は獨立國家における主權に屬することとして尊嚴犯すべからざるものであらう。
  然るに昭和五十七年八月の宮澤談話の措置と今回のそれとは、教育主權の抛棄ともいふべき屈辱的行爲であり、國の教育方針が、かくの如く、ことごとく外壓に屈するならば、光榮ある祖國の歴史に誇りと自信と責任をもつ善良なる國民を教育々成は望むべくもなく、祖先々人に對し非禮きはまりなく、後世子孫に深い禍を遺すもの、今日國家運營の責任を負ふ政府の罪は萬死に値すると敢て斷言する。見解を示されたい。
十三 昭和五十七年六月の中華人民共和國等よりの抗議は、その後の調査により、事實無根のことを一部マスコミが誤報したことに端を發したものであることが明白となつてゐる今日、宮澤官房長官談話そのものが無用にして且つ不當なものといはなければならない。ついては、政府は速かに、宮澤談話を取消し、よつてもつて、教科書檢定基準のうちNについては、これを削除すべきものである。政府はこれをする用意があるか。
十四 五月二十四日附朝日新聞の記事は檢定終了公表以前のものであるが、これは三十部しか提出してゐない原稿本が、何者かの手により新聞等に渡されたことを意味する。ついては、文部省官房内部、調査官、檢定審議委員らの公務員、ないしこれに準ずる者の守秘義務は完全に守られてあつたか。又檢定審議委員等に渡された原稿本は回收されることが望ましいと思ふが、それはなされてゐるか。答へられたい。

 右質問する。





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