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答弁本文情報

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昭和六十一年八月一日受領
答弁第二号

  内閣衆質一〇六第二号
    昭和六十一年八月一日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員滝沢幸助君提出教科書檢定に關する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員滝沢幸助君提出教科書檢定に關する質問に対する答弁書



一について

 昭和六十年四月十七日の衆議院文教委員会における御指摘の答弁は、教科書検定において、歴史教科書に「侵略」という用語を使用することに関する限られた事項についての答弁であつて、右答弁の趣旨と、御指摘の原書房発行の「新編日本史」教科書(以下、「本件教科書」という。)について、教科用図書検定基準に基づき検定意見を付したことと直接の関係はない。

二及び三について

 本件教科書については、昭和六十年八月二十九日、検定が申請され、昭和六十一年一月三十一日、原稿本審査において条件付合格となり、同年五月三十日、内閲本審査終了となつたが、その後、中国、韓国から強い関心表明等がなされるという経緯があり、昭和五十七年の官房長官談話の趣旨に配慮して教科用図書検定基準に基づき見直した結果、更に修正が行われた。同年七月七日、右修正結果について教科用図書検定調査審議会(以下、「審議会」という。)に報告し、同日、検定合格処分を行つたものである。
 本件教科書の検定は右の経過からも明らかなように、昭和五十七年の官房長官談話の趣旨に対する配慮を更に深めて行つたものである。

四について

 個々の教科書に関する個別具体的な検定意見の内容については、従来から公表を差し控えることとしている。

五から八までについて

 中国外交部楊アジア司長は、昭和六十一年六月七日、北京の日本大使館の股野臨時代理大使に対し、口上書をもつて、日本政府が、日中共同声明の精神を誠実に守り、昭和五十七年の官房長官談話を確実に履行して、本件教科書に係る問題が日中友好関係に悪影響を及ぼすこととならないよう要望する旨表明した。これに対し、股野臨時代理大使より、本件教科書は、右の官房長官談話の趣旨を受けて改正された教科用図書検定基準に基づき作業中であると承知している旨説明した。
 他方、韓国外務部権亜州局長は、昭和六十一年六月九日、ソウルの日本大使館の谷野公使に対し、検定作業の現状につき照会を行うとともに韓国部分の記述について関心を持たざるを得ないとの趣旨を表明した。これに対し、谷野公使より右中国外交部に対するのと同趣旨の説明を行つた。
 これらの事実については、その都度、外務省から文部省等に対し即刻連絡がなされ、また、本件教科書につき、当然のことながら、昭和五十七年の官房長官談話の精神を踏まえ検定作業が行われることが必要であるとの外務省の考え方が伝えられた。
 なお、本件教科書の検定の経過については、二及び三についてにおいて述べたとおりである。

九について

 中国は本件教科書に係る問題が日中友好関係に悪影響を及ぼすこととならないよう要望したものであり、また、韓国は関心表明を行つたものであつて、右はいわゆる「内政干渉」に当たるものではないと考える。

十、十二及び十三について

 昭和五十七年の官房長官談話は、日韓共同コミュニケ及び日中共同声明の精神を尊重する立場に立つて発表されたものであり、その趣旨は、右日韓共同コミュニケ及び日中共同声明の精神は、我が国の学校教育、教科書の検定に当たつても、当然、尊重されるべきものであるというものである。同年十一月二十四日の教科用図書検定基準の改正は、右官房長官談話の趣旨を受け、審議会の答申に基づき行つたものであり、本件教科書の検定も、右官房長官談話の趣旨に配慮して、右検定基準に基づいて行つたところである。

十一について

 本件教科書の検定に関し、内閣総理大臣から文部人臣に対して、昭和五十七年の官房長官談話の趣旨に配慮して適切に行うようにとの一般的な指示が行われた。

十四について

 文部省職員及び審議会委員等の守秘義務については、国家公務員法第百条に定めるところであり、本件教科書の検定についても当然遵守されているものと理解している。
 審議会委員等は、原稿本の内容の審査を行う立場からして、原稿本を所持する必要があり、これを一律に回収することは適当ではないと考える。

 右答弁する。




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