衆議院

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昭和六十二年二月九日提出
質問第五号

 蚕糖事業団をめぐる諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年二月九日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




蚕糖事業団をめぐる諸問題に関する質問主意書


 私は、輸入価格の三倍もする我が国の蚕糸価格、就中国際経済の現状に背を向けた蚕糸価格安定制度の矛盾について、昨年十一月二十一日と十二月二十日の二回にわたつて質問主意書を提出したが、いずれの答弁も問題点をすり替えたもので極めて不満である。しかも本制度は、生糸先物取引市場において特定の投機筋に利用され、蚕糖事業団の在庫は増大する一方である。これまでの同事業団の特別勘定の長期借入金は、先の答弁によると千九百五十二億円で、欠損金は四百七十五億円にのぼつている。
 更に、最近在庫生糸にカビが生える事件が発生し、同事業団はこれを指名入札で、特定業者に放出し、関係団体から強い批判を受けている。今のまま現制度を放置するならば、臨調答申、会計検査院の指摘を無視する行為となり重大な結果を生むことになる。よつて次の質問をする。

一 蚕糖事業団(以下、事業団)は、本年一月、カビが発生した在庫生糸(五十四年度分)五百十二俵を西陣産地糸商七社に指名入札で売り渡したというが、どうして一般競争入札の方法によらず指名入札を行つたのか、その理由及び法的根拠を明らかにされたい。また、カビが発生した糸を同様の方法により売り渡した例が過去にあるのか、あれば具体的に示されたい。
二 この入札は、農林水産大臣の承認を得て行われたものなのかどうか明らかにされたい。
三 事業団は、前記の五百十二俵すべてにカビが発生したことを確認した上、売渡しを決定したのか明らかにされたい。また、最初にカビを発見したのは、いつ、どこで、だれなのか具体的に示されたい。
四 今回のカビが発生した生糸は、いくらで売り渡したのか金額を示されたい。
五 同入札における最低予定価格は、通常の売渡し価格に比べ安く設定されているといわれるが、どのような方法で算出したものかその根拠を明らかにされたい。また、予定価格の積算が、事業団の契約責任者の故意又は重大な過失によつて事業団に損害を与えたとすれば、「予算執行職員等の責任に関する法律」に準じた形で処分が行われるべきと考えるが、一般論として見解を求む。
六 私の試算によると、事業団が五十四年に買い上げた糸の現時点での評価額は、当時の事業団買入れ価格一万四千三百円/kg、現在までの八年間の金利・倉庫料(一ヵ月当たり百円/kgとして)を加算すると二万三千九百円/kgになる。これを平均七千五百円/kg(今回の売渡し価格は六千五百〜八千五百円と伝えられている。)で五百十二俵を売り渡したとすれば約五億円の損になり、事業団の損失を増大させることになる。当局はこの際、在庫品の買入れ年度別の原価計算を行い、その結果を明らかにすべきと思うが見解を求む。
七 昨年来、実需者以外の者により、横浜・神戸の両取引所を通じ品受けされた生糸が、取引所の指定倉庫から一般倉庫へ移動され、ある期間を経て事業団の買上げにより再び指定倉庫に戻る例がある。空調設備の不完全な一般倉庫(指定倉庫は温湿度の調整や害虫の駆除を定期的に行つている。)に積まれている間にカビや害虫が発生していた場合、事業団はその責任をどこに求めるのか。一般論として明らかにされたい。
八 十二月五日の政府の答弁書(内閣衆質一〇七第一五号)によると、事業団の在庫生糸については、処理の円滑化を図つているとある。しかし、事業団は六十一年十二月に一万六百三十五俵、六十二年一月には四千三百七十五俵の国産糸を買い入れ、在庫総量は、六十一年十二月末で十五万百五十九俵、六十二年一月末現在で十五万千四百三十二俵と、私の指摘後増加をしている。この事実をどう見るのか見解を明らかにされたい。
九 日本器械製糸工業組合(以下、日器工)は、行政当局の強い指導を受けながら、生糸生産出荷の抑制策を行つてきたが、昨年十一月の私の質問主意書(質問第一五号)を契機に、公正取引委員会より、独禁法に抵触する恐れがあるとの指摘があつたので撤回するとの通達(日器工61発第36号)を出している。行政当局は、この組合にどのような指摘をしたのか。また、その際当局は組合に不況カルテルの申請を勧めた事実があるのか、併せて明らかにされたい。
十 日器工は、本年一月、臨時総会を開いて、安定基準価格の維持と強固な糸価対策として、同組合の借入金限度額八億円を百億円に引き上げることを決めた。製糸団体が、自ら生産した製品を大量の資金をもつて先物取引市場で買入れによる価格操作を行うことは、商品取引所法等に違反すると思われるが、一般論としての当局の見解を求める。
十一 六十二年一月二十日付の日器工の「糸価対策に関するメモ」によると「日器工の市場介入価格は一万一千九百円とする」とある。しかし、一月三十日付の「常任理事会議事報告について」(日器工61発第45号)によると「農水省と最終協議を重ねた結果、当局から一万二千円で買い支えることで両者間は漸く合意することが出来た」(要旨)とある。両者の主張する買入れ価格には隔たりがあるが、農水省のいかなる指導をもつて合意に達したのか、この際その理由とこれに至る経過を明らかにされたい。

 右質問する。



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